食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 殺虫剤処理蚊帳が実際どう働く?

How does an insecticide treated bed net actually work?
1-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/lsot-hda090115.php
マラリア予防には殺虫剤処理蚊帳(LLIN)が非常に効果的であるが蚊と蚊帳の相互作用についてはあまりよくわかっていない。リバプール熱帯医学校のベクター生物学者Philip McCall博士らがScientific Reportsに発表した研究では赤外線ビデオ追跡技術を用いて蚊帳の中で寝ているヒトに到達しようとする個々の蚊の動きを調べた。基本的にはこの結果はLLINが非常に効果的なヒトを餌にした蚊の罠として働くことを示した。LLINは蚊を遠ざけず非常に迅速に殺虫剤を蚊に投与する。LLINと接触した蚊は1分以内に活動が鈍り30分以内には飛んでいる蚊はいなくなった

  • 炭酸飲料が病院外での心臓が原因の心臓発作に関連

Carbonated drinks linked with out-of-hospital cardiac arrest of cardiac origin
1-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/esoc-cdl082915.php
欧州心臓病学会でのAll-Japan院外心停止レジストリの結果発表
Saku教授は結論する: "我々の炭酸飲料摂取データは支出に基づくもので関連は因果関係ではない。しかしこの知見は炭酸飲料摂取を制限することが健康に良いだろうことを示唆するthe findings do indicate that limiting consumption of carbonated beverages could be beneficial for health."

これについて
ACSH
炭酸飲料と心臓発作の研究は泡のような数学を使う
Soda-Heart Attack Study Uses Fizzy Math
September 1, 2015 by Josh Bloom
http://acsh.org/2015/09/soda-heart-attack-study-uses-fizzy-math/
欧州心臓学会で発表された日本人の研究がワシントンポストに取り上げられている。その研究では炭酸飲料に使ったお金が多いことが病院外での心臓が原因の心臓発作をおこす可能性の高さと関連するとしている。(福岡大学朔啓二郎教授らによる)
臨床試験の統計解析の専門家S. Stan Young博士による説明。
「朔らはこの手の論文をたくさん書いている。例えば「異なるシーフードの摂取と病院外での心臓が原因の心臓発作をおこす可能性の高さとの関連」ではアジとサンマを食べることがそれぞれ正と負の関連があると報告している。つまり彼らは何百という項目を調べて「統計学的に有意」になったら論文を書いている。彼らには400以上の論文があり、統計的には多重検定で、偽陽性であろう。この研究では785591の病院外での心臓発作症例があり、そのうち435 064 (55.4%)が心臓由来で350 527 (44.6%)が心臓以外由来である。これらを切り刻んで何らかの知見を得る方法はいくつもある。例えば女性と男性を分けてみよう。この研究では緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、フルーツあるいは野菜ジュース、発酵乳飲料、ミルク、ミネラルウォーターと炭酸飲料の9つがリストにあがっている。
(以下グラフで説明。摂取量というのは県ごとの購入金額データ?年間1人1500円くらいが最大ということは炭酸飲料年10本くらい?このデータを根拠に炭酸飲料を飲まないようにすれば発作が減ると主張するのは無理がある。そして最後に非常に高い関連を示す疑似相関のグラフ。自閉症の有病率とオーガニック食品の販売額はr=0.9971(p<0.0001)
もとデータはhttp://www.jaamohca-web.com/?患者さんの食生活なんて調べてない。県単位の家計調査で摂取量を推定するというのはいくらなんでも大雑把すぎるのでは)