食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • プラスチック中の有害化合物の「より安全」な代用品は、ヒト健康にとって同じくらいのリスクかもしれない、研究が示唆

'Safer' replacements for harmful chemical in plastics may be as risky to human health, studies suggest
8-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/nlmc-rf070615.php
NYU Langone 医療センターの一連の研究によると、DEHPの代用品として使用されているDINPとDIDPは子どもや青少年の高血圧と糖尿病リスクを上げることと関連する。NHANESのデータによる解析。
Hypertensionに7月9日オンライン発表された研究によるとDINPとDIDPの量が10倍になることと血圧が1.1 mmHg上がることに関連がある。
5月にJournal of Clinical Endocrinology and Metabolismに発表された論文ではDINPとDIDPの量がインスリン抵抗性と関連することを報告している。
(言い過ぎだけどDEHPへの批判も同じくらいのいいかげんさだったからどっちでもいいや)

  • 症状チェッカーはどのくらい正確か?

How accurate are symptom checkers?
8-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/hms-haa070615.php
ウェブの診断や識別ツールはしばしば間違っているが時々重症患者の役にたつ
BMJに発表されたハーバード大学医学部の医療政策准教授Ateev Mehrotra研究
医学部や病院や保険会社や政府機関の主催している症状チェッカーについての評価。一般的に過剰に用心深く病院に行くことを薦める傾向がある。正確さは概ね電話相談と同程度で、一般のインターネットの検索による自己診断よりは良い。

  • ワクチン:フランスの一般医の実践とためらい

Vaccines: Practices and hesitancy among general physicians in France
8-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/ind-vpa070815.php
Ebiomedecineに発表されたPierre Vergerらの、ワクチン不信の文脈での、フランスの医師1500人の態度と実践についての解析。ワクチンは多くの感染症にとって最も効果的な対策方法で根絶すらできるが近年フランスの一般人にワクチンに否定的見解が増えている。懐疑が広がって一部のワクチン接種率が不適切なレベルに低下している中で一般医が情報提供に主要な役割を果たしている。2014年4-7月の調査。
知見の一つは96%の医師がワクチンの有用性を患者に説明できることに自信がある。一方でアジュバントの役割については43%に低下する。二つ目はワクチンにより医師の間に差がある。MMRについては83%が薦めるがC型髄膜炎は定期接種に入っているにもかかわらず57%である。多くの医師はワクチン情報についてフランス保健省や保健機関を信頼している。
しかし一部の医師は一部のワクチンのリスクについて、ファーマコビジランスや疫学研究で否定されているにも関わらず疑問を持っている。6%がHPVと多発性硬化症のような神経変性性疾患の関連をありそうだと考え、26%が公的機関の薦める一部のワクチンを不要だと信じ20%は子どものワクチンが多すぎると信じている。これらが医師が患者にワクチンを定期的に薦めることを少なくする理由の一部になっている。医師の訓練とリソース提供が必要である。
(医者にもへんなのはいる)

  • 低リスク出産の費用は病院により違う

Cost of low-risk childbirth varies widely among hospitals
8-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/yu-col070815.php
Health Affairsの7月号に発表された研究によると、出産費用はどの病院を選ぶかで約1万ドル違う。米国では出産が入院の主要な原因であるが費用についての研究は少ない。そこでYale大学医学部産婦人科生殖科学科のXiao Xu准教授が2011年の463病院の入院患者データを調べた。一回の出産の平均費用は施設により$1,189 から $11,986で、10パーセンタイルと90パーセンタイルで2.2倍の差がある。帝王切開や母親に重大な合併症がある場合は費用が高くなるが、これらは費用の違いのわずかしか説明しない。
(日本でも出産はいまや結婚式みたいなイベントになっちゃってるからねぇ。確かに100万円くらいは違うかな)