食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 食事中ナトリウムとカリウムの多さは慢性腎疾患を悪化させるかもしれない

High dietary sodium and potassium may worsen chronic kidney disease
17-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/ason-hds091115.php
摂取量を減らすことが患者の健康を守るだろう
Journal of the American Society of Nephrology (JASN)に発表される研究によると、ナトリウムとカリウムの尿中排泄量の多さは慢性腎疾患の進行の早さと関連する。慢性腎疾患のある人はナトリウムを推奨摂取量より多く摂っている傾向がある。

  • イヌイットの高脂肪食への適応は遺伝子の組み合わせで説明できる

17-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2015-09/aaft-_2091415.php
(日本人の研究でもないのに何故か日本語だったので)

魚油はあなたにとって良い?DNAによる。
Is fish oil good for you? Depends on your DNA
By Elizabeth Pennisi 17 September 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/09/fish-oil-good-you-depends-your-dna
脂肪酸代謝に関わる遺伝子の違いが目立ったということでこういう考察をしている。
「ある人にとって健康によいものは他の人にとって健康的ではないかもしれない」

  • パーソナライズド抗がん剤は科学を追い越す

Nature
Use of personalized cancer drugs runs ahead of the science
17 September 2015
http://www.nature.com/news/use-of-personalized-cancer-drugs-runs-ahead-of-the-science-1.18389
臨床試験の結果個々の腫瘍の遺伝子に適合させた思弁的処方には利益がないことがわかった
遺伝子配列決定の費用が下がったため、がん専門医は高価な新薬を、たとえそれがそのがんの治療用に認可されていなくても、患者の腫瘍の遺伝子の特徴に応じて処方し始めている。しかしそのような適用外処方は科学的知識の現状を飛び越えていることがLancet Oncologyに発表された最初の臨床試験で示唆された。パーソナライズド抗がん剤の適用外処方には通常の化学療法に比べて何のメリットもなかった。現在既に多くのがん専門医が「パーソナライズド」アプローチをとっているため、この研究は重要である。「何故彼らは科学を捨ててしまったのか?」
特定の遺伝子突然変異をもつ特定のがんに対する認可された抗がん剤は僅かだが増加している。しかしがん専門医はこれらの薬が同様の突然変異をもつ他のがんにも効くのではないかと期待する。一部の統計では30%以上の抗がん剤が適用外使用されている。
(ただシークエンシングしてもそのがんにクリティカルな変異とがん化したために増えたどうでもいい突然変異を区別できないのである意味当然。)

  • ハチは蝶に新しい遺伝子を注入する

Scienceニュース
Wasps have injected new genes into butterflies
By David Shultz 17 September 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/09/wasps-have-injected-new-genes-butterflies
新しい研究によると、寄生バチは芋虫に卵を産み付けるときにウイルスDNAも注入しそれは芋虫の遺伝子の一部となって別の致死的ウイルスから守る機能をもつ。つまりハチは芋虫を遺伝子組換え生物にしている。ウイルスを用いた遺伝子水平伝達を明確に示した。PLOS Geneticsに発表

Safety concerns of herbal products and traditional Chinese herbal medicines: dehydropyrrolizidine alkaloids and aristolochic acid.
Stegelmeier BL, Brown AW, Welch KD.
J Appl Toxicol. 2015 Jul 7. doi: 10.1002/jat.3192.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jat.3192/full
USDAの著者らによる政府の仕事なのでパブリックドメイン、とある
10年前に、アメリカハーブ製品協会が米国で販売されている約5万のハーブ製品には約3000の植物種が使用されていると推定している。これらは規制されておらず、数はもっと多いだろう。ほとんどのハーブ製品はいろいろなものの混合物で品質や毒性に関するデータはほとんどない。
ハーブサプリメントによるがんの例を紹介する
中国ハーブ腎症(アリストロキア酸)
デヒドロピロリジジンアルカロイド
多くの国でハーブ製品は規制されていない。有害であるにも関わらず、消費者がナチュラルハーブは安全だと考えているため使用量が多様な分野(ハーブティーサプリメント、食品など)で増加している。消費者教育が必要。
参考
Pyrrolizidine Alkaloids: Potential Role in the Etiology of Cancers, Pulmonary Hypertension, Congenital Anomalies, and Liver Disease.
Edgar JA, Molyneux RJ, Colegate SM.
Chem Res Toxicol. 2014 Dec 26
ピロリジジンアルカロイドの摂取源として、ハーブ、お茶、スパイス、ハチミツ、ミルク、卵、サラダ、肉。
(後半は動物の餌由来。なのでオーガニックとか放し飼いとか宣伝してなければ多分入ってない)