食品安全情報blog過去記事

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MesnageらがPLoS ONE (2015)に発表した結果とDr SamselがFarm Warsに伝えた実験室での知見についてのレビュー

Review of results published by Mesnage et al. (2015) in PLoS ONE and the laboratory findings communicated by Dr Samsel to Farm Wars
EFSA Journal 2015;13(10):4258 [12 pp.].
6 October 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4258
MesnageらがPLoS ONEに発表した「実験動物用の餌には有害な量の環境汚染物質が含まれる:規制のための試験への影響」というタイトルの論文では市販の齧歯類用餌の環境汚染物質とGMOを調べている。5大陸から得た13の異なる市販の齧歯類用餌の検体から、農薬、重金属、ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン類及びジベンゾフラン類、GMOを検出している。この論文は既にこの分野にある知識にさらに付け加えるものであるが方法論に問題がある。用いた検体と分析法の詳細が記載されておらず、データは一部しかなく規制と結果の解釈が不適切である。ほとんどの農薬は検出されず(検出限界以下)、検出されたものもぎりぎり検出限界以上で、飼料や食品中の規制値より少ない。食品中の特定の規制値を超えているのは極一部の飼料で鉛のみである。ADIを超えることが齧歯類の健康リスクとなるあるいはバックグラウンドレベルの病気や疾患の原因であるという主張には科学的根拠がない。Farm Wars のウェブサイトに掲載されたDr Samselへのインタビューで齧歯類の餌3検体からグリホサートが検出されたとするが詳細が不明で科学的レビューはできない。結論としてEUの規制試験の妥当性に影響するような新しい情報は無い。
(http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150703#p9の件
関連

  • 世界の科学者が、全てのGMO試験は「汚染されている」と主張するホメオパシーの資金援助を受けたSéraliniの研究を評価する

Global scientists assess homeopathy-funded Séralini study claiming all GMO tests ‘contaminated’
July 2, 2015 | Genetic Literacy Project
http://www.geneticliteracyproject.org/2015/07/02/scientists-react-to-homeopathy-funded-seralini-study-claiming-all-gmo-tests-contaminated/
この論文は6月半ばにジャーナリスト向けに既に配布されていた。しかし予定より2週間以上遅れて、大きく2つの修正を行って発表された。
Séraliniはこの試験のお金がフランスのホメオパシー会社Sevene Pharma由来であることを開示しなかった。Seveneはグリホサートやアトラジンの有害影響を「デトックス」するというホメオパシー製品を販売している。これが明確な利益相半でPLOSから開示するよう要求された。またSéraliniは長くSevene Pharmaのコンサルタントでありいわゆるデトックス製品の宣伝に相当関与している。
二つ目の修正はアブストラクトから以下の文章が削除されたことである。「実験用齧歯類でのバックグラウンド病変の多さは餌の汚染のせいである可能性がある。このことはレギュラトリー試験で外部コントロール(歴史的データ)を使うことの妥当性を無にする。実験が違うと異なる汚染物質混合物を与えられているからである。さらにがん原性試験で一群50匹を使うことにも疑問を提示する」
以下反論や資料などがたくさん掲載されている
(もと論文はさらに8月に修正がある。世の中には微量な有害物質がたくさんあって健康に悪いからこのホメオパシー製品でデトックスしましょう、と宣伝してお金をもらっているということを隠して記者に報道させようとした。)