食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 神話と事実

Myth vs Fact
http://www.hormone.org/hormones-and-health/myth-vs-fact
内分泌学会のリソースセンターであるホルモンヘルスネットワークHormone Health Networkがファクトシートを提供
ホルモン関連で詐欺的治療やサプリメントの販売目的で「診断」される病名も含まれる
男性更年期」が最近のもの
男性更年期
そんなものはない。テストステロン濃度が低下するのは単純に加齢の症状あるいは臨床的にはテストステロン欠乏症等とよばれる
・副腎疲労
それは病名ではなく血液検査で診断できるようなものでもない。副腎が疲れていることを検出できる検査法は存在しない。副腎疲労治療用とされるサプリメントやビタミン剤は安全ではない可能性がある
・「若返り」ホルモン
成長ホルモンやDHEAには加齢を抑制するとか若返る、体重を減らす等たくさんの宣伝が行われているがそれらに根拠はない
・hCGダイエット
1日500カロリーの食事制限は安全ではなくそれで痩せたとしてもhCGのせいではない。食事制限が伴わなくてもhCGの注射には多くのリスクがある
・ウィルソン症候群
代謝異常のウィルソン病ではなく1990年にE. Denis Wilson 医師が提唱した“Wilson’s Temperature Syndrome”のこと。甲状腺ホルモンの欠乏で多様な症状が出るという主張だが根拠が無く医学的診断とは認められていない。
男性更年期や副腎疲労で検索するとサプリという単語がオススメされる。それだけで怪しいと判断できるようにして欲しいな)

  • 植物油で調理すると発がん物質ができる、と専門家が言う

Cooking with vegetable oils releases toxic cancer-causing chemicals, say experts
By Robert Mendick, Chief Reporter
8:13PM GMT 07 Nov 2015
http://www.telegraph.co.uk/news/health/news/11981884/Cooking-with-vegetable-oils-releases-toxic-cancer-causing-chemicals-say-experts.html
Martin Grootveld
アルデヒド類“aldehydic lipid oxidation products” (LOPs),が生じると

7月のテレビ番組の話が今頃取り上げられているらしい
DMU research on 'healthiest' cooking oils revealed on BBC's Trust Me, I'm a Doctor
Tuesday 28th July 2015
http://www.dmu.ac.uk/about-dmu/news/2015/july/dmu-research-on-healthiest-cooking-oils-revealed-on-bbcs-trust-me,-im-a-doctor.aspx
Grootveld, M., Ruiz-Rodado, V. and Silwood, C.J.L. (2014) Detection, monitoring and deleterious health effects of lipid oxidation products generated in culinary oils during thermal stressing episodes. Inform, American Oil Chemists’ Society, 25 (10), pp. 614-624

これか
http://aocs.files.cms-plus.com/InformPDF/Volume_25_10_NovDec2014.pdf
ひまわり油の加熱で生じるLOPとはtrans-2-アルケナール類、trans,trans,アルカ2,4-ジエナール、cis,trans,アルカ2,4-ジエナール、4-ヒドロキシ-trans-2-アルカナール、n-アルカナール、その他
WHOの基準って何だと思ったらアクロレイン(最も毒性の高いアルファベータ不飽和アルデヒド)の耐容摂取量7.5 microg/kg/d(0.13 microMol)

  • 肉の摂取、調理法、腎臓がんの研究についての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to a study on meat consumption, cooking methods, and kidney cancer
November 9, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-a-study-on-meat-consumption-cooking-methods-and-kidney-cancer/
雑誌Cancerに発表された仕事で、肉と腎臓がんの一種について研究して、調理の際に生じる化合物により腎細胞がんリスクが上がるかもしれないと報告された
食品研究所名誉フェローの栄養研究者Ian Johnson博士
腎細胞がんは開発途上国より収入の多い国で多いので西洋風ライフスタイルに一部関係があるように思える。肥満はリスク要因だが一部の研究では肉の大量摂取も示唆されている。この研究はその仮説を支持する。しかしながらほとんどのがん同様、個人のリスクは遺伝と環境の組み合わせによる。この新しい結果は人体の、肉の高温調理で生じた変異原性化合物の代謝能力に関与する遺伝子の多様性を示唆する。この仕事は面白く知見はありそうだが比較的小規模の単回試験で、著者自身が言っているようにさらなる研究が必要である。それまでは肉や加工肉の摂取については保健省のガイドラインに従うのが賢明であろう。ただ腎細胞がんは英国では比較的希ながんなので肉による余剰リスクは全体としてはごく僅かだろう。
‘Gene-Environment Interaction of Genome-Wide Association Study-Identified Susceptibility Loci and Meat-Cooking Mutagens in the Etiology of Renal Cell Carcinoma’ by Melkonian et al. published in Cancer on Monday 9th November
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.29543/abstract;jsessionid=DF99B75A1D97B901E348875B8026AB1A.f04t03

  • 何故上院議員FDAにカフェイン入りピーナッツバターを調べて欲しいのか

Why a Senator Wants the FDA to Investigate Caffeinated Peanut Butter
Nov. 9, 2015
http://time.com/4105761/caffeinated-peanut-butter-schumer/
Chuck Schumerニューヨーク州上院議員FDAに新しい種類のカフェイン入りピーナッツバターを調べて欲しいと言っている。この製品はSTEEMピーナッツバターといってテーブルスプーン2杯でコーヒー2杯と同程度のカフェイン(170mg)を含む。子どもに危険な可能性があるという。
STEEMは現在この商品はコネチカットマサチューセッツの一部の店舗とオンラインで販売していてウェブサイトでは「アスリートだけでなく、普通の生活を送っているアクティブな人々にとってパーフェクト」と宣伝している。
(以前カフェイン入りガムが問題になった)

  • US FDAは消費者遺伝子検査についてDNA4Lifeに文書を送付

US FDA sends letter to DNA4Life over consumer gene tests
Mon Nov 9, 2015
http://uk.reuters.com/article/2015/11/09/us-usa-genetics-dna4life-fda-idUKKCN0SY1US20151109
FDAはDNA4Lifeが医薬品への反応を予想するという根拠のない遺伝子検査を消費者に直接販売していることについて文書を送付した
DNA4Lifeは先にReutersに対して検査を販売するのにFDAの認可は必要ないと信じると述べていた。今回の件でコメントを求めたがすぐには反応はない。
FDAの文書によるとこの検査は医療機器に相当し市販前に認可が必要である。

  • Fiona Nash地方保健大臣

肥満対策と健康的な食生活を薦めるためのヘルシーフードパートナーシップ(健康的食品協定)
Healthy Food Partnership to tackle obesity and encourage healthy eating
09 November 2015
http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/health-mediarel-yr2015-nash051.htm
公衆衛生協会、心臓財団、豪州食品小売業協会、豪州栄養士会、野菜生産者協会、豪州乳業協会、畜産協会などが参加して11月13日にキャンベラで初回会合を行う。
消費者教育と市販商品の組成の見直しを行う
(オーストラリアは今でも日本より相当減塩だけどさらに推進するらしい。塩味の薄さってある程度は徐々に慣れるらしく、気がつけば日本だけしょっぱすぎ、になる可能性)

  • あなたのエネルギードリンクで心臓になんらかのトラブル?

Some heart trouble eith your energy drink?
By Eric Boodman November 8, 2015
http://www.statnews.com/2015/11/08/heart-trouble-energy-drink/
エネルギードリンクで一日がんばれるかもしれないがあなたの心臓トラブルリスクも上げるかもしれない
JAMAに日曜日に発表された研究によるとロックスターエナジードリンクたった1缶で害があるかもしれない変化があるという。この6オンスの砂糖とカフェインとハーブ興奮剤の飲料はノルエピネフリン、あるいは闘争ホルモン、を溢れさせ血圧を上げる。
研究者らは若者達が急な胸の痛みや動悸、睡眠障害で救急に来ることが増えたのでエネルギードリンクが問題なのではないかと疑った。この研究は小規模だが、この結果は長く続いているエネルギードリンク業界への懸念を強化する。この業界の今年の米国での売り上げは少なくとも100億ドルに登り薬物濫用警告ネットワークによると2011年のアメリカの約21000回の救急診療に関与した。
アメリカ飲料協会はこの研究について「主流のエネルギードリンクのカフェインには特別なことはなく、同じ量のコーヒーの半分歯科含まれない」と反応した。また規制機関や科学的研究はエネルギードリンクの安全性を確立しているともいう。
しかしロックスターやモンスターエナジーの製造企業は数年前にこれらの製品をダイエタリーサプリメントではなく飲料として販売することに決めた。それにより有害事象と関連するかどうかが規制機関にはわからなくなる。
(コーラのカフェインには上限が決まっているけれどエナジードリンクのカフェインには今のところ決まりはない。コーヒーや紅茶にももちろんカフェイン含量に規制はない。)