食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ジカ騒動でブラジルで蚊よけの販売がブーム

Mosquito repellant sales boom in Brazil amid Zika scare
Thu Feb 4, 2016
http://www.reuters.com/article/health-zika-repellant-idUSL8N15I52T
ジカウイルスへの恐怖からブラジルで忌避剤が売れ一部ブランドは品切れになっている。
イカリジン製品がメディアの注目を集めて人気になっているが効果はDEETと同程度
米国では気温の上昇とともに需要増を見込んで準備中。
(インチキ製品もたくさん出回るのだろう)

  • ジカウイルス:DDTは選択肢か?

Zika virus: Is DDT an option?
February 4, 2016
http://edition.cnn.com/2016/02/04/health/zika-virus-ddt-what-you-need-to-know/
蚊が媒介するジカウイルスが急速に広がっている。WHOが国際的な公衆衛生危機と説明し、今後1年間でアメリカの300万人から400万人が感染する可能性があるとした。治療法やワクチンはなく、一部の人たちの間で米国では40年以上前に禁止されたDDTの名前が挙がっている。CDCのベクターの運ぶ疾患部門の長であるLyle Petersen博士が先週ニューヨークタイムスにDDTへの懸念は「公衆衛生上の文脈で再検討」されるべきだと語った。
以下DDTの説明
マラリアは概ね余所の国の問題だったから被害者のことより環境とか言ってたんだろうけれど、いざ北米に流行するようなことになったらどう反応するかな。遺伝子組換え蚊も。ちなみに遺伝子組換えでジカウイルスを媒介する蚊が作られたという陰謀論は既に出回っている。そして陰謀論が出回るのは科学者が悪い、という意識の高い人たちからのいつもの批判も。)

  • 世界がんデー2016:研究がなぜハワイのHPVワクチン接種率が低いのか説明する

On World Cancer Day 2016: Study explains why HPV vaccination rates are low in Hawaii
Feb 4, 2016
http://www.hawaii.edu/news/article.php?aId=7672
ハワイ大学がんセンターの、州の120人のプライマリケア医師に調査した結果。ハワイはHPVワクチン接種率が低く、少年38%少女31%と国の目標である80%には遠い
HPVワクチンの接種率の低さは重大な公衆衛生上の脅威である。
主な要因は保護者がHPV感染についての理解がないことと費用と3回が面倒、など。学校で予防接種できると率が上がると考えているようだ。
(とはいえ日本より高いし、特に男の子。そしてこういうプレスリリースがニュースとして取り上げられるのは日本のメディアではほぼあり得ないだろうし)

  • プラセンタ錠剤で産後鬱が止まるという示唆への反応

Sense about science
Response to suggestions that placenta pills stop postnatal depression –
27 January 2016
http://www.senseaboutscience.org/resources.php/217/response-to-suggestions-that-placenta-pills-stop-postnatal-depression
今日の新聞が乾燥胎盤錠剤を飲めば母親の産後鬱が止まるという主張を報道していた
2016年1月27日水曜日のDaily Mirrorは「Kim Kardashianなどますます多くのセレブママが産後鬱を止め、エネルギーを強化してホルモンバランスをとるためにプラセンタ錠剤を摂っている」と書き、同日のDaily Mailは「胎盤を食べるとエネルギーレベルが上がり、母乳の出がよくなり鉄のレベルが上がり新米ママの減量が簡単になると言われている」という。
英国栄養士会のCatherine Collins報道官は言う:
新鮮な胎盤には生命に必須の栄養や酵素やホルモンが含まれるが同時に赤ちゃんに届かないように濾過していた環境中の毒素なども含み、それらは食事に戻す必要はない。胎盤のホルモンや酵素はタンパク質で製造工程や消化管で破壊される。多くの主張には根拠がない。一部の引用されている研究が1918年のもので、当時は第一次世界大戦末期で人々の栄養は不足し胎盤が鉄やタンパク質の不足を補うのに役立ったかもしれない。現在の栄養士としては胎盤を食べることは新米ママにはメリットがあるという根拠がない奇妙な行為である。最も問題だと思うのは産後鬱予防のために胎盤錠剤を摂るという勧めである。そのようなことを支持する根拠はなく、栄養士でもあり母親でもある私は新米ママには鬱は医療従事者に相談することを勧める。
(流行っているのは自分の胎盤を錠剤に加工して自分で食べることらしい。日本でよく売ってるのは豚が原料のはず。)

  • 再現性:間違いの悲劇

Reproducibility: A tragedy of errors
David B. Allison et al.,
03 February 2016
http://www.nature.com/news/reproducibility-a-tragedy-of-errors-1.19264
ピアレビュー論文の間違いを見つけるのは簡単だがそれを修正するのは困難
我々は肥満や栄養やエネルギー論の分野の研究者である。2014年の夏、我々のうちの一人(D.B.A.)がファストフードを食べる量の変化が子どもの体重にどう影響するのかについて推定した、有名雑誌に掲載された論文を読み、その解析に用いた数学モデルは影響を10倍以上過剰に推定することに気がついた。我々は雑誌の編集者にその問題を説明する手紙を送った。何ヶ月も経ってから、著者らがその論文を取り下げることにしたと知らされた。このエピソードは科学の自己修正機能を確認するものである。
残念なことに、このような事例は典型的ではない。我々の分野で数多く発表されている論文の中に、致命的な間違いのあるピアレビュー論文がたくさんある。このような間違い25以上について著者や編集者に手紙を書いて対応を求めようとしたが時間がかかりすぎて止めざるを得なかった。我々の試みは論文を無意味にするような重要な間違いが何度もおこっていることとそのような修正の必要な間違いに対して著者や編集者がどう対応するのかを明らかにした。出版後のピアレビューは一貫性がなくスムーズでも迅速でもない。多くの雑誌は調査機能がなく返事すらしない。何度も意味のないやりとりをしたあげくもと論文には何のコメントものせられない。一部の雑誌は我々の手紙を掲載するのに相当なお金を要求した。ここに我々の経験をまとめる。

Biotech giant publishes failures to confirm high-profile science
Monya Baker 04 February 2016
http://www.nature.com/news/biotech-giant-publishes-failures-to-confirm-high-profile-science-1.19269
Amgenが再現性を議論するための新しいオンラインチャンネルに3つの研究を投稿
F1000Researchの主催する'前臨床再現性と頑健性Preclinical Reproducibility and Robustness'チャンネルにAmgenがScienceやNatureに発表された結果が再現できなかった研究について投稿

Scienceでも
If you fail to reproduce another scientist’s results, this journal wants to know
By Jocelyn KaiserFeb. 4, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/if-you-fail-reproduce-another-scientist-s-results-journal-wants-know

  • NSFが不備のある科学論文の著者を懲戒することで新しい境地に

NSF breaks new ground in reprimanding authors of flawed Science paper
By Jeffrey MervisFeb. 4, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/nsf-breaks-new-ground-reprimanding-authors-flawed-science-paper
学術論文の取り下げは珍しいことではないが、今週のNSFの出資した12年前のScienceの論文の取り下げを巡る状況は極めて異例だ。不正行為ではないが許容できないと考える研究のやり方についてNSFが懲戒をした。(研究者が間違いの修正で対応しようとしたが取り下げになった)