食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 製品レビュー:プロバイオティクス(成人、子ども、ペット用)とケフィア

コンシューマーラボ
Product Review: Probiotics (for Adults, Children and Pets) and Kefirs
11/1/15
https://www.consumerlab.com/reviews/Probiotic_Supplements_and_Kefir/probiotics/
実際に何が入っているか?驚くだろう!
製品により1日あたりの微生物の量は数百万以下から9000億まで90万%以上違う。表示してある「生きた」微生物の半分以下しか含まないものがある。犬猫用のものは相対的にごく僅かしか含まず効果があるとは思えない。ケフィアについてはブランドにより生きた細胞の数が大幅に違う。またケフィアは乳糖不耐の人に薦められていることがあるが、乳糖を測定してショックを受けた。宣伝文句に異議がある。

  • 低脂肪食の影響は小さい

Natureニュース
Low-fat diets have low impact
Heidi Ledford 30 October 2015
http://www.nature.com/news/low-fat-diets-have-low-impact-1.18678
大規模解析が何十年にもわたる医学的助言は間違っていたことを発見
The Lancet Diabetes and Endocrinologyに発表された研究が、低脂肪ダイエットが高脂肪ダイエットより効果的ではないことを示しこれまでの助言を否定した。Natureが何故低脂肪ダイエットがこんなに広がったのか、次はどんな食事が勧められるのかについて探った。
この知見は驚くべきものか?
低脂肪食のほうが良いという説は長い間疑問視されてきた。何十年も減量のために脂肪を減らすよう呼びかけてきたが肥満は増え続けてきた。低脂肪食が肥満予防にならないのは明白であるようだ。この研究の主著者であるBrigham and Women’s病院の疫学者 Deirdre Tobiasは言う。
しかし店にはまだ低脂肪を宣伝した食品に溢れている。誰もメッセージを受け取っていない?
まだ低脂肪を宣伝している人たちは多いがTobiasは変化が始まるだろうと期待する。米国ではこれからUSDAが食事ガイドラインの更新版を発表する。科学報告書では一日の脂肪の摂取量の上限を廃止することを薦めている。
何故脂肪が批判されてきたのか?
どんな食事法でも、減量にとって重要なのは摂取カロリーより消費カロリーを多くすることである。脂肪は重量当たりのカロリーがタンパク質や炭水化物の約2倍なので、全体のカロリーを下げるには脂肪を減らすのは合理的である。これが失敗した理由はわからないが、しばしば脂肪の代わりに炭水化物が使われその結果満腹感が減り食べ過ぎにつながった可能性はある
脂肪は復権するか?
減量に関する限り、健康的な脂肪を減らす必要はない。しかし飽和脂肪については他の健康上の問題と関連する。
どうして長期的には全てのダイエット法が芳しくないのか?
ダイエッターは最初のうちはきちんとやるがすぐに元に戻ってしまう
ダイエットは減量に役にたたない?
必ずしもそうではない。この報告は平均についてのもので参加者の一部は1年以上減量をキープしている。一方体重が増えた人もいる。
栄養士は特定の栄養素を問題にするのではなく全体的な食パターンを見るよう変化してきている。公衆衛生メッセージはより複雑になり臨床試験はさらに困難になるだろうが、食事法は個人的に最適化されるようになるだろう。

  • 科学者がメガマイクロバイオームイニシアチブについて議論する

Scientists debate mega-microbiome initiatives
Rachel Becker 30 October 2015
http://www.nature.com/news/scientists-debate-mega-microbiome-initiatives-1.18692
提唱者は研究のスタンダード上げると主張し批判者は研究の創造性が抑制されるという
ScienceとNatureに10月28日に発表された主張で、マイクロバイオーム研究者が協力してこの分野を前進させるための国家的ありは国際的イニシアチブが必要だという。異なる研究を比較できるようにするために、微生物の研究のための標準を開発するという。この二つの記事は議論のきっかけにすぎない。
Scienceの記事は米国の研究者によるもので国によるUnified Microbiome Initiative (UMI)を提唱する。一方Natureの記事は米国・ドイツ・中国の研究者らが米国の研究者の提案に反応したものでInternational Microbiome Initiative (IMI)を提案する
(方法論が進歩中ということもあり議論は続く。でも学問がこういう状況なのに腸内細菌に作用して健康に良いとか言えると思う?)

  • ネオニコチノイドがミツバチにどう影響するのかについて我々が知っていることを探る研究

Study explores what we know about how neonicotinoids affect bees
30-Oct-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-10/uog-sew103015.php
国際授粉専門家集団がネオニコチノイドのミツバチへの影響についての何年もの科学的根拠についてまとめた二つ目の要約をProceedings of the Royal Society Bに発表した。
過去10年400以上の研究が発表されてきたが多様な、あるいは矛盾する結果を出し農家や政策決定者にとって根拠に基づいた意志決定をするのが困難である。Guelph大学の環境科学教授Nigel Raineらは2014年5月に最初のレビューを発表している。その後80以上の新しい研究が出たためレビューを更新した。
このトピックスについてはたくさんの研究があるにもかかわらず、政策決定者が利用できる根拠はほとんどない。殺虫剤は昆虫を殺すようにデザインされたもので、ミツバチは昆虫なので、十分高濃度に暴露されれば殺される。問題なのは野外での暴露量がどれくらいでどう影響しているのか、である。現在の根拠はネオニコチノイドの影響はマルハナバチや孤立性のハチのほうがミツバチより大きいことを示唆している。

  • トリック・オア・トリート:「危険な」パンプキンラテのお話

Trick or Treat: The tale of ‘dangerous’ Pumpkin Spice Latte
Alison Bernstein | October 28, 2015
http://www.geneticliteracyproject.org/2015/10/28/trick-treat-tale-dangerous-pumpkin-spice-latte/
スターバックスがパンプキンスパイスラテのレシピ変更を発表した:カラメル色素をやめてホンモノのカボチャを加えた。何故?CSPIや“Food Babe”などの活動家による「より健康的に」見えるようにという間違ったキャンペーンに誘導された結果である。
彼らはカラメル色素には4-メチルイミダゾールが含まれると悪者扱いし量を考えずに発がん物質だと主張した。天然にメイラード反応で生じるコーヒーなどに含まれるものは無視した。このスターバックスの決定はマーケティングによるもので、消費者をより安全になったと欺く。なぜなら怒りの対象は人工のものだけで天然物には全く変化がない。
毒性研究者として私は有害物質への暴露は減らしたい。しかしこの手の運動は何の効果もない。消費者やジャーナリストは重要な役割があるがそれは全て正確な情報に基づくかどうかに依存する。
以下ビスフェノールAとその残念な代用品、抗生物質耐性と間違った証拠、など長い記事。
みんなが使える科学的根拠に基づいた化学物質情報のデータベースがたくさんある、と各種情報にリンクがある。

Chipotle shuts Seattle, Portland stores after E. coli outbreak
Sun Nov 1, 2015
http://www.reuters.com/article/2015/11/02/us-chipotle-ecoli-idUSKCN0SQ2CE20151102
エストコーストでChipotleの客を含む大腸菌アウトブレイク約20人について当局が調査中でこの地域の全店舗を閉鎖する。Chipotle レストランの食中毒アウトブレイクは8月以降3度目で、これまではサルモネラ(9月にChipotleのトマトに関連して数十人)とノロウイルス(8月にノロウイルスで約80人)。
今回は10月14日から23日の間にChipotleで食事をした11才から64才の少なくとも19人が病気になっていてまだ増えるだろう。
Chipotleは「ヘルシーで高品質なフレッシュなものを使う」を宣伝文句に急激に店舗数を増やしてきたが、加工が少ないということは栄養的には良いかもしれないが食中毒リスクは高くなると専門家は言う。

(参考
「遺伝子組み換え食品、使いません」アメリカの人気ファストフード店が宣言した理由とは
2015年04月30日
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/29/chipotle-only-gmo-free-food_n_7169942.html
食品衛生の基本を疎かにしてこういう間違った方向を称賛するから・・)

  • Staffordshireにスーパーラット警告

Super rats alert in Staffordshire
By Staffordshire Newsletter | Posted: November 01, 2015
http://www.staffordshirenewsletter.co.uk/Super-rats-alert-Staffordshire/story-28085393-detail/story.html
英国害虫コントロール協会(BPCA)が毒が効かないスーパーラットの増加を警告している。
自宅を自分で対策しようとする人たちが事態を悪化させる。今や市販の毒は効かないので専門家に依頼するしかない。

  • パースの母親が乳児用ミルクの入手に苦労しているるためスーパーマーケットが乳児用ミルクの中国人への販売制限を決める

Supermarkets spell out baby formula limit in Chinese as Perth mums struggle to feed infants
REGINA TITELIUS |November 01, 2015
http://www.theaustralian.com.au/news/supermarkets-spell-out-baby-formula-limit-in-chinese-as-perth-mums-struggle-to-feed-infants/story-e6frg6n6-1227589431021
一度に180缶もの大量のミルクを買って中国に売る(オーストラリアで約5000ドルが中国だと2万ドルになるので)人たちのせいでミルク不足になっている。中国政府が一人っ子政策をやめたことでさらに不足が懸念されている。

  • 乳業廃止キャンペーンに批判

'Ditch dairy' campaign slammed
COSIMA MARRINER 02 Nov, 2015
http://www.theland.com.au/news/agriculture/cattle/dairy/ditch-dairy-campaign-slammed/2747036.aspx
栄養ガイドラインに反する動物福祉団体の「乳製品ボイコット」キャンペーンが子ども達の健康に悪影響があると批判されている。
クイーンズランド動物解放団体が、乳牛から生まれた雄の仔牛Bobbyが生後5日で殺されたこと、母親のDaisyもミルクが出なくなると殺されたという物語を取り上げて彼らが長寿を全うできないことを強調し、そのような悲劇を避けたければ乳製品を買うなと言う。さらに乳製品はがんや心疾患の原因だと主張する。
国立健康医学研究評議会は乳製品を薦める現行のガイドラインを支持し「特定の食生活や気まぐれな食事法を薦める団体は無数にある」という。