食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 研究者らがたくましいビーグルを作るためにイヌのゲノムを切り取った

Scienceニュース
Researchers snip dog genomes to make buff beagles
Tuesday, October 20, 2015
http://news.sciencemag.org/sifter/2015/10/researchers-snip-dog-genomes-to-make-buff-beagles
CRISPR-Cas9で遺伝子編集される最新の種はイヌである。Journal of Molecular Cell Biologyに発表された研究によると中国の研究者らが筋肉抑制遺伝子ミオスタチンをビーグル犬の胚のゲノムから切り取った。2頭で成功し普通のビーグルの2倍の筋量のイヌができた。

Men’s Health Supplement Use and Outcomes Among Men Receiving Definitive IMRT for Localized Prostate Cancer
N.G. Zaorsky et al.,
International Journal of Radiation Oncology
November 1, 2015Volume 93, Issue 3, Supplement, Pages E194–E195
http://www.redjournal.org/article/S0360-3016(15)01775-7/fulltext
フィラデルフィアのFox Chaseがんセンターの患者のデータを解析した。一般的マルチビタミンやミネラルではない、「男性の健康」「男性用フォーミュラ」「前立腺の健康」を謳ったサプリメントを使用していることとアウトカムの関連について調べた。2001年から2012年の間にIMRTのみで治療した2301人の男性患者のうち男性の健康用サプリメントの使用報告者は232人(10%)。最も多いのはノコギリヤシで91%。各種指標でサプリメント使用者と非使用者に差はない。
(お金の無駄ということ)

Later age recommended for first screening mammogram
20-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/tjnj-lar101615.php
米国がん学会の乳ガンスクリーニングガイドラインの変更点の中には、平均的リスクの女性の毎年のマンモグラフィー検査は45才で開始、早い人は40才、55才以上の女性は毎年から隔年に減らすべきであるが毎年でもよい、定期的臨床的乳がん検査はもはや薦めない、がある。JAMA。
http://jama.jamanetwork.com/journal.aspx
ACS 2015 Breast Cancer Screening Guideline特集がある
これまで40才を薦めていたACSでもUPPSTFと同様45才未満のスクリーニングは害の方が大きいと判断された。これが米国の話なので日本人だとさらに後ろになるのでは。

  • 研究が低レベル放射線に関連するがんリスクのより正確な推定を提供する

Study provides more precise estimates of cancer risks associated with low level radiation
20-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/b-spm101615.php
BMJに発表された原子力産業労働者の長期低レベルイオン化放射線暴露に関連するがんリスクのより正確な推定。結果は暴露量が増加するとがんの相対率が直線的に増加することを示唆するもので現在の放射線防護基準の科学的根拠をさらに強化するものである。
フランス、英国、米国の308297人の労働者、多くが男性、を外部被曝を監視して平均27年フォローしたデータを用いた。
白血病を除く全てのがんによる死亡率は累積線量1グレイ当たり48%の増加で、ユニット線量あたりのリスクは日本の原子爆弾生存者の研究から推定されたものとほぼ同等であった。平均的労働者にとっては生涯がん死亡リスクはベースラインの約25%から約0.1%の増加。
Risk of cancer from occupational exposure to ionising radiation: retrospective cohort study of workers in France, the United Kingdom, and the United States (INWORKS)
David B Richardson et al.,
BMJ 2015;351:h5359
http://www.bmj.com/content/351/bmj.h5359
エディトリアル 職場のイオン化放射線
Ionising radiation in the workplace
Mark P Little
BMJ 2015;351:h5405
http://www.bmj.com/content/351/bmj.h5405
リスクは低いがノーリスクではない
この研究の強みは各種コホートからの概ね完全なリクルート、国の死亡登録の利用、包括的線量再構成、フィルムバッジに記録された線量を結腸の累積線量に補正したことなどがある。弱点は放射線とがんのリスクに交絡すると考えられる喫煙のような重要な社会経済学的及びライフスタイル要因についての情報やアスベストなどの職業暴露の情報がないことである。
(他いろいろ注意点あり。)

  • 中世で豊かであることは不健康な生活につながる

Being rich in the Middle Ages led to an unhealthy life
20-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/uosd-bri102015.php
中世では金持ちのみが美しい装飾を施された食器で食事をとることができた。しかしその飾りは鉛でできていたので、食品が酸性だと人体に入る。デンマークとドイツの墓地の骸骨の化学分析から明らかになった。Journal of Archaeological Science: Reportsに発表。
さらに水銀が医薬品として使われていたために都市部の豊かな人たちの水銀濃度が高い。研究対象の骸骨の約半分はハンセン病であり水銀はハンセン病や梅毒に使用された。