食品安全情報blog過去記事

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母乳を与えることとIQが高くなることに「意味のある関連はない」

Behind the headlines
'No significant link' between breastfeeding and higher IQ
Thursday September 24 2015
http://www.nhs.uk/news/2015/09September/Pages/No-significant-link-between-breastfeeding-and-higher-IQ.aspx
Daily Mailが「子どものIQについては母乳のほうがミルクよりいいということはない」と報道した。研究者らは双子早期発達研究に参加した子ども達の知能を2-16才の間に9回評価した。2才の時点では母乳の女の子がミルクよりほんの少し平均IQが高かったが男の子では影響がなかった。その後はミルクでも母乳でも差は無かった。
母乳のほうがIQが高いのではという考えは母乳にのみ含まれるある種のタンパク質が神経細胞の発達に重要な可能性があるという考えに基づく。これまでの研究では母乳を与えることで知能が向上すると報告されてきた。しかし古い研究は信頼できる結果を導くには不十分である可能性がある。母乳を与えることは脳を活性化するわけではないとしても感染予防などの利益はある。この結果は健康上の理由で母乳を与えることのできない女性を安心させる。主著者が言うように「ミルクで育てたからといって子どもが学位を取れなくなるわけではない」。
(後半、こどもの認知機能の発達を促したかったら本を読み聞かせたりクリエイティブな遊びをしたりするのがいいとある。それこそ母乳だ手作りだとどうでもいいことにこだわって疎かにしないように。)

関連

  • 母乳を与えることはIQを向上させない、研究が発見

Breastfeeding does not improve IQ, study finds
By Laura Donnelly,  23 Sep 2015
http://www.telegraph.co.uk/news/health/news/11886646/Breastfeeding-does-not-improve-IQ-study-finds.html
英国で行われた11000人の子どもについての研究。Public Library of Science ONEに発表。
Twins Early Development Study (TEDS)のデータを利用。
これまで多くの研究者が母乳で育てることがIQに良いかどうかを研究してきたがこれまでの研究は信頼できる結果を得るために十分なデザインになっていない。子どもも成人も認知機能は多様で、母乳かどうかのような小さなイベントが子どものIQのような大きく複雑なものの中核にあることはありそうにない。むしろ子どものIQの差は家族の背景や学校などの長期要因のほうがよく説明できる。もちろん母乳には免疫系などに利益はある。しかし母親が母乳を与えられなくても子どもに悪いことをしているわけではないことを知っておくべきである。ミルクを与えたからといって将来大学に行けなくなることはない。
(このニュースは欧米でわりと広く報道されている。母乳推進はいいのだが不必要なプレッシャーを与えたり誇大広告にならないように微妙なトーンの調整が必要で、マス・コミュニケーションは適切ではない感じ。身近にいる人がキーなのだがそこに地雷が埋まってるので困る)

  • 母乳かミルクか?モデルの選択への批判が赤ちゃんに何を与えるかについての紛争を明らかにする

Breast or bottle? Criticism of model's choice reveals conflict over feeding babies
Lauren La Rose, The Canadian Press 09.23.2015 |
http://www.calgaryherald.com/health/breast+bottle+criticism+models+choice+reveals+conflict+over+feeding/11387744/story.html
カナダのスーパーモデルCoco Rochaが娘にミルクを与えている写真をインスタグラムに投稿したところ批判が寄せられ、それらに対して「よけいなおせっかいunwanted advice」と回答している。5ヶ月まで母乳を与えていてそれからミルクになっている
(何故批判するのかのほうがわからない。だから母乳教と言われる)