食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 妊娠中の食物繊維と子どもの喘息についての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to dietary fibre in pregnancy and asthma in offspring
June 23, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-dietary-fibre-in-pregnancy-and-asthma-in-offspring/
Nature Communicationsに発表されたマウスでの実験で、子どもの喘息発症可能性への母親の繊維の摂取の影響を調べた
王立小児科および子どもの健康学会Iolo Doull博士
この研究は世界中での喘息の増加の原因の可能性を提案する興味深い研究である。増加の原因は明確に説明されているわけではなく要因が複数ある可能性が高いが食生活の変化も可能性の一つだろう。
研究者らはマウスのモデルで食物繊維の摂取増加が腸内細菌を変え、このことが喘息発症に影響することを示した。また妊娠マウスに高繊維食を与えると子どもの喘息発症を予防することを示した。それでこの研究は妊娠女性の食生活が子どもの喘息リスクに影響することを説明できるかもしれないモデルを提案した。ヒトでのデータは少なく、大雑把で、マウスのモデルとは明確に一致しているわけではない。マウスのモデルではアレルギー性喘息なのでアレルギー応答を誘発しているが、ヒトでの最初の1年の喘鳴にとってアレルギーは主要要因ではない。
食品研究所名誉フェローで栄養研究者Ian Johnson教授
これは動物モデルで食物繊維が大腸の細菌で分解されて免疫系に影響して遠いところの標的臓器、この場合は肺、に有用な影響を与えることを示した印象的な仕事である。特に興味深いのは母親の食事の変化が子どもにエピジェネティックな影響を示すことである。食物繊維が実験的喘息から守る作用は重要な可能性があるが、ヒトの病気のモデルは生物学的メカニズムの研究には有用であっても、しばしば現実にいろいろなものを食べているヒトでは再現するのが困難であることを強調しておかなければならない。しかし予備的データで幾分かの知見が得られたことは励みになる。ヒトでの影響はさらなる研究が必要であるが、我々の食事に多様な食物繊維の多い食品を含めることには他にも多くの理由がある。
King’s College London遺伝疫学教授Tim Spector教授
母親の食事の食物繊維が少ないと腸内微生物の多様性が少なく、このことが免疫抑制化合物(短鎖脂肪酸)の少なさにつながりアレルギー反応になる。ヒトとマウスはいくつかの点で異なるが、この研究は妊娠女性が多様な食物繊維の多い食事をすることの重要性を示す。
Imperial College Londonアレルギーと臨床免疫学名誉教授Barry Kay教授
これは質の高いエレガントな研究であるが、もちろんマウスは喘息にはならない。喘息とマウスモデルの間には類似性以上に違いのほうが大きい。マウスでの実験から喘息の新しい治療法ができたことはない。これは「マウスの罠(マウストラップ)」と呼ばれている。

  • 「化学物質のカクテルによるがんリスク」

Senseaboutscience
"Cancer risk from chemical cocktail"
23 June 2015
http://www.senseaboutscience.org/resources.php/197/quotcancer-risk-from-chemical-cocktailquot
The Daily Mail と The Times (£)の6月23日火曜日の記事で、新しい研究により日常の家庭用品に含まれる化学物質の「カクテル」への低用量暴露ががんの原因になることが示されたと主張する。実際には研究で示されたわけではない。そうではなく、Carcinogenesisの付録として発表された一連のレビューで、現在一度に一物質を調べている現在の規制システムを、化合物の混合物を調べるように変更することを求めている。
Cancer Research UKの健康情報担当官Fiona Osgun
はっきりさせておくが、この研究は日常化学物質ががんの原因であることを示したものではない。一部の化合物が細胞に作用をもつ可能性について言及しているが、理論と実際は大きく違う。このレビューは日常の化合物の健康や環境影響についていくつかの疑問を指摘しているが、残念ながら答えてはいない。
Brunel University Londonがん生物学者
これは単なる仮定の調査で、これらの物品が全てあなたをがんにするとは言っていない。規制機関に対して、低濃度でも蓄積したり組み合わさったりした時におこる影響についてもさらなる安全性を確保する必要があるかもしれないと示唆しているだけである。

  • 下院がTSCA改訂を認めたため米国の化学物質規制改定は促進される

ScienceInsider
U.S. chemical regulation reform gets boost as House passes TSCA rewrite
By Puneet Kollipara 23 June 2015
http://news.sciencemag.org/policy/2015/06/u-s-chemical-regulation-reform-gets-boost-house-passes-tsca-rewrite
火曜日の晩に米国下院は約40年近くで初めて、この国の工業用化学物質規制を改訂する超党派の法案を承認した。この法案はEPAが市販化学物質の安全性に関するデータを要求することをより簡単にするが、上院での競合する法案よりは狭いアプローチとなっている。しかしこのことは議会が長らく検討してきたTSCAの改訂に一歩近づいた。
(以下法案の説明)