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砂糖入り飲料、人工甘味料で甘くした飲料と2型糖尿病の発症率を調査した研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study investigating sugar-sweetened drinks, artificially-sweetened drinks and type 2 diabetes incidence
July 21, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-sugar-sweetened-drinks-artificially-sweetened-drinks-and-type-2-diabetes-incidence/
我々の食事を構成する成分の正しいバランスをとることは重要であるが議論の多い研究分野である。そして砂糖、甘味料、2型糖尿病の関連の可能性について探った論文がBMJに発表された。著者は砂糖入り飲料と2型糖尿病の間に関連があると報告し、さらに人工甘味料またはフルーツジュースとの関連も報告しているが後の二つについてはバイアスによる可能性を示唆している。
糖尿病UKの研究部長Alasdair Rankin博士
この研究は砂糖入り飲料が健康に悪く2型糖尿病リスクを上げる可能性があるという根拠を付け加える。しかしこの研究はそれがカロリーのせいなのか他の理由なのかについては強力な根拠は提供しない。また研究者らは人工甘味料を使った飲料やフルーツジュースが2型糖尿病予防にはならないことを示唆しているがこの知見は限られたデータに基づくものでさらなる調査が必要である。
我々は2型糖尿病リスクを減らすためには、健康的な食生活の一環として砂糖入り飲料の量を減らすことを助言する。定期的運動と健康的食生活が健康体重維持と2型糖尿病予防に役立つことについては極めて強い根拠がある。
King’s College London栄養栄養学名誉教授Tom Sanders教授
私は砂糖入り飲料が英国で10年間で8万人の糖尿病の原因となるという計算については保留する。ソフトドリンクを多く飲む人は2型糖尿病リスクが増えるという結論は、糖尿病と診断される数年前に報告したソフトドリンクの摂取量記録に基づく。このような前向き研究の問題は、糖尿病の初期には液体を多く摂取する特徴があるということである。このことは特に人工甘味料を使った飲料での関連を一部説明する可能性がある。また肥満の人ほど人工甘味料を使うことがよく知られている。
この研究は砂糖入り飲料を多く飲むことに関連する相対リスクの増加が、肥満を調整した後に平均0.13(13%)と報告している。これは過体重や肥満のリスク増加が3-20倍(300から2000%)なのに比べると比較的小さい影響である。この小さな相対リスクを集団全体に当てはめて、英国で10年間に新たに診断されると予想される260万人の2型糖尿病の3.6%が砂糖入り飲料のせいだとされている。年齢と肥満と運動不足が2型糖尿病の主なリスク要因で、新たに発症する2型糖尿病患者のほとんどは50代以上で、砂糖を入れた紅茶を除くと砂糖入り飲料の主要消費者ではない。
英国人が砂糖入り飲料を完全に排除したとすると1日の飲料で115g、砂糖は約11gあるいは44kcal/dで、それ自体はエネルギー摂取量に大きな寄与はしない。しかし大量に摂取する人(たとえば1日3缶)にとってはメリットは大きいだろう。この研究は因果関係を証明したものではないしこれまで砂糖入り飲料を減らすことが2型糖尿病を減らすことを示した試験はない。しかしながら運動や減量、その中には砂糖入り飲料摂取を制限することも含まれる包括的食事改善対策が含まれる、が2型糖尿病を予防することを示した試験はある。