食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 治療が肥満マウスが過体重の赤ちゃんを生むことを予防する

Scienceニュース
Treatment keeps obese mice from having overweight babies
By Kelly Servick 28 September 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/09/treatment-keeps-obese-mice-having-overweight-babies
肥満の母親からうまれた赤ちゃんは肥満になりやすい。しかし肥満妊娠マウスに妊娠最後の4日間アディポネクチンを静注すると、痩せたマウスからうまれた子どもと同じ体重になった。PNAS。

  • Journal of the American College of Cardiology

特集号 集団レベルの健康増進
SPECIAL FOCUS ISSUE: POPULATION HEALTH PROMOTION
http://www.sciencedirect.com/science/journal/07351097

  • 新しい研究は果糖と砂糖入り飲料の健康リスクを明らかにする

New research exposes the health risks of fructose and sugary drinks
28-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/acoc-nre092415.php
Journal of the American College of Cardiologyに発表されたレビュー。砂糖入り飲料の飲み過ぎは体重増加と2型糖尿病リスクを上げる。添加された糖の摂取量を減らす対策が必要。
(内分泌学会の主張よりこっちのほうがもっともらしい。肥満の人に砂糖入りの飲み物を減らせというのとレシートに触るなというのとどっちが役に立つと思う?)

  • 不飽和脂肪、質の高い炭水化物が心疾患リスクを下げる

Unsaturated fats, high-quality carbs lower risk of heart disease
28-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/acoc-ufh092415.php
飽和脂肪を排除することが心臓の健康を改善するが、新しい研究によると問題はその代わりにどの食品を使うかである。Journal of the American College of Cardiologyに発表された研究によると飽和脂肪を不飽和脂肪と質の高い炭水化物に置き換えることが心疾患リスクの削減には最も影響がある。ナース健康研究の121,701人の女性と医師フォローアップ研究の51,529人の男性のデータを解析し、糖尿病や心血管系疾患、がんのない84628人の女性と42908人の男性をフォローし冠動脈疾患インシデント7667を記録した。参加者は2-4年ごとの食事調査を24年から30年行っている。
(質の良い炭水化物というのは全粒穀物のようなもののことで、質の低い炭水化物は精白穀物やジャガイモなど)

  • 世界の食糧消費の心疾患への影響を検討した研究

Study examines impact of global food consumption on heart disease
28-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/acoc-sei092415.php
Journal of the American College of Cardiology。伝統的地中海食のようなパターンに世界の各地の食生活を変更できれば心疾患が減らせるだろう、という主張。
(不飽和脂肪の摂取量を増やし精白穀物とナトリウムを減らす、というのが多分和食推進ではできない)

  • 通常の血圧と新たに糖尿病になるリスク−410万人の成人からのエビデンスと前向き研究のメタ解析

Usual Blood Pressure and Risk of New-Onset Diabetes : Evidence From 4.1 Million Adults and a Meta-Analysis of Prospective Studies
Volume 66, Issue 14, 6 October 2015, Pages 1552–1562
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109715046951
このペーパーはオープンアクセス
高血圧だと糖尿病発症リスクが高い。関連はBMIと年齢が増すにつれて減る

  • 異なる生産システムにおける産卵鶏パフォーマンス;何故違いどうすれば違いが無くなるのか?オランダ、スイス、フランスの農家との議論とベンチマーキングとモデル計算

Laying hen performance in different production systems; why do they differ and how to close the gap? Results of discussions with groups of farmers in The Netherlands, Switzerland and France, benchmarking and model calculations.
Europ.Poult.Sci., 78. 2014, ISSN 1612-9199, © Verlag Eugen Ulmer, Stuttgart. DOI: 10.1399/eps.2014.53
http://www.louisbolk.org/downloads/2911.pdf
(ちょっと調べもの)
ケージではない鶏の飼育方法には、鶏小屋システム(巣や止まり木が複数ある小屋)、放し飼い(小屋の外に出られる)、有機農法(いろいろ細かいきまりがある)の三種類がある。
これらは生産効率と費用が異なり、生産費用は小屋が一番安くオーガニックが一番高い。主な理由は飼う密度とえさ代によるが死亡率と一羽あたりの産卵数も違う。死亡率はオーガニックが最も高い傾向があり、飼料効率も悪い。一般的にオーガニックや放し飼いは管理が複雑でスキルが必要である。それにも関わらずオーガニックや放し飼いによる生産が増加している。
これまでオーガニックでは普通の飼育方法と同じ遺伝子型の鶏を使っていたが生産性と生存率を上げるためには違う種類の鶏が必要である。EUでは2012年からケージ飼いが禁止されたのでそれらに適した鶏が必要。
農家の意見ではオーガニックのためには身体が重くてよく食べるしっかりした鶏が欲しい。オーガニックでは特に小さい時の死亡が多い。ブリーディング企業は行動上のパフォーマンスの良い(攻撃的でない、よく食べる、動かない)鶏を選んでいる。普通の飼育方法では餌の内容はアミノ酸を添加して調整できるがオーガニックではできないので重い鶏のほうが飼料コストが低くなる。
(オーガニックは環境にも鶏の福祉にも全然良さそうではないのに推進されているというのが謎。さらに卵の汚染物質濃度も高くて消費者にとっての安全性も別に優れていないのに。しかも日本と違って生で食べたらあたるよ)

Administration of thimerosal-containing vaccines to infant rhesus macaques does not result in autism-like behavior or neuropathology
Bharathi S. Gadad et al.,
http://www.pnas.org/content/early/2015/09/24/1500968112