食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • IARCモノグラフ:批判と議論

The IARC monographs: critics and controversy
Jonathan M. Samet*
Carcinogenesis (2015) 36 (7): 707-709.
http://carcin.oxfordjournals.org/content/36/7/707.full
オープンアクセス
IARCワーキンググループの座長だったこともある人からのIARCの発がん性評価を擁護する意見
(グリホサートの件で引き起こされた批判をタバコ企業による陰謀と同じにするのは筋悪ではないかな。事例がホルムアルデヒドでグリホサートには触れないというのも

  • よくある化合物が一緒に働いてがんリスクを増やすかもしれない、研究が発見

Common chemicals may act together to increase cancer risk, study finds
20-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/osu-ccm072015.php
発がん性があるとはみなされていない85のよくある化合物の作用を、発がんに重要だと考えられるメカニズムの長いリストに比較した。がんの初期に見られる「特徴」から発がんを予想するモデルを作って85物質中50ががんの初期に見られる細胞の機能変化をおこすことを発見した。たとえばEDTAはDNA修復を阻害する。
カナダのNPO であるGetting to Know CancerによるHalifax プロジェクトの一環。Carcinogenesisに発表。
(環境団体による政治活動の一環としての論文発表。
http://www.gettingtoknowcancer.org/admin/uploads/press/CHE%20Webcast%20on%20Carcinogenesis_29.pdf
食品添加物や農薬を含む(人工の)環境化学物質ががんの原因で、がんの治療は食品を含む天然物で改良できるという主張のもとに集まった人たち。細胞増殖はがんに関係するから成長因子はがんの原因、という類の主張なのだが。学位をもった環境活動家がバイアスありまくりの論文を発表して「学界のコンセンサス」を一定方向に持っていこうとする活動は近年活発。それもまた学問の自由、らしい。)

  • 砂糖入り飲料の定期的摂取は2型糖尿病と関連する

Regular consumption of sugary drinks associated with type 2 diabetes
21-Jul-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-07/b-rco071715.php
BMJに発表されたレビュー。砂糖入り飲料の定期的摂取は肥満状態とは独立に2型糖尿病と正の関連がある。人工甘味料で甘味をつけた飲料とフルーツジュースも正の関連があるが根拠は限定的で砂糖入り飲料ほど明確ではない。
Consumption of sugar sweetened beverages, artificially sweetened beverages, and fruit juice and incidence of type 2 diabetes: systematic review, meta-analysis, and estimation of population attributable fraction
http://www.bmj.com/content/351/bmj.h3576