食品安全情報blog過去記事

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SPSでのリスクコミュニケーション

Risk Communication at SPS
16/07/2015
http://www.codexalimentarius.org/roster/detail/en/c/308434/
今週ジュネーブで行われたWTOのSPS委員会によるワークショップにコーデックスの事務局長が参加した。一つのセッションはリスクコミュニケーションとそのSPS協定履行における重要性についてのものであった。
WHOはリスクコミュニケーションを以下のように定義している:
 健康や経済あるいは社会的福祉の脅威に直面した人々と専門家の間でリアルタイムで情報、助言、意見を交換すること。リスクコミュニケーションの究極の目標は、リスクに晒された人々が自分やその愛する人を守るために情報を与えられた上での意志決定を可能にすることである。
話者にはFDAのリスクコミュニケーション助言委員会の議長であるRutgers大学のWilliam Hallman教授も含まれた。Hallman教授はリスクコミュニケーションをハザードやリスク、リスク関連要因やリスク認知について情報や意見を相互に交換すること、と説明した。IPPC、OIE、IICAの代表も含むパネルディスカッションではリスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーションの違い、リスク評価の結果をどうリスク管理やリスクコミュニケーションにつなげるか、リスク評価者とリスク管理者の間のコミュニケーションをどうやって改善するか、などを議論した。またリスクコミュニケーションに関連するガイダンスとなる国際的標準も探った。
現在のコーデックスのリスクコミュニケーションについてのガイドラインはWorking Principles for Risk Analysis for Food Safety for Application by Governments CAC/GL 62-2007である。このガイドラインでは食品に関連するリスクについて関心のある団体の懸念に関して情報を交換することの重要性を強調している。
良いリスクコミュニケーションは市場の破壊を予防する可能性がある。しかし当局が時期尚早に対応し食中毒原因について一般の人々に予備的知見のみに基づいてコミュニケーションをするとき、その農業や貿易への影響は極めて高くつく可能性がある。一つの例が2011年のドイツの大腸菌O104:H4のアウトブレイクである。