食品安全情報blog過去記事

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エトキシキン:EFSAの安全性評価は結論に至らなかった

Ethoxyquin: EFSA safety assessment inconclusive
18 November 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/151118
EFSAは全ての動物用の飼料添加物としてのエトキシキンの安全性、消費者や環境への安全性について結論できなかった。これは全体として代謝物を含むこの物質の安全性を評価するためのデータが足りないことと変異原性の可能性がある不純物(p-フェネチジン)が存在するためである
エトキシキンは現在酸化防止剤として飼料に使用されており、海上輸送の際の自然発火予防のためにも使われている。
エトキシキンそのものは遺伝毒性はない。しかしながら代謝物の一つであるエトキシキンキノンイミンには遺伝毒性の可能性がある。製造工程により不純物であるp-フェネチジンが残存しこれは変異原性の可能性がある。
これらの知見に加えて安全性と暴露を評価するためのデータが足りない。

  • 全ての動物種用エトキシキン(6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン)の安全性と有効性

Safety and efficacy of ethoxyquin (6-ethoxy-1,2-dihydro-2,2,4-trimethylquinoline) for all animal species
EFSA Journal 2015;13(11):4272 [58 pp.]. 18 November 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4272
エトキシキンは酸化防止剤の効能があるが、提案された使用量(50 mg/kg)での有効性を裏付けるデータはない。
エトキシキンキノンイミンは変異原性の構造アラートがあり細菌の復帰突然変異試験では陰性であるがin vitro小核試験の結果から染色体異常誘発性の可能性が否定できない。そのため遺伝毒性について結論できない。
不純物のp-フェネチジンについてはNOAELを決めるための毒性データが乏しい。
エトキシキンのブタ、牛、羊、犬、猫、魚等での安全性データがない。