食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 何故象は滅多にがんにならないのか

Why elephants rarely get cancer
8-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/uouh-we100615.php
JAMAに発表されたユタ大学Huntsmanがん研究所アリゾナ州立大学の研究者らの論文。ユタHogle動物園との協力による。象は腫瘍抑制遺伝子として知られるp53をコードする遺伝子の修飾型の対立遺伝子を38追加で持つ。ヒトはたった二つしかない。さらに象はヒトより厳格な、傷ついた細胞を殺すメカニズムを持っている可能性がある。
象はヒトの約100倍の細胞をもち50-70年の寿命があることからヒトよりがんになりやすいはずだが実際にはがんになりにくい。象の死因に関するデータベースではがんによる死亡率は5%以下でヒトの11-25%より低い。
(マウスのような小さい生き物と象や鯨のような大きな生き物の細胞の大きさが同じなのはいつも不思議。)

Natureニュース
象はどうやってがんを避けているのか
How elephants avoid cancer
Ewen Callaway 08 October 2015
http://www.nature.com/news/how-elephants-avoid-cancer-1.18534

Scienceニュース
How elephants crush cancer
By Mitch Leslie 8 October 2015
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2015/10/how-elephants-crush-cancer

  • 職業発がん物質暴露と膀胱がんの検討

Examining contemporary occupational carcinogen exposure, bladder cancer
8-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/tjnj-eco100615.php
JAMA Oncologyに発表された研究によると、労働衛生は改善してきたが一部の産業では職業膀胱がんリスクが増加しているように見える。ただしリスクのある職業は時代とともに変わってきている。3140万人を報告した263論文のメタ解析。全体として最も膀胱がんリスクが高いのは芳香族アミン(タバコ、色素、ゴム、ヘアドレッサー、印刷及び皮革)と多環芳香族炭化水素(煙突掃除、ナース、ウエイター、アルミ労働、漁夫、石油労働者)に暴露される労働者で最もリスクが低いのは農業部門。

  • The Lancet:喫煙は中国の若い男性の3人に1人を殺すだろう

The Lancet: Smoking set to kill one in three young men in China
8-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/tl-tls100715.php
Lancetに発表された新しい研究によると、相当な人たちが禁煙しなければ、中国の若い男性の3人に1人は最終的にはタバコで死ぬだろう。中国では若い男性の2/3が20才前に喫煙を開始している

  • EUの食品部門での持続可能なエネルギーの使用には再生可能性と消費者の選択が鍵

Renewables and consumer choices key to sustainable energy use in EU's food sector
8-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/ecjr-rac100815.php
EUの食品産業におけるエネルギーの使用を解析した報告書によると、再生可能率は比較的小さく7%で全体のエネルギーミックス15%より少ない。食品部門の前進には課題が多く、企業や農家が努力をしているものの消費者にも果たす役割がある。
欧州JRCの報告書。
(消費者の協力というのは肉を減らす、季節のものを地元で買う、食品廃棄を減らす、オーガニックを選ぶ、など。何故オーガニックがいいのかは書いてなかった。肥料を減らすとか耕さないとかを過大評価して収量や飼料効率の悪さは考えないようだ。肉を食べず輸入せず温室は地熱のみで季節のものだけを食べたら廃棄するどころではないだろうから環境に優しいらしいのでどうぞ。)

  • 廃水処理施設は新しい化合物を完全には除去しない

Waste water treatment plants fail to completely eliminate new chemical compounds
8-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/uotb-wwt100815.php
廃水処理施設の排水口近くの魚の各種化合物濃度が予想通り高いという報告
Science of The Total Environment, Volume 536, December 2015, Pages 261-267

Flu drugs work and are needed during pandemics
8 October 2015
https://www.newscientist.com/article/dn28301-flu-drugs-work-and-are-needed-during-pandemics/
インフルエンザの薬のタミフルリレンザについては活動家達が効果があるという根拠がない、備蓄は無駄だと言い続けていた。今回英国医学アカデミーとウェルカムトラストによる独立した委員会が有用であると結論した。
Use of neuraminidase inhibitors in influenza
October 2015
http://www.acmedsci.ac.uk/snip/uploads/561529bcaa173.pdf

UK SMCが専門家の反応を集めている
expert reaction to report on use of neuraminidase inhibitor antiviral drugs (Tamiflu and Relenza) during seasonal and pandemic flu
October 8, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-report-on-use-of-neuraminidase-inhibitor-antiviral-drugs-tamiflu-and-relenza-during-seasonal-and-pandemic-flu/