食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食品中ニトロフランとその代謝物についての科学的意見

Scientific Opinion on nitrofurans and their metabolites in food
EFSA Journal 2015;13(6):4140[217 pp.].
26 June 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4140.htm
ニトロフランはEUでは食用動物には使用が認められていない抗菌剤である。ニトロフランは速やかに代謝され動物の組織に残るのはタンパク質に結合した代謝体である。欧州委員会はEFSAに食品中のニトロフランに関するリスクと、指標となる代謝物の対応参照濃度(RPA)1.0 µg/kgが公衆衛生保護のために適切であるかどうかについての科学的意見を求めた。ニトロフラン指標代謝物の検出データは国の残留農薬モニタリング計画の結果とRASFFから抽出した。CONTAMパネルはこれらのデータは余りにも限定的で信頼できるヒトの食事摂取量評価はできないと考える。その代わり、ミルクと乳製品を除く動物由来食品に単一のニトロフランマーカーが1.0 µg/kg存在するという最悪シナリオで食事暴露を計算すると慢性暴露量は幼児で3.3から8.0、成人で1.9 から4.3 ng/kg b.w. per dayの範囲だった。ニトロフランとその指標代謝物は一般的に遺伝毒性発がん性であり、動物では発がん性以外の影響もある。MOEは発がん性については2.0 × 10^5以上、非発がん影響については2.5 × 10^3以上と計算された。CONTAMパネルはニトロフラン指標代謝物が1.0 µg/kg以下含まれる食品への暴露は健康上の懸念とならないと結論した。食品添加物としてのカラギナンを使用することによるセミカルバジド汚染についてのシナリオでは、非動物性食品に1 µg/kgのRPAを適用するのが適切かどうかについて評価した。非発がん影響について10^4以上のMOEと計算され、健康上の懸念はない。