- チョコレートは心臓発作と脳卒中リスクの低いことに関連−専門家の反応
SMC NZ
Chocolate linked to lower heart attack and stroke risk – Expert reaction
June 16th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/06/16/chocolate-linked-to-lowered-heart-attack-and-stroke-risk-expert-reaction/
新しい大規模研究がチョコレートを食べることの心血管系へのメリットの主張にさらに重みを加えた。しかしチョコレートを貪る前に、関連を明確にするためにはさらなる研究が必要だと独立した専門家が言っている。
雑誌Heartにオンライン発表された研究によると、最大100gのチョコレートを毎日食べることは臓発作と脳卒中リスクの低いことに関連する。この知見は英国のNorfolkに住む男女の長期健康への食事の影響を追跡したEPIC-Norfolk研究に参加した約21000人の成人の研究に基づく。計算の結果、チョコレートを全く食べない群に比べて、チョコレートを食べることは心血管系疾患リスクの11%低いこととそれに関連する死亡リスクの25%低いことと関連することを示した。さらに食事要因を考慮した後、冠動脈心疾患による入院や死亡リスクが9%低いこととも関連した。著者は「心血管系リスクが心配な人にチョコレートは避けるべきだと言う根拠はなさそうだ」と結論している。
SMCは以下の専門家のコメントを集めた。
オークランド大学生物統計教授Thomas Lumley教授
この研究はチョコレートを多く食べる人々が次の12年心臓発作や脳卒中になる可能性が少ないことを発見した。規模は大きく、2万人以上が参加し2000以上の冠動脈心疾患イベントがあったが、関連についての根拠はやや強い程度である。この研究は食事の多くの異なる要因を調べているため何か面白い関連が偶然みつかることがある。たとえそれが偶然ではなかったとしてもチョコレートのメリット以外にも説明は可能かもしれない。例えば心疾患リスクの高い人はチョコレートを避けているかもしれない。いくつかの点でこの結果はこれまでチョコレートの利点とされてきた主張と矛盾する。この研究で食べられているチョコレートの多くはフラボノイド量の少ないミルクチョコレートである。炎症の指標(C反応性タンパク質)を調整しても基本的にチョコレートと心疾患の関連に影響はないことから、この関連はチョコレートフラボノイドの炎症への影響によるものではないことを示唆する。
しかしながらチョコレートの唯一のありそうな有害影響はそのカロリー含量による。この研究ではチョコレートの摂取とBMIやウエスト:ヒップ比に意味のある関連はなく、チョコレートを食べている人の運動量が多い傾向がある。単一の観察研究はあなたの食生活を変える良い理由にはならないが、体重増加につながらない場合にはチョコレートを食べることは有害ではないだろう。
East Anglia大学栄養教授Aedin Cassidy教授
この知見は新しいものではないが、チョコレートの摂取が、全く食べない人に比べると心疾患や脳卒中のリスクを下げるかもしれないという根拠を付け加える。
チョコレートの摂取をquintile 5分割すると最も多く食べる20%は最も少ない20%(チョコレートを食べない人)に比べると心疾患が12%、脳卒中が23%リスクが低かった。最も多い群の摂取量は16-99g/日でありそれほど多くない摂取量でメリットがあることを示唆する。四角いチョコレート2個で約16gで平均的チョコレートバーは50g程度である。
ほとんどのチョコレートはミルクチョコレートでココアに含まれるフラボノイド(フラバン-3-オール)ではこの結果を説明できないとしている。しかしダークチョコレートは一般的にミルクチョコレートよりフラバン-3-オール含量は多いがその量は製造工程により、ミルクチョコレートでも多いものはある。もしフラボノイドが重要なら、お茶やワインやりんごなど他にも多くの摂取源がある。
これは観察研究で、チョコレートが本当にあなたの心臓に良いかどうかを確認するにはしっかりした長期の研究が必要である。これまで行われた研究は心疾患のバイオマーカーに良い影響があることを示しているが短期間(3-4ヶ月)である。チョコレートには脂肪や砂糖が含まれるので健康的な食生活の一部としてほどほどに食べることを薦める(平均的チョコレートバーは50gで約230 kcalで一日のエネルギー所要量の約10%になるので食べ過ぎると体重に影響する可能性がある。体重は心疾患の重要なリスク要因である)
シェフィールド大学心血管系医学部リーダーで心臓相談医Tim Chico博士
この研究はチョコレートを食べる人が心血管系疾患の率が少ない傾向にあるという根拠を加えるものであるがこのような研究はチョコレートが原因であるかどうかは言えない。
他の研究の結果と併せてチョコレートを食べることに健康上のメリットがあるかもしれないことを示唆するが、チョコレートが体重を増やす可能性があることも明確で、それは心血管系の健康に疑いもなく悪い。
この研究から言えることは、あなたが健康体重なら、チョコレートを適量食べることは氏疾患リスクを明確には上げず幾分かのメリットがあるかもしれないということである。私は私の患者にこの研究を根拠にチョコレートをもっと食べるように助言はしない、特に過体重の人には。
(質問は板チョコやバーやホットチョコレートについて聞いている。しかしお菓子の種類が少ないのかチョコレート好きだよね)
- モルモットを食べることがペルーでの高率な恐ろしい寄生虫を説明するかもしれない
ScienceSHOT
Guinea pig feasts may explain high rates of deadly parasite in Peru
16 Jun 2015
http://news.sciencemag.org/health/2015/06/guinea-pig-feasts-may-explain-high-rates-deadly-parasite-peru
チャガス病は致死的であるが感染はしにくい。感染するにはTrypanosoma cruziをもつ虫に1700回噛まれなければならない。なのになぜ南米の一部地域では約40%もの感染率なのか?少なくともペルーのArequipaでは、それはモルモットのせいかもしれない。Proceedings of the Royal Society Bに本日オンライン発表された研究によると、アンデス地域で食料として育てられているモルモットが、T. cruziのリザーバーとして働く。もし感染していないモルモットがたくさんいればそのような問題にはならないが、モルモットの数は予測可能なサイクルで増減する。餌となるアルファルファの値段が乾燥する夏に高騰すると人々はモルモットを殺し、寄生虫は少数のモルモットに集中する。
DDT may quadruple breast cancer risk
16 Jun 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/06/ddt-may-quadruple-breast-cancer-risk
米国で野生動物への悪影響のためにDDTが禁止されてから42年が経つ。しかし科学者は今でもDDTのヒト健康との関連を探っている。本日The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに発表された新しい研究では、子宮内でのDDT暴露は女性の後の乳がん発症リスクを増やすかもしれないことを示唆する。この研究はカリフォルニア州オークランドの1959年から1967年の、DDTがまだ作物に広く使われていた時代の、Kaizer医療保険の妊娠データベースを利用している。母親の血中DDT濃度が高い女性は52才までの乳がん発症リスクが約4倍だった。
(少しだけ状況説明:たまってしまうのでとりあえずあげておきます。ネットは遮断されたままで、めどがたたないとのことでした。これは個人の契約で収集したもので公式アカウントで収集していた情報や研究所契約雑誌は読めません。風邪を引いたらエボラ(年金機構)とみなされて隔離されてそのまま、みたいな印象ですが。すぐに復旧するだろうと思っていたので対応できず、今でもどうするのがいいのかよくわかりません。業務ができないことで誰も困らないと思われているのが悲しい、でも溜まったら困るのは目に見えているし・・といった感じです。)