食品安全情報blog過去記事

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Natureニュース
Poorly-designed animal experiments in the spotlight
Daniel Cressey 13 October 2015
http://www.nature.com/news/poorly-designed-animal-experiments-in-the-spotlight-1.18559
権威ある雑誌や機関だからといってきちんとした試験の保証にはならない
医薬品の動物での前臨床試験には、たとえそれが最も有名な雑誌に発表されたものであっても、あるいはトップランクの機関で行われた者であっても、計画の悪さによる相当なバイアスのリスクがあることを数千の論文の解析の結果が示唆する。そのような実験のバイアスを避けるために基本的な手順を踏むことができる、とエジンバラ大学のMalcolm Macleodは言う。それらは動物の無作為割付、統計学的にしっかりした結果を得るためにどのくらいのサンプルが必要なのか計算すること、実験が終わるまでどの動物が何の処置をされているのか調査する人に知らせないこと、そして利益相反の宣言、である。
「科学の世界にいる人は無価値な実験をすべきではない。」しかし多くの論文がこれらの方法に言及していない。1992年から2011年に発表された動物実験の論文2671を解析した結果、無作為化は25%、ブラインド化は30%、サンプルサイズの計算は1%以下、COIは12%しかなかった。論文は無作為に選んだのではなく、実験的疾患治療のメタ解析に含まれているものである。遅い時期の論文のほうが早いものより無作為化・ブラインド化・COIは多いが45%に達することはなかった。あきらかにもっと改善できる。
同じく本日発表された別の解析では、抗がん剤sunitinibの動物実験には質の悪いデザインが蔓延している。カナダのMcGill大学のチームが158の前臨床研究を解析したところブラインド化とサンプルサイズ計算は一つもなく、無作為化は58のみだった。研究者らが発表しているのはポジティブな結果が出やすいバイアスがあり、発表された研究はがんに対するsunitinibの効果を45%過大に推定していると考えられる。この研究を行った生命医学倫理学者Jonathan Kimmelmanは、雑誌の編集者、レフェリー、研究機関、そして研究者全てが質の悪い論文に責任がある、という。

Scienceでも
Most animal research studies may not avoid key biases
By Martin Enserink 13 October 2015
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2015/10/most-animal-research-studies-may-not-avoid-key-biases
こっちは結果のグラフがあったりしてわかりやすい
動物実験で期待できたのに臨床試験で全然、というのが多すぎる理由の一つではある。ちゃんと実験する人より派手に宣伝する人のほうが偉くなるのも事実だし。)

  • がんサバイバーはしばしば食生活が貧しく、そのことが長期の健康に影響しうる

Cancer survivors often have poor diets, which can affect their long-term health
13-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/w-cso100715.php
米国のほとんどのがんサバイバーは健康のための食生活や食品選択に関心があるが、その食生活はしばしばガイドラインに比べて不足している。CANCERにオンライン発表。
がんサバイバーは各種健康問題リスクが高くなっていて、食生活は数少ない変えられるリスク要因の一つである。Fang Fang Zhangらのチームは1999年から2010年のNHANES調査に参加した1533人の食生活を解析した。その結果、がんサバイバーはがんになったことのない人より健康的食事ガイドライン遵守率が低く、特に緑黄色野菜や全粒穀物の摂取が少ない。また食事の質は高齢になるほど高くなり、教育レベルの低いほうや喫煙者が悪い。がんの種類別では乳がん患者が最も質が良く肺がん患者が最も食事の質が悪い。

  • グリホサートとアセタミプリドはミツバチには比較的毒性が低いことを研究が発見

Study finds glyphosate and acetamiprid to have relatively low toxicity for honey bees
13-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/esoa-sfg100815.php
Journal of Economic Entomologyに発表された、42のよく使われている農薬を現実的な野外条件で調べたUSDA-ARSの研究者らによる研究。
26の殺虫剤は殺虫剤スプレーで触れたほぼ全てのミツバチを殺すが、グリホサートとアセタミプリドを含む7農薬は現実的にはこの試験で一匹も殺さなかった。
"Spray Toxicity and Risk Potential of 42 Commonly Used Formulations of Row Crop Pesticides to Adult Honey Bees (Hymenoptera: Apidae),"

  • 依存症の数は増えているが薬物治療の割合は停滞したまま

Number of addicted rises, but percentage in drug treatment remains stagnant
13-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/jhub-n100815.php
過去10年でヘロインの過剰使用による死亡は4倍になり、処方鎮痛剤による死亡は劇的に増えたが、そのようなオピオイド濫用や依存を治療している人の割合は同じままである。JAMAの2015年10月13日号。

  • 医療用ではない処方オピオイド使用疾患や死亡が米国で増加している

Nonmedical prescription opioid use disorders, deaths increase in the US
13-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/tjnj-npo100815.php
JAMAの2015年10月13日号に発表された研究によると、2003年から2013年の間に、処方オピオイドの非医療用使用率は米国成人で減少したが、処方オピオイド使用疾患、使用頻度および関連死が増加している。
1999年から米国では処方オピオイドの非医療用使用に関連する疾患や死亡が増加している。この流行の理解のために薬物濫用精神衛生局のBeth Han, M.D., Ph.D., M.P.H.,らが2003-2013全国薬物使用と健康調査の472200人のデータと2003-2013全国バイタル統計システムの死因ファイルを用いて解析した。処方オピオイド使用疾患にはアルコール、大麻、コカイン、幻覚剤、ヘロイン、吸入剤、処方鎮痛薬の非医療用使用、鎮静剤、興奮剤への依存または濫用がある。
エディトリアルは「オピオイドの流行に対応する」