食品安全情報blog過去記事

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その他

Neglected tropical diseases get the limelight in Stockholm
Erik Stokstad, Gretchen Vogel
Science 9 October 2015: Vol. 350 no. 6257 pp. 144-145
もしノーベル賞がそれにより救われた命でランキングされるとしたら、今年の医学賞はその上位になるだろう。30年以上前に行われたこれらの研究の影響は途上国の命を救い続けている。賞の半分はYouyou Tuに、残り半分はWilliam CampbellとSatoshi Ōmuraに与えられた。
Campbellは賞の発表直後にScienceに対して「私はびっくりした。このようなグループでの努力にこの賞が与えられることはないと思っていたので」と語った。しかし多くの熱帯病研究者らは、主に基礎科学に賞を与えるストックホルムがこの分野を認識したことを歓迎する。「途上国の人々の現実の生活に役立つ仕事が認められたことは素晴らしい」
(略)
Ōmuraも驚きを表明した。「私は自分の仕事が人々を救ってきたことをいつも誇りに思っている。私は人々を助けようとしてきた。しかしそれはノーベル賞受賞者になることとは違う」とNHKのインタビューに答えている。

  • オンラインデートと統計のダークアート

STATS
Online Dating and the Statistical Dark Arts
by Giles Hooker | Oct 8, 2015
http://www.stats.org/online-dating-and-the-statistical-dark-arts/
最もたちの悪い統計学的技巧のひとつが、実験データの解析の際にどのモデルを選ぶか、にある。統計モデルはあなたの実験に対する理解を示しあなたの結論を支持する根拠の強固さを調べることができる。異なるモデルを選ぶことで全く異なる結果を得ることができるので、科学者や統計学者は最も都合の良いモデルを選ぶ誘惑に駆られる。多くのモデルを探して「有意」差がつくものを選ぶことが最近多く報道されている。これは統計の深刻で広範な問題である。しかしこの記事はそれについてではなく、データを解析するときに決めなければならないことについて、である。
教科書的には、実験を始める前に実験計画やどうデータを収集するのか、どんな解析をするのかを決めておく。しかし残念ながら科学はそれほど単純ではなく、しばしば調査や観察に頼らざるを得ない。ここに一例を紹介する。
オンラインの出会い系サイトでの結婚の幸福度についての研究で、オンライン見合い会社がお金を出したものである。ただし研究そのものは透明性高く行われた。結果としては結婚相手として最良なのは高校時代の恋人、次がオンラインであった(例えばバーで出会った人より統計学的に良かった)。統計学的には最も明白な批判点はエフェクトサイズがごく僅か(満足度のスケールが1から7のうち一方は5.5で一方は5.6)であり、有意差がついたのは19000カップルを調べたからである。しかし調査法を見るとさらに興味深いことがわかった。著者はオンライン調査会社に依頼してお金を払ってユーザーを集めている。最初の19万ユーザーから5年以内に結婚などの条件で6万にスクリーニングし最終的に19000が対象になった。脱落率が2/3である。これは回答しないバイアスがある可能性がある。そもそもオンライン調査に喜んで参加する人たちはオンラインデートをしやすい傾向がある。そして脱落率の高さの影響は目に見えない。このことが結果に影響するだろうか?エフェクトサイズの小ささを考えると「オンラインデートのほうが良い」という結果には確信が持てない。それでもこの調査の正当化できる結論としては、もしあなたがオンラインで最後まできちんと調査に答えるような人に会ったら、良い選択をする可能性がほんの少しだけ高いかもしれない。
(以下ジャーナリスト向けの教訓等長く続く)

  • 反ワクチン活動躓く

Anti-vaccine effort stumbles
10.08.15.
https://www.newsreview.com/chico/anti-vaccine-effort-stumbles/content?oid=18664800
ワクチン法案を覆すための署名が足りない
カリフォルニアの子ども達に学校に行く場合は予防接種を義務づける法をひっくり返すために署名が集められているが、投票に持ち込むために必要な数365880に対して、約20万で不足。