食品安全情報blog過去記事

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その他

  • あなたはもっとタンパク質が必要?

Do You Need More Protein?
by Berkeley Wellness November 13, 2015(日付が未来)
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/do-you-need-more-protein
1980年代は「低脂肪」が食品の包装や減量食事方法の大きなバズワードだった。その後「低炭水化物」が流行った。そして今は「高タンパク質」だ。実際にはこの傾向は数年前に始まっていて、より初期の低炭水化物ダイエット(アトキンスダイエットやZoneやSouth Beachのような)から一部進化してきたものである。スーパーマーケットの中を歩くと、朝食シリアルからクッキーや冷凍食品やポテトチップやアイスクリームに至るまで、もともと入っている、あるいは添加されたタンパク質を宣伝しているものに溢れていることがわかるだろう。
何故タンパク質なのか?余分なタンパク質を摂ることに努力してきたのはこれまではボディビルダーやアスリートだけだった。彼らは筋量が必要である。しかし今や標的は減量や筋量を維持したい一般人である。さらに多くの消費者が「高タンパク質」を「ヘルシー」の意味に受け取っている。しかし長期に大量のタンパク質、特に動物タンパク質、を摂りすぎる腎臓の問題などの有害影響がある。専門家はジャンクフードを含めてあまりにも多くの食品にタンパク質が添加されていることを心配している。食事に関する気の狂った流行はいつだって必ず意図せぬ結果を引き起こしてきた。
タンパク質を文脈に沿って考える
タンパク質の量やそのアミノ酸組成は食品によって大きく異なりリスクやベネフィットを一般化するのは難しい。タンパク質強化食品についてはさらに未知の領域である。
注意すべきは食品や栄養研究の多くがそうであるように、タンパク質を多く摂る方がよいという研究の多くが少なくとも幾分かの業界(乳製品や牛肉や豚肉やダイスや卵)の資金を得て行われていることである。
これらに注意した上でいくつかのQ & Aを示す
私達はタンパク質不足?
ほとんどのアメリカ人は十分量摂っている。推奨摂取量は体重1kgあたり1日0.8g。例外は高齢者。
菜食主義者はタンパク質不足?
肉を食べるヒトよりは通常タンパク質摂取は少ないが簡単に必要量を摂れる。特に卵とミルクを食べる場合は。
筋量維持におけるタンパク質の役割は?
アスリートや運動するヒトはタンパク質を多く摂る必要がある?
タンパク質を多く摂ると体重管理に役立つ?
食べる時間は問題?
強い運動の直後が役立つという研究が増えている
高タンパク食は血圧に影響する?
高タンパク食は腎疾患をおこす?
既に腎臓病のヒトには高タンパクは悪化させる可能性がある
高タンパク食は骨量を減少させる?
基本
ほとんどのアメリカ人はタンパク質について心配する必要はない。もしタンパク質摂取量を増やしたいなら腎臓の健康状態について医師にチェックしてもらうこと。

  • 科学者の強みをどう判断する

Natureニュース
How to judge scientists’ strengths
Dalmeet Singh Chawla 11 November 2015
http://www.nature.com/news/how-to-judge-scientists-strengths-1.18769
研究所長が何百という応募に悪戦苦闘していることが研究者の評価についてのオンラインでの議論をよぶ
欧州分子生物学研究所の欧州バイオインフォマティクス研究所のEwan Birneyが、応募者の申請書リストにある全部で2500の論文をどうやって評価したらいいのか困っているとTwitterで嘆いたのがきっかけ。

  • 科学と性差別:twitterの嵐の中で

Science and sexism: In the eye of the Twitterstorm
Lauren Morello 11 November 2015
http://www.nature.com/news/science-and-sexism-in-the-eye-of-the-twitterstorm-1.18767
科学者がジェンダーについてどう話すかがソーシャルメディアを騒がせている
Fiona Inglebyが4月にTwitterで雑誌のピアレビューについて愚痴った時にはそんなに反応があるとは予想しなかった。サセックス大学の進化遺伝学者であるInglebyには100人程度のフォロワーしかいなかったし、身近な同僚からいくつかの励ましや同情のメッセージを予想していただけだった。PLoS ONEのレビューワーが男性の方が「健康や体力で少し勝っていて」共著者に「一人か二人の男性を」入れたほうが良い解析ができるだろう、と言ってきたのだ。しかしこれは5000以上リツイートされ#addmaleauthorgateのハッシュタグが作られ雑誌が公式に謝罪することになった。
ソーシャルメディアがますます科学における性差別の問題を議論しやすくしている。
(他事例いろいろ。)

  • Cheeriosのタンパク質についての宣伝に疑問を投じる訴訟

Lawsuit Casts Doubt on Cheerios Protein Claims
by Benjamin Snyder November 11, 2015
http://fortune.com/2015/11/11/general-mills-sued-cheerios-protein/
General Mills のCheerios ProteinがCSPIから訴えられている
普通のCheeriosシリアルを一食分食べると3gのタンパク質になるがCheerios Proteinだと一回分で7gだと宣伝している。しかし普通のCheeriosの一回分が3/4カップなのにCheerios Proteinは1カップで比較している
"Cheerios Protein" Has Negligibly More Protein, but Far More Sugar, than Original Cheerios
November 9, 2015
http://cspinet.org/new/201511091.html

  • 糖尿病の専門家がG20に砂糖に課税することで命をお金を救えると言う

Diabetes experts tell G20 to tax sugar to save lives and money
Thu Nov 12, 2015
http://uk.reuters.com/article/2015/11/12/us-health-diabetes-sugar-idUKKCN0T100K20151112
今週末のG20会合を前に、国際糖尿病連合(IDF)が肥満と糖尿病の流行を国際アジェンダに設定するよう求めた。

  • あなたが健康的な食事について知っていることは全て間違い−これが真実

Everything you think you know about healthy eating is wrong — here's the truth
Chris Weller, Tech Insider
http://www.businessinsider.com.au/everything-you-think-you-know-about-healthy-eating-is-wrong-heres-the-truth-2015-11
コーネル大学の食品とブランド研究室のBrian Wansinkの主張
著書Slim by Design: Mindless EatingとMindless Eating: Why We Eat More Than We Think
ケールのような「健康的な食品」を薦めジャンクフードを食べないよう教育すれば健康的な食生活になるはず、といった「常識」は間違っている。人々は何が健康的で何が不健康なのかはわかっている、しかし知識が実践につながっていない。環境をデザインすることで行動を変える方法を提示している

  • ベーコンで死:ニュースは肉迫していたか?

Death by Bacon: Did the News get to the Meat of the Matter?
by Rebecca Goldin | Nov 11, 2015
http://www.stats.org/death-by-bacon-did-the-news-get-to-the-meat-of-the-matter/
IARCの結論は、世界中のニュースの見出しになるだろうことは保証されていた。The Lancet Oncologyに発表された知見はこの問題についての800以上の研究を調べたものだ。但し詳細モノグラフはまだ発表されていない。
意味や文脈を伝えたメディアはほとんど無く、WHOがあとで発表した説明を報道したのはさらに少なく、そして来年の食生活全体についての報告書は遅すぎるだろう。
最初の報道はベーコンとその仲間達にとっての最後の審判のようであったがその後いくつか良い報道があった。
発がん性の根拠の強さとリスクとは違うこと、相対リスクと絶対リスクの違い、喫煙との比較、など。Cancer Research UKのインフォグラフィクスを引用した報道もあった。さらにリスクはあなたのDNAにもよるなどの他の科学を引用した記事もあった。
正しい質問をしよう
賢い報道のために質問すべきこと:
1.この分類の意味は?
2.そのリスクは絶対リスクなのか相対リスクなのか?
3.比較している場合何を比べているのか?
4.増加原因は何か明確にされているか?この場合は加工肉
5.文脈は?

きまじめな(wonk)メディア−警鐘報道(とIARCの壊滅的サイエンスコミュニケーション)に対抗する
この「ベーコンによる死」の件で希望があるとすれば思慮深い報道をしようとする傾向があったことである。Cancer Research UKの記事は素晴らしかった。
しかしだからといってIARCの最初の発表の混乱が免責されるわけではない。IARCはもっと明確に説明すべきだった。IARCはこれまでも間違ってきた。そして過去の経験から学んでいない。IARCの枠組みがあまり役にたたない。
アメリカではベーコン、ドイツではソーセージが加工肉のシンボルなんだ)

A Bad Combo: Predatory Journals and Homeopathy Studies
Published: Nov 10, 2015 By Roy Benaroch MD
http://www.medpagetoday.com/Blogs/KevinMD/54629
Multidisciplinary Respiratory Medicineに2015年8月に発表された研究がホメオパシーが子どもの呼吸器感染症抗生物質と同じくらい有効だと宣伝するのに使われている。事実は下らない雑誌に下らない研究が掲載されて意見を操作するのに使われているだけで何も示してはいない。
まず「研究」については風邪に抗生物質は効かないことは既にわかっているし与えるべきではないのに与えている非倫理的実験をしている。当然ホメオパシー群と抗生物質群に差はない。そして時間とともに風邪は良くなる。当たり前だ。それを著者は「このデータはホメオパシーの有効性を示している」と主張する。
次に雑誌についてだが、何故こんな論文を出したのか訝しく思うかもしれないが答えはこの雑誌がPredatory Journalsとよばれるものであることである。この雑誌は論文一報載せるのに1940ドルを課し査読はほとんどしていない。お金さえ出せば論文を出せる。
さらにこの論文はフランスBoiron社から資金提供されたと書きつつ利益相半はないと主張する。利益相半はない?ホメオパシーの巨大企業からお金をもらってホメオパシー企業のホームページで称賛されている人がお金を出せば載せてくれる雑誌に発表した非倫理的な研究が?
もちろん風邪に抗生物質を使うべきではない。しかしホメオパシーは詐欺である。

Homeopathy Is a Bitter Sugar Pill
By Yvette d’Entremont
Oct. 27 2015
http://www.slate.com/articles/health_and_science/medical_examiner/2015/10/homeopathy_contains_alcohol_and_can_be_sold_to_minors.html
ホメオパシーに効果はあるか?水は記憶をもっているか?ノー。ホメオパシーが効いたという人はいる。プラセボと同じくらい。ホメオパシーは高価なプラセボだから。
ホメオパシーは普通は砂糖と水だが、中にはアルコールが含まれるものがある。私は科学者なのでホメオパシーのボトルに書いてあることを探るショートビデオを作った。私がホメオパシー製品を36ドルで買って飲んでみたところ血中アルコール濃度が0.11%になった−つまり酔っぱらった。それ以外のラベルで宣伝している薬効はなかった。
さらに私がこの件についてNBCに伝えたところ、レポーターが15才の少年がこのハードリキュールを購入している様子を報告した。

平成27年11月10日
消費者庁
公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/nov/151110.html
(「16kgも痩せて」ってどう考えても嘘なんだけど売れるんだ
原材料の「野草酵素エキス」って何だろう?腐った雑草?)