食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 新しい米国のオゾン基準は環境団体も産業界も歓迎しない

ScienceInsider
New U.S. ozone standard won’t please greens or industry
By Puneet Kollipara 1 October 2015
http://news.sciencemag.org/environment/2015/10/new-u-s-ozone-standard-won-t-please-greens-or-industry
何年にもわたる議論を経て、EPAはスモッグの原因となる本日地表レベルのオゾン汚染基準値を強化した。しかしその値はEPAの科学アドバイザーが健康と環境を守るのに十分とした値ではない。
現在のオゾン基準は75ppbで、EPAはそれを70ppbに引き下げる。企業団体は現状維持を要求していたのでがっかりしている。一方環境団体も不十分だとしている。米国小児科学会や米国医師会などは60 ppbを推していた。米国胸部学会が発表予定の報告書では70ppbの基準では60ppbの場合より3700人が多く早期死亡するだろうとする予定である。EPA長官は60ppbに下げるには科学的根拠が十分強くはないという。
オゾンを巡る長い戦いはこれで終わることはないだろう。
(一方オゾン除菌などという家電があったりする謎)

  • 健康な乳組織細胞の遺伝的変異と非家族性乳がんリスクについての研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study on genetic alterations in healthy breast tissue cells and non-familial breast cancer risk
October 1, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-on-genetic-alterations-in-healthy-breast-tissue-cells-and-non-familial-breast-cancer-risk/
Genome Researchに発表された研究で、科学者のグループが、正常細胞とがん細胞の遺伝子を解析し、ある種の遺伝子の変化が散発性の乳がんの予測に使えるかもしれないと報告した。
ケンブリッジ大学がん疫学教授Paul Pharoah教授
これは生物学的/科学的見地からは面白いが臨床的に役にたつにはほど遠い。簡単に言うとこのグループは乳がん組織の近くの正常乳組織のゲノムに異常を発見し、同様の異常ががんにもあることを示した。しかしながらこのことはがんではないがそのような異常がある女のがんリスクが高いことを意味しない。さらにもしリスクの高さとの関連があったとしても、健康な女性の乳組織を生検してがんリスクを調べるのに使うことが臨床的に有用だとは考えにくい。

Danish neuroscientist gets court sentence for doctoring data
Thursday, October 1, 2015
http://news.sciencemag.org/sifter/2015/10/danish-neuroscientist-gets-court-sentence-for-doctoring-data
科学的改ざんが犯罪とされることは滅多にないがコペンハーゲン市裁判所は神経科学者のMilena Penkowaに9ヶ月の「条件付き禁固」を言い渡した、とRetraction Watchが報じた。コペンハーゲン大学のもと教授は実際に行っていない動物実験のデータを捏造した。裁判所によると彼女は2003年の学位のデータをでっち上げただけでなくその後たくさんのデータを偽造した。彼女が再び学術的詐欺を行うと実際に投獄される。
(この人、メタロチオネインを主に扱っていてキャリアの最初から不正行為により各種賞を受賞し若くて美しいエリート研究者として売り出していたらしい。不正は全く認めていない、誰にでも間違いはあるなどと開き直っている模様。)