食品安全情報blog過去記事

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グリホサートのヒト発がん性についてのANSESの意見

ANSES's Opinion on the carcinogenic nature of glyphosate for humans
12/02/2016
https://www.anses.fr/en/content/ansess-opinion-carcinogenic-nature-glyphosate-humans
有効成分グリホサートの認可更新プロセスの一環として欧州レベルで行われた評価の結果の発表を受けて、またIARCが「おそらくヒト発がん性」と分類すべきとの結論との矛盾があり、ANSESは公式にグリホサートの健康影響ハザードを調べるよう要請された。本日発表された意見でANSESは、根拠が限定的であることからカテゴリー1Aあるいは1B(CLP規制によるヒト発がん性があることがわかっている(known)、あるいは想定されている(presumed))に分類することは提案できないとした。しかしカテゴリー2(CLP規制によるヒトへの発がん性が疑われている(suspected))への分類はできるとした。そのためANSESは欧州化学機関(ECHA)によるグリホサートの分類の速やかなレビューをすべきと信じる。有効成分の他に、製品に使用されている成分、特に獣脂アミンが懸念となる。そのためANSESは全ての農薬製品の同時に使用されている成分に関連するリスクについての評価を、グリホサートを含む製品を優先的に、開始する。またANSESはグリホサートと獣脂アミンを組み合わせた製品の市販認可について直ちに再評価する。
ANSESの意見
毒性学、発がん性、変異原性、疫学の専門家からなるワーキンググループが、生データではなく欧州とIARCの評価報告書をもとに解析を行った。IARCの結論とBfRとEFSAの結論が違った理由は主に研究の選択基準と最終的なエビデンスのレベルを決める方法論の違いで説明できることを発見した。
結論として専門家グループの解析では
・動物とヒトでのエビデンスの根拠は限定的でCLP基準でのカテゴリー1Aあるいは1Bへの分類を提案するには使えない
・カテゴリー2への分類は可能であるが、全ての研究を詳細に解析したわけではないので決定する立場にはない
これらの結果からANSESはECHAによるレビューを速やかにおこなうべき、と信じる。
意見本文はフランス語