食品安全情報blog過去記事

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コメとコメ製品のヒ素についてのQ & A

Questions and answers on arsenic levels in rice and rice products
FAQ of the BfR dated 11 June 2015
http://www.bfr.bund.de/en/questions_and_answers_on_arsenic_levels_in_rice_and_rice_products-194425.html
一部抜粋
ヒ素とは何か?
ヒ素は天然に地殻の多くの部分に存在するメタロイド(半金属)である
ヒ素はヒト健康にどう影響するか?
主にシーフードや魚に含まれる一部の有機ヒ素は毒性が低く健康リスクになるとは考えられていない。しかしながら可溶性の無機ヒ素を大量に摂取すると急性中毒になり、初期症状は腹痛、嘔吐、吐き気、重症の下痢、顔面の浮腫である。
無機ヒ素を少量長期間摂取すると皮膚の病変や血管や神経の傷害、生殖毒性、心血管系への問題への寄与などにつながる。無機ヒ素化合物は国際機関によりヒト発がん物質と分類されている。既存の研究からはがんリスクの増加と関連しない安全な摂取量を設定することができない。従って食品に無機ヒ素が存在することはどんな量でも望ましくないが、完全に避けることはできない。
ヒ素はどうしてコメに入るか?
他の穀物同様イネは根からヒ素化合物を吸収し、コメの穀物に入る。コメは他の作物に比べて無機ヒ素を多く含む。
コメはしばしば水を満たすことで土壌を嫌気的にして(酸素がないこと)育てられる。このことがヒ素を吸収しやすくする。灌水にヒ素が高濃度含まれればそれも反映される。結果としてコメのヒ素濃度は栽培される地域の土壌や水のヒ素濃度と栽培方法によって異なる。無機ヒ素穀物の外皮に蓄積する傾向があるため、最終製品のヒ素濃度はコメの加工によっても異なる
・ドイツで測定されたコメとコメ製品の無機ヒ素濃度はどのくらい高かったのか?
監視当局の分析によるとコメとコメ製品は他の穀物に比べて高濃度の無機ヒ素を含む。白米の平均濃度は0.1mg/kgで95パーセンタイルで0.2 mg/kgである。玄米は白米より高濃度である。白米より高濃度がライスケーキ(餅?)とライスフレーク(せんべい?)で検出されている。理由は不明である。このことはコメとコメ製品は、食習慣により、総ヒ素摂取量に相当な寄与をすることを意味する
・コメ以外に無機ヒ素の摂取に寄与する食品はあるか?
無機ヒ素は小麦などの他の穀物やミルクや乳製品にも検出されるが濃度はコメより相当低い。飲料水やミネラルウォーターにも無機ヒ素が含まれる。食べる量により、コメより無機ヒ素濃度の低い食品が欧州の消費者の無機ヒ素摂取には大きな寄与をする。これは食品中のヒ素についての現在のEFSAの意見である。これらの食品に置いても量は達成可能な限り低く(ALARA原則)すべきである。
・コメのヒ素による健康被害はあり得るか?
ドイツ人にとってコメやコメ製品による急性健康被害は全ての集団に置いてありそうにない。非発がん影響についても現在の摂取量と濃度ではおこりそうにない。
無機ヒ素の発がん性については安全な摂取量は決められない。従ってコメとコメ製品を食べることによる発がんリスクの増加は可能性がある。
BfRはコメとコメ製品のヒ素化合物による健康リスクをどうやって評価したのか
南米とアジアの疫学研究では飲料水に高濃度のヒ素を含む地域ではある種のがんリスクが高いことが示されている。BfRはドイツの異なる消費者集団でのコメのヒ素の暴露量と、これらの疫学研究で検出された影響の見られる最小暴露量とを比較した。その結果コメとコメ製品の摂取は、疫学研究で飲料水からの摂取で肺がんリスクの増加と関連する摂取量の範囲の無機ヒ素摂取になることが示された。このためBfRは、特に乳幼児や子どもが食べるような製品の、無機ヒ素量を減らすための対策を薦める。
・コメとコメ製品のヒ素化合物による健康リスクを最小化するために責任当局はどのような対策をとっているか
欧州委員会は以下のカテゴリーのコメとコメ製品の無機ヒ素の最大量を設定するだろう:白米、茹でたコメ、玄米、ライスワッフル、ライスウエファース、ライスクラッカー、ライスケーキ、乳幼児や子ども用食品に使われれるコメ。最大基準値は2016年1月1日までに導入される。
BfRは何故ライスケーキやライスフレーク、クリーム状にしたコメなどが白米よりヒ素濃度が高いことがあるのかを明確にすることを薦める。このためには製造業者は可能な限り製品のヒ素化合物を減らすための対策をとる必要がある。
BfRに代わって、食品監視計画の枠組みで連邦や州の機関はライスケーキや乳幼児用コメ製品の無機ヒ素と総ヒ素の量を調査中で、これらの製品の健康評価にためのデータをより良いものにしようとしている。
現時点ではコーデックスはコメのヒ素を避け、減らすための対策を開発中である。これはコメの栽培とコメ製品の製造のためのガイドラインとなる。
・他の穀物と比較すると比較的高濃度の無機ヒ素が含まれるため、消費者はコメを完全に避けるべきか?
コメは多くの栄養素を含む価値のある食材である。このためバランスの取れた食生活の一部であり続けるべきである。しかしながら、食品を選ぶ際には、消費者は多様で変化に富んだ食事をするという一般的な助言に従うべきで、可能であれば食べる穀物の種類も多様にすべきである
・乳幼児や子どもはコメとコメ製品を食べ続けることができるか?
保護者には乳幼児にはコメベースの飲料やおかゆのようなものだけを与えないように助言する。おやつについては、ライスケーキのような製品はたまにのみ与えるべきである。
いわゆるライスミルクを乳児に与えることについてはBfRは国や国際機関によるそのような栄養には反対する助言を参照する、ヒ素濃度が高いだけではなく、乳児に必要な栄養を満たさないからである。
・コメとコメ製品からの無機ヒ素摂取を減らすために消費者ができることはあるか?
消費者にはコメとコメ製品の無機ヒ素濃度がわからない。BfRはライスケーキやライスフレーク/クリーム状にしたコメなどの製品の摂取はほどほどにし、トウモロコシや小麦などの他の穀物をベースにした製品で多様なものを選ぶことを薦める。
コメのヒ素化合物は洗ったり大量の水で調理したりすると一部流出する。従って自宅で調理する場合には、洗ったり大量の水で茹でで水を捨てるような調理法を選ぶことができる
・コメのようなグルテンフリー穀物に頼っている人々にはBfRは何を薦めるか?
セリアック病患者にも、一般的な人々同様、可能な限り多様な食品からなる健康的な食生活を薦める。コメやコメ製品のみからなるバランスの悪い食生活は可能な限り避けるべきだ。代わりに、トウモロコシやキビ、ソバ、アマランス、キノアなどのようなグルテンを含まない穀物を食生活に取り入れるべきである。