食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 使い古した細胞を破壊することでマウスが長生き

Natureニュース
Destroying worn-out cells makes mice live longer
Ewen Callaway 03 February 2016
http://www.nature.com/news/destroying-worn-out-cells-makes-mice-live-longer-1.19287
年をとると分裂できなくなった細胞−老化細胞−が全身に蓄積する。これらの細胞が近くの組織に有害な分子を放出して加齢に伴う疾患に関与する。Mayoクリニックの分子生物学者Darren Bakerと Jan van Deursenらはマウスを遺伝子操作してある薬物を投与すると老化細胞が死ぬようにした。Natureに2月3日に発表された報告によると老化細胞を6ヶ月に渡って殺したマウスは老化細胞が蓄積したマウスより健康的だった。腎機能は良く心臓のストレス耐性が強く良く動き回りがんの発症が遅い。この研究は2011年の早期加齢マウスを使った老化細胞排除が高齢で発症する病気を遅くするという研究のフォローアップである。
Ageing: Out with the old
Nature (2016)
Jesús Gil & Dominic J. Withers
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature16875.html

Naturally occurring p16Ink4a-positive cells shorten healthy lifespan
Darren J. Baker et al.,
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature16932.html
(普通老化はがんを抑制する方向に働くと考えられているのだが。)

Scienceでも
Suicide of aging cells prolongs life span in mice
By Mitch LeslieFeb. 3, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/suicide-aging-cells-prolongs-life-span-mice
(写真が出ている、22ヶ月齢らしいのだが)

No proof that radiation from X rays and CT scans causes cancer
3-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/luhs-npt020316.php
American Journal of Clinical Oncologyに発表された研究。LNTモデルによるがんリスク推定は理論的なもので実証されたことはない。このモデルによる恐怖が適切な画像技術を使うことを思いとどまらせているため最終的には捨てるべきだ、と著者のJames Welsh医師は言う。
放射線怖い人がたくさんいるはずの日本では医療用は気にもしてないような矛盾はどう説明できる?LNTのせいではないのでは?)

  • 大麻法の影響は?これまでのデータは…

What's the impact of new marijuana laws? The data so far...
3-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/wkh-wti020316.php
米国での新しい大麻法は使用にどう影響したか?Journal of Addiction Medicineの1/2月号に発表された更新によると、成人の大麻使用は増加しているが十代では増えていない、大麻関連の逮捕は減っているが治療のための通院は増えている。
コロラドやワシントンが2010年に大麻を合法化してから18才以上の大麻使用者が増加している。12-17才の使用者は増えてはいないがリスク認知は低下しているため使用する可能性は高くなっているだろう。合法化により入院、救急外来、中毒センターへの問い合わせは全て増加し、逮捕と薬物濫用治療は減っている。

  • コクランニュース:国の禁煙は受動喫煙による害を減らす効果があったか?

Cochrane news: Have national smoking bans worked in reducing harms in passive smoking?
3-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/w-cnh020316.php
国によるタバコ規制が受動喫煙による害、特に心疾患リスクを下げるというこれまでで最もしっかりした根拠が本日コクランライブラリーに発表された。
2004年にアイルランドが初めて国の規制で全ての公共の場での室内喫煙を禁止して以降、多くの国や州や地域が同様の喫煙規制を行ってきた。2010年にコクランが最初にこのレビューを発表してから発表されたさらに多くの研究を含めてレビューを更新した。先の結論をさらに強固にした。

Rhino, tiger and snow leopard DNA found in Chinese medicines
3-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uoa-rta020316.php
アデレード大学の病理学者らによる研究で伝統的中国医薬品にサイ、虎、ユキヒョウDNAが検出されたため、絶滅危惧種を伝統的中国医薬品に使うことを止めさせるためにもっと対策が必要だ。Forensic Science Medicine and Pathologyに発表されたRoger Byard教授らの研究。
(無くなった方がいい「伝統」なんかいくらでもある。)