食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 良くある化合物に暴露された男性の精子の運動性が低い

Lower sperm motility in men exposed to common chemical
24-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/lu-lsm092415.php
Lund大学プレスリリース
いわゆるフタル酸の一種であるDEHPに暴露された量が多い男性は精子の運動性が低く子どもを妊娠させるのが困難であるかもしれない。
18-20才の300人の男性の精子の運動性と尿中DEHP代謝物を調べたところ、最も暴露の少ない1/4の男性の精子は57%が前に向かって動いたが最も暴露の多い1/4の男性の精子は46%だった。
これについて
ACSH
精子の活動とフタル酸の話は流れに逆らう
Sperm Activity-Phthalate Story is Swimming Upstream
September 24, 2015
http://acsh.org/2015/09/sperm-activity-phthalate-story-is-swimming-upstream/
Environment Internationalに発表された研究によるとジエチルフタル酸(DEHP)暴露の多い男性は精子の運動性が低い−自発的に動くことが少ない−ので子どもを妊娠させるのが難しいだろう。おっかない話に聞こえる。しかしフタル酸は悪いのか?ではこの7ページの論文を見てみよう。この研究は18-20才の男性300人の尿中DEHP代謝物を暴露の指標として精子の室を調べた。
警戒信号1-3
1.尿中フタル酸代謝物は代理指標でありその意味は疑問である。個人の代謝効率をみているだけかもしれない
2.サンプルサイズが小さい
3.使用されているフタル酸類は数十あるがこのグループが測定しているのは6種でそのうち2つのDEHPとDEPのみに基づいて結論している
これだけではない。データは300人を4分割して調べている。
警戒信号4-6(表を参照)
4.DEHPについて、最も多い群と少ない群での精子の運動性の差は11%である。つまり良く動く精子は57%と46%でそれに意味があるかどうか疑わしい
5.DINPについては精子の容量が増えている。本当か?
6.もしあなたが正気なら他に研究者らが測定していることの意味を疑わなければならない
(つまり40以上の比較を行っていてそのうち2つに統計学的有意差がついたという表。この表を見て査読通したのならこの雑誌のレベルが疑われる、という代物。しかし環境系ではよくある)

  • モバイルアプリが我々の不規則な食習慣を記録する

Mobile app records our erratic eating habits
24-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/cp-mar091715.php
Cell Metabolismに発表されたSalk研究所の研究。人々が何時食べているのかを調べるためにユーザーが飲食したものの写真を送るだけのアプリをデザインし、ボランティアに3週間に渡って使ってもらった。その結果アメリカ人の食文化が明らかになった。
人々にとって携帯電話が一日中側にあるものになっていて写真を撮って送ることが普通の行為になっていることが伺えた。
(これは将来的には食事調査に利用できるようになる可能性が。これまで無視されてきた若い男性のデータをパイロットでとってみたら?)

ScienceShotでも紹介
Smartphone app tracks eating habits, helps people lose weight
By Kelli Whitlock Burton 24 September 2015
http://news.sciencemag.org/health/2015/09/smartphone-app-tracks-eating-habits-helps-people-lose-weight

  • 十代の少女が緑茶の飲み過ぎで肝炎になった

Teenage girl develops hepatitis after drinking too much green tea
24 Sep 2015
http://www.telegraph.co.uk/news/health/news/11889750/Teenage-girl-develops-hepatitis-after-drinking-too-much-green-tea.html
医師が言うには16才の少女が減量のために毎日緑茶を3杯3ヶ月飲んで肝炎(腎臓の感染症と書いてあるが多分間違い)になった
16才はめまいと吐き気と胃と関節の痛みを訴えて病院に来た。医師は最初尿路感染を疑って抗生物質を与えて自宅に帰した。2日後症状が悪化しBirmingham大学病院に行った。この時黄疸だった。肝炎と診断されたが処方薬や薬物、アルコールの使用歴はない。しかし彼女はインターネットで中国の緑茶を2箱注文して毎日3杯飲んでいたことを思い出した。痩せるためで、成分は中国語で書いてあった。あまり痩せず激しい関節の痛みとだるさを感じた。
BMJ Case Reports
Chinese green tea and acute hepatitis: a rare yet recurring theme
Sebastian Thomas Lugg et al.,
Published 23 September 2015
http://casereports.bmj.com/content/2015/bcr-2014-208534.abstract?sid=8f85ac6d-5f31-48d1-a7a9-e99ed726e356
(それ中身は緑茶じゃないだろう)