食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

SMC UK

  • 肥満とがんの報告書についての専門家の反応

expert reaction to report into obesity and cancer
January 7, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-report-into-obesity-and-cancer/
Cancer Research UKががん発症率に与える肥満の影響についての報告を発表した。それによると2035年には英国成人の72%が過体重または肥満になると予想され、それは健康と関連する費用に相当な影響を与えるだろう
Oxford大学プライマリーケア健康科学Nuffield学部食事と集団健康教授Susan Jebb教授
この報告書はがん予防のために体重を管理することの重要性を強調した有用なもので、しっかりした全国データを用いて肥満の傾向を抑制しなければがんが増えることを推定している。
肥満と糖尿病や心疾患の関連についてはよく知られているががんとの関連はそれほど知られていない。多くの人はタバコががんの原因であることは知っていて禁煙に取り組んでいるが、体重管理もまたがんリスクを減らすためにできることである。
Tipping the scales: Why preventing obesity makes economic sense’
1月7日発表

  • がん検診と死亡率の解析についての専門家の反応

expert reaction to cancer screening and mortality analysis
January 6, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-cancer-screening-and-mortality-analysis/
Cambridge大学がん疫学教授Paul Pharoah教授
Vinery Prasadらはしばしばスクリーニングが「命を救う」として引用される「事実」にエビデンスがないことに注目する。いろいろな病気についてスクリーニングの試験が行われている:あるものはスクリーニング対象の病気による死亡率を減らすことが示されているが、全体の死亡率は減らさない;あるものはスクリーニングに伴って全死亡率が増加する。スクリーニングは命を救うことが証明されていない。彼らはその見かけ上の矛盾の理由について検討している。理由は複雑であるが、一つの重要な理由はスクリーニングがしばしば過剰診断−検診がなければ一生見つからなかったであろう病気を見つけること−になり、過剰診断を治療することは有害であることであろう。
これは48のスクリーニング試験と9つのメタ解析の結果をレビューした非常によい論文である。評価された10の介入試験の9つのメタ解析では全死亡率に有意差があったのは一つもない。
彼らはごく僅かな全死亡率の減少を検出するための大規模試験は非常に高額になり難しいだろうと指摘する。政策決定者や検診を行っている人たちに、検診の限界について率直に語り、多くの人にとっては検査を減らすことが合理的選択肢であることを認識させるべきだと結論している。

  • 英国におけるソフトドリンクの砂糖を減らすことと肥満と2型糖尿病のモデル研究についての専門家の反応

expert reaction to modelling study investigating reducing sugar in soft drinks, and obesity and type 2 diabetes in the UK
January 6, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-modelling-study-investigating-reducing-sugar-in-soft-drinks-and-obesity-and-type-2-diabetes-in-the-uk/
食品研究所名誉フェローの栄養研究者Ian Johnson博士
興味深い研究で現実的な提案をしている
Cambridge大学MRC疫学ユニット公衆衛生コンサルタント医でMRCプログラムリーダーNita Forouhi博士
提案されている戦略は誰にとってもメリットがある
Cambridge大学代謝研究ラボ部長生化学医学教授Stephen O’Rahilly教授
この研究の結論に反対するのは難しいだろうが純粋に理論的モデルなので多くの仮定に基づく。彼らは砂糖を甘味料で代用することは退けているが甘味料が肥満や糖尿病に意味のある寄与がないことは根拠があり、砂糖の代わりに甘味料を使っても同じであろう。ただ砂糖を減らした甘味のない飲料より甘味料を使ったもののほうが現在の消費者には魅力的であろう

  • メキシコの砂糖入り飲料への課税と課税された飲料の販売を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study investigating Mexico’s sugary drinks tax and changes in sales of taxed beverages
January 6, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-mexicos-sugary-drinks-tax-and-changes-in-sales-of-taxed-beverages/
Reading大学食品安全保障センター長応用経済学教授Richard Tiffin教授
これは重要な研究で、これまでのシミュレーション研究を支持する。問題は健康を改善するためにはもっと大きく減らす必要があるということである。
King’s College London栄養学名誉教授Tom Sanders教授
この研究はメキシコでの課税が一人1日当たり36mLの摂取減につながったことを示す。これはカロリーにして16kcalで、肥満予防には長期にわたる300-500kcal/dの削減が必要である。メキシコは英国より貧しい国なので課税の影響は大きいので英国での砂糖税がエネルギー摂取量にこれより大きな影響を与える可能性はないだろう