食品安全情報blog過去記事

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食品中のアクリルアミドは公衆衛生の懸念

Acrylamide in food is a public health concern
4 June 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/150604.htm?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_content=feature&utm_campaign=20150604
包括的レビューを行い、EFSAは食品中のアクリルアミドに関する科学的意見を発表した。EFSAのフードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAM)の専門家は、食品中のアクリルアミドが全ての年齢集団の消費者のがんになるリスクを増す可能性があるとする以前の評価を再確認した。この結論は2014年7月のパブリックコメント募集で公開した意見案から変わっていない。
動物実験の証拠はアクリルアミドとその代謝物質グリシドアミドは遺伝毒性発がん性があることを示している:それらはDNAを損傷しがんの原因となる。ヒトでの実験の証拠では、アクリルアミドの食事暴露ががんの原因となるという根拠は現在のところ限られており、結論は出ていない。
アクリルアミドは広範囲の毎日の食事に存在しているので、この健康懸念は全ての消費者に適用されるが、子供は体重あたりで最も暴露している年齢集団である。アクリルアミド暴露に寄与する最も重要な食品グループは、フライドポテト製品、コーヒー、ビスケット、クラッカー、クリスプブレッド及びソフトブレッドである。
CONTAMパネルの議長であるDiane Benford博士は述べた:「パブリックコメントは我々が科学的意見を微調整するのに役立った。特に、ヒトのアクリルアミドの影響に関する研究の評価と消費者のアクリルアミドの主な食品源の種類をさらに明確にしている。また、パブリックコメントの募集段階で気づいた最新研究は最終的な科学的意見に含まれている。」(パブリックコメント募集に関する報告書は以下で入手可能。)
高温調理
アクリルアミドは毎日の高温調理(揚げる、焼く、オーブンで焼く、生産加工や+120°Cで低水分)中にでんぷん質の食品に自然に形成される化学物質である。この反応はメイラード反応として知られている:食品を褐色にし味に影響するのと同じ反応である。アクリルアミドは多くの食品に天然に存在する糖類とアミノ酸(主にアスパラギンと呼ばれるもの)から形成される。アクリルアミドは多くの食品以外の工業的用途がある。タバコの煙にも含まれる。
摂取後、アクリルアミドは消化管から吸収され、全ての組織に分布し、広く代謝される。グリシドアミドはこの工程からできる主な代謝物の一つで、おそらく遺伝子変異と動物実験で見つかる腫瘍の原因である。
がんの他にも、パネルは神経系、出生前と出生後の発達と男性の生殖に対するアクリルアミドの有害影響の可能性も考慮した。現在の食事からの暴露量に基づき、これらの影響は懸念とはみなされなかった。
アクリルアミドの食事からの暴露を減らす
EFSAのリスク評価の中心ではないが、科学的意見には、成分をどのように選択するか、保管方法、調理される食品の温度が様々な食品種類のアクリルアミドの量にどのように影響するか、従って食事暴露量はどのくらいかを要約するデータと文献の概要を含んでいる。
EFSAの科学的助言は食品中のアクリルアミドの消費者暴露をさらに減らすために可能な方法を検討するEUと国家意思決定機関に情報を提供する。たとえば、食習慣と家庭での調理、市販食品に関する管理についての助言を含む;だが、EFSAはそのような対策方法を決めるのに直接的な役割は果たさない。
・食品中のアクリルアミドに関する科学的意見
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4104.htm
・食品中のアクリルアミドに関する意見案についてのパブリックコメント募集の概要についての技術的報告書
http://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/817e.htm

EFSAは理解しやすい科学的意見の非技術的な概要(あるいは概要)を準備し、食品中のアクリルアミドに関するよくある質問FAQでこの作業の他の側面についても取り上げている。
・EFSAはリスク評価を説明する:食品中のアクリルアミド
http://www.efsa.europa.eu/en/corporate/pub/acrylamide150604.htm
・食品中のアクリルアミドに関するFAQ
http://www.efsa.europa.eu/en/corporate/pub/acrylamide150604.htm