食品安全情報blog過去記事

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本の紹介

食品を科学する―意外と知らない食品の安全

食品を科学する―意外と知らない食品の安全

食品安全委員会から
基本これまで食品安全委員会が評価してきたことの説明になっています。本になっていると読みやすいし理解しやすいでしょう。この本に含まれる情報そのものは、コンパクトにまとまってはいませんが「無料で」食品安全委員会のウェブサイトから入手できます。でもそれを活用できる一般の人はそんなにいないです。記者ですら、ちゃんと食品安全委員会が情報提供しているのに、ろくに見ないで誤報を流しまくるのですから。
私にとっての読みどころは事務局長の「はじめに」だったりします。
「この賢人たちのお話を読むと目からうろこが落ちることはもとより、日ごろ当たり前だと思っていた常識、有機・健康食品のキャッチフレーズがいかに危ういものかと気が付けるのではないかと思います。まさに、あなたの食品安全の常識を覆すことをお約束します。」
今度は事務局長の著書を期待しています!


佐々木敏の栄養データはこう読む!

佐々木敏の栄養データはこう読む!

日本ではほぼ唯一?の栄養疫学の第一人者、佐々木先生の一般向けの本です。
ここ(blog)で紹介してきた論文も結構取り上げられていてわかりやすく解説されています。圧倒的根拠と信頼性のある主張がメディアで主流にならないのはともかく、学会ですら主流になっていないようであることが日本の最大の問題だと思います。現在日本で食育と称して行われているいろいろなことの多くが根拠のない思いこみであるという現状は全く嘆かわしいです。例えばいわゆる和食が健康的だという根拠はないのに和食が一番と言う人たちが政治力があったりします。この本は少々お高いのですが、その価値はあります。単なる妄想を垂れ流しただけの文章の本がアマゾンの食品や健康分野のベストセラーになっていますが、そんなものは何冊買っても役にたたないどころか有害ですらあるので、これを買った方がいいです。


乳幼児から高校生まで! 管理栄養士パパの 親子の食育BOOK (専門医ママの本・番外編)

乳幼児から高校生まで! 管理栄養士パパの 親子の食育BOOK (専門医ママの本・番外編)

doramaoさんの本です。可愛らしい装丁とイラストやカラーをふんだんに使った柔らかいイメージですが中身は「根拠に基づいた」堅いものです。食育を謳う類似本が中身までゆるふわで根拠がないのとは一線を画します。佐々木先生の本を、小さい子どもをもつ親御さん向けに敷居を低くしたような感じでしょうか。こういう本の選択肢が増えるのはとてもいいことです。

佐々木先生の本が本文はモノクロで図表はあるけれどイラストは特にないのに比べて成田さんの本は本文の文字にも色が使ってあります。これを見て思い出したのですが、私は薬学部出身ですが教科書というのは文字が黒いのが当たり前だと思っていました。ところがずいぶん前に栄養士向けの教科書に協力したときに、栄養士向けの教科書は本文の文字や図表に色がついているのが普通だと言われました。そのほうが読みやすいからだと。教科書を開いてぱっと見て小さい色無しの文字がびっしりだったらそれだけで読む気が失せる学生さんがいるとのことでした。1ページあたりの文字数が多くて情報量が多い方が教科書が軽くなっていいのに、と思う人種とはちょっと違うようです。というわけで、佐々木先生の本もdoramaoさんの本も、自分にあったほうを読めばいいと思います。



長村教授の正しい添加物講義

長村教授の正しい添加物講義

どちらかというと初心者向けの軽く読める本ですが、長村先生が過去に食品添加物が問題だと思っていたこと、それを考え直したことなどが書いてあって、そういう時代を経て今があることを改めて考えます。一度は正しいと思ったことでも新しい知見がでたら捨てる、というのは科学者なら当然のことですが、そんなに簡単ではないです。



寄贈本まとめての紹介になってしまいましたが、書店の店頭やネット書店のベストセラーがこういう本で一杯になればいいのに、と思います。