食品安全情報blog過去記事

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ミルクやその他の動物由来食品にテトラヒドロカンナビノール(THC)が存在することに関するヒト健康リスクについての科学的意見

Scientific Opinion on the risks for human health related to the presence of tetrahydrocannabinol (THC) in milk and other food of animal origin
EFSA Journal 2015;13(6):4141 [125 pp.]. 26 June 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4141.htm
THC、正確にはデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール (Δ9-THC)は大麻由来で、生鮮大麻ではΔ9-THCの最大90%は向精神作用のない前駆体Δ9-THC酸の形で存在する。動物由来食品中のΔ9-THC濃度についてのデータはほとんど無いので、CONTAMパネルは麻の実由来飼料中Δ9-THCの各種シナリオを組み合わせてヒト食事暴露を推定した。その結果ミルクと乳製品からの急性暴露量は成人では0.001から0.03 µg/kg b.w. per day、幼児では0.006から 0.13 µg/kg b.w. per dayとなった。
ヒトのデータからΔ9-THCの最小有害影響は2.5 mg/日、0.036 mg Δ9-THC/kg b.w. /日と結論した。不確実係数30を採用しARfDは1 μg Δ9-THC/kg b.w.と導出した。推定暴露量はARfDの3-13%であり健康上の懸念とはなりそうにないと結論した。