食品安全情報blog過去記事

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論文

  • ビタミンDの月間高投与量は転倒リスクの高さと関連

Higher monthly doses of vitamin D associated with increased risk of falls
4-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/tjnj-hmd122915.php
JAMA Internal Medicineに発表された無作為化臨床試験。70才以上の男女で月にビタミンD3を24,000 IUの低用量対照群67人、60,000 IUを67人、24,000 IUのビタミンD3とカルシフェジオールを67人に投与、6ヶ月と12ヶ月で25-ヒドロキシビタミンD濃度と下肢機能、転倒を評価した。対照群に比べて60,000 IUと24,000 IUのビタミンD3とカルシフェジオール群の転倒回数が多く機能低下予防もなかった。
(オープンアクセスなので図表を見た方が早い)
Monthly High-Dose Vitamin D Treatment for the Prevention of Functional Decline
A Randomized Clinical Trial
Heike A. Bischoff-Ferrari, et al.,
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2478897
エディトリアル
ビタミンD補充と転倒リスク増加:ビタミンサプリメントについての教訓再び
Vitamin D Supplementation and Increased Risk of Falling
A Cautionary Tale of Vitamin Supplements Retold
Steven R. Cummings et al.,
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2478893
標準的なビタミンD 800 IU/日(24,000 IU/月)については先の研究で転倒リスクを増やさないことが報告されている。一方800 IUのビタミンDと1200 mgのカルシウムは施設に住む患者の大腿骨骨折と死亡リスクを下げることが報告されている。医師はそれ以外の健康上のメリットのためにビタミンDを薦めるべきではない。ビタミンDサプリメントが心血管系疾患やがんリスクを減らすというRCTのメタ解析のエビデンスはない。
ビタミンDの物語は抗酸化ビタミンで観察されたいつものパターンのようである。ビタミンサプリメントの健康効果への熱狂は、「ビタミン」は本質的に安全であるという信仰と、基本的には健康な人はビタミン濃度が高いことを示す観察研究による。RCTやメタ解析では実際のところサプリメントは死亡率を増やし(ベータカロテンやビタミンE)あるいは全くメリットがない(ビタミンA、ビタミンC)。
ビタミンDやその他のビタミンは天然にビタミンを含む食品をバランス良く食べることで摂取するのが賢明であろう

  • ボストン大学の研究:死亡率への肥満の影響はこれまでの研究では過小評価されている

BU study: Effects of obesity on death rates understated in prior research
4-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/bumc-bse010416.php
PNASにオンライン発表された研究によるとほとんどの肥満研究はたった一回しか体重を計っていないので、かつて過体重だった人と一度も過体重になったことのない人を区別できずしばしば病気が原因で体重が減るという事実を考慮していない。もしそのようなことを区別すれば肥満の健康への有害影響は大きくなり過体重であることが保護作用があるという効果は見られなくなる。著者らは「体重歴」を用いることを主張する。アメリカ人のデータ。
(病気のため体重が減ることは痩せている人の死亡率の高さへの影響もあると思う)