食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

砂糖、繊維、炭水化物の摂取量に関する助言を行ったSACNの炭水化物と健康に関する最終報告書についての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to final report from SACN (Scientific Advisory Committee on Nutrition) on carbohydrates and health, which makes recommendations on intake of sugar, fibre and carbs
July 17, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-final-report-from-sacn-scientific-advisory-committee-on-nutrition-on-carbohydrates-and-health-which-makes-recommendations-on-intake-of-sugar-fibre-and-carbs/
King’s College Londonの栄養と栄養学名誉教授Tom Sanders教授
私は彼らが集団平均でエネルギーの5%という低い値を薦めたことに驚いた。ほとんどの人がエネルギーの11%以上を摂取していることから現実的には厳しい目標である。フッ素の無かった時代にこれが虫歯を予防することを示した根拠があるのは認めるが、今の衛生状態の良い時代には価値は低下しているだろう。しかしながら子ども達の虫歯の増加については特に甘いものが子どもの歯を傷め食べないのがベストであることについては再度周知が必要であろう。
オタゴ大学人間栄養医学教授Jim Mann教授
SACNは食物繊維について薦め、食物繊維の多い「良質な」炭水化物を少なくともほどよく食べることを薦めている。私は一般の人々や保健の専門家は「砂糖を減らす」メッセージを明確に聞いて理解していると考える(実行するのは別問題)が、多くの人にとって実際に問題になるのは、極めて過激な全ての炭水化物を含む食品を制限して脂肪とタンパク質を制限しないことを主張している人たちと飽和脂肪の制限と適切な炭水化物の摂取を主張し続ける人たちの間での現在進行中の議論を理解することであろう。SACNの助言はこれまでの科学の最良の吟味と解釈に基づき、低炭水化物高脂肪アプローチは薦めない。これは、科学的根拠が無く英国やその他の国の通常の栄養助言からによる健康上のメリットを台無しにする、原始人(パレオ)ダイエットの提唱者の主張を否定する非常に重要なメッセージである。
Robert Gordon大学栄養名誉教授Brian Ratcliffe教授
この報告書はよく検討されていて根拠に基づくように見える。遊離の糖を総エネルギー摂取量の5%に制限し食物繊維を1日30gにすることは蓄積した根拠を反映したものである。これは公衆衛生栄養助言を明確にするために寄与するだろう。
UEAミネラル代謝教授Susan Fairweather-Tait教授
この報告書は相当な仕事を反映したもので極めて注意深く行われた。多くの健康上の問題がカバーされているが最も議論になっているのは遊離の糖を5%にという助言である。これは砂糖の摂取量と子どもや青少年の虫歯との関連に基づくもので、体重増加とも関連する。
細菌の炭水化物と糖についての3つ報告は少し違う結論になっていて、その理由はレビューの目的や根拠のレビューと情報収集のアプローチ、入手できたデータや選択したデータの違いなどによる可能性が高い。SACNは炭水化物と健康についての関連を明確にして公衆衛生の助言を行うために報告した。WHOの砂糖ガイドラインは非伝染性疾患を減らすために遊離の糖の摂取について助言を提供するためのものである。EFSAの食物繊維と炭水化物についての食事参照値は参照摂取量の範囲を導出するためのものでその中で砂糖は食事中の炭水化物として検討されている。
砂糖についてはこの全ての報告書で虫歯と体重増加との関連を検討している。EFSAは入手できるデータからは参照摂取量を設定できないとし、WHOは総エネルギー摂取量の10%以下にすべきという強い助言と5%については条件的助言とした。
遊離の糖については、SACNの助言をどうやって実行するのかには非常に興味がある。
英国心臓財団心臓の健康栄養士Tracy Parker氏
我々は待ち望んだSACNの報告書を歓迎する。砂糖の摂取量を半分にして繊維を劇的に増やすという明確な目標を与えた。この野心的目標にはフードチェーン全体の一致した努力が必要であろう。国民の食生活を改善するには我々全てに役割がある。