食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 遺伝子組換え作物についてのイタリアの論文が調査される

Natureニュース
Italian papers on genetically modified crops under investigation
Alison Abbott 18 January 2016
http://www.nature.com/news/italian-papers-on-genetically-modified-crops-under-investigation-1.19183
GM作物を与えた動物に有害影響があったとする論文がデータ操作の疑いで調査中である。イタリアナポリ大学で現在進行中の調査でわかったことがリークされ、論文の画像が意図的に改変されたことを示唆している。
問題の論文は世界中の食品や医薬品担当機関で行われた無数の安全性試験に反しているが反GMウェブサイトでは広く引用されている。そしてその論文の実験は安全性が確認されて認可されたGM作物の栽培を国が認めるかどうかについての昨年7月のイタリア上院での公聴会で引用された。
調査の引き金をひいたミラノ大学神経科学者で上院議員のElena Cattaneoは「このケースは非常に重要である。なぜならばこれらの論文はGM作物に関する議論に置いて政治的に利用されてきたからだ」。議会での公聴会の後でCattaneoはナポリ大学の獣医学者Federico Infascelliらのラボによる3つの論文をよく見た。それらはGM大豆を与えられた山羊の母親から生まれた子どもについてのもので、大豆に含まれる外来遺伝子が腸を横断して乳に分泌されその乳を飲む子どもに生物学的影響を与えると結論していた。
ゲルの操作
Cattaneoは三つの論文全てに問題があることに気がついた:電気泳動ゲルの画像の一部が切り取られ、異なる論文のいくつかの画像が同一であるにもかかわらず説明文は違う。彼女はそこでイタリアのアオスタの生命医学サービスと情報コンサルタント企業BioDigitalValleyの社長Enrico Bucciに3つの論文の解析を依頼した。解析の結果は画像の操作と再利用を示唆していた。Cattaneoは昨年9月に雑誌に連絡をとり、11月にはナポリ大学に解析結果を伝えた。大学のGaetano Manfrediは直ちに学内調査を開始し現在ほぼ完了している。大学は2月末までに結果と対応を発表するだろうという。
しかしそれより前に、秘密であるはずの調査委員会の詳細がイタリアの記者にリークされた。調査を統括する責任者であるナポリ大学の分子生物学者Tommaso RussoはNatureに対して委員会はこれらの論文には意図的データ操作があることを発見したと語った。しかしイタリアの新聞La RepubblicaによるとInfascelliはこれらの主張には根拠がなく彼が論文について相談した専門家の一人はデータ操作の可能性を否定したという。InfascelliはNatureの取材には調査が完了するまで応じないとした。
1月14日にBucciは問題の論文とInfascelliの共著であるそのほか4つのGM餌論文とラボの学位論文一つについての彼の解析結果をオンラインで公表した。8論文全てで画像操作の根拠が見つかったという。Bucciはこの知見は大学とInfascelliに伝えた。
Cattaneoが彼女の知見を雑誌に伝えてから、3つの論文のうちの一つが取り下げられた。先月、Food and Nutrition Sciencesの2013年の論文が“自論文の盗用self-plagiarism”として取り下げられた。ただし雑誌は結果は妥当でこの問題は「悪意のない間違い」だとしている。
Infascelliのラボから出る論文について懸念を表明しているのはCattaneoだけではない。アテネジョージア大学植物遺伝学者Wayne Parrottは問題の3つの論文と2006年の別の論文の画像操作についての独自の懸念を雑誌に伝えていた。
ナポリ大学での調査は昨年7月に導入された科学的不正に対する公式規則の最初の試験例になる。

  • フランスの臨床試験での死亡に科学者は見当がつかない

Scientists in the dark after French clinical trial proves fatal
Declan Butler & Ewen Callaway 18 January 2016
http://www.nature.com/news/scientists-in-the-dark-after-french-clinical-trial-proves-fatal-1.19189
フランスでの実験的医薬品の臨床試験で1人死亡5人入院となった件で、1月15日に最初の公表があってから公式な情報がないことが外部の専門家や一般の人々を何がおこったのかわからないままにしている。フランス当局は迅速でも透明でもない。

  • 香り付き製品に危険はあるか?

BBC
Is there a danger from scented products?
15 January 2016
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-35281338
多くの人がエアフレッシュナーやボディスプレーなどを使いそれらは「香料」を含む。製品中の濃度には規制があるが家の中の濃度はわからない。ヨーク大学の国立大気科学センターのAlistair Lewis教授とTrust Me, I'm a Doctorのチームがそれを調べた。
まずヨークの現代的な6つの家で5日に渡ってVOCs全体を測定した。家毎に違うが最も目だった化合物はリモネンだった。ベンゼンは主に戸外の自動車排気ガス由来でアルファピネンはクリーニング製品由来。リモネン濃度の最も高い3つの家は大量のクリーニング用品と香り付きキャンドルを使っていた。Lewis教授はその後実験室でリモネンがオゾンと反応してホルムアルデヒドに変わることを見出した。
明確な解決方法は窓を開けて換気することである。しかし冬は難しい。代わりの方法として植物を置いてみた。植物はリモネンに影響しなかったがホルムアルデヒド濃度は下げた。多分家の香りには柑橘系のエアフレッシュナーではなく自然のラベンダーがいいだろう。
(そうはいっても冬はみかん、皮を剥くと漂うリモネン)