食品安全情報blog過去記事

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論文

Penn study shows a form of genetically elevated 'good' cholesterol may actually be bad
10-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/uops-pss030416.php
HDLコレステロール濃度が高いことは一般的に「良い」とみなされているが、それが覆された。Science.に発表。特定の遺伝子(SCARB1)の変異によりHDL濃度が高い人を同定した。この変異はHDL受容体の機能を阻害する変異なので冠動脈心疾患リスクが高くなる。

Scienceニュース
なぜ「善玉コレステロール」が多いことが悪いニュースになり得るのか
Why high ‘good cholesterol’ can be bad news
By Jennifer Couzin-FrankelMar. 10, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/03/why-high-good-cholesterol-can-be-bad-news
67才女性はHDL濃度がとても高いが彼女の血管はプラークだらけである。彼女の事例が科学者になぜHDLの高さが時に心臓の健康ではなく不健康の兆候なのかを調べるきっかけとなった。過去10年間、HDLについては科学者を混乱させてきた。
今週のScienceに遺伝学者で脂質研究者のDaniel RaderらがHDLの量が問題なのではなくそれがどれだけ効率よく肝臓に運ばれるかのほうが重要であることを示唆した。
彼らは血中HDL濃度が非常に高い852人と対照1000人以上のSCARB1遺伝子を調べた。前述の67才女性は機能を持つSCARB1遺伝子は一つもなかった。通常2つある機能性コピーが1つしかない人も見つけた。1コピーしかない人たちはHDL濃度は高いが冠動脈心疾患リスクが高かった。

Natureニュース
「良い」コレステロール変異は心疾患に関連
'Good' cholesterol mutation linked to heart disease
Heidi Ledford 10 March 2016
http://www.nature.com/news/good-cholesterol-mutation-linked-to-heart-disease-1.19543
遺伝子研究がHDLコレステロールが高いことは心疾患リスクを下げるという考えに打撃を与える
血中LDLコレステロールが低いこととHDLコレステロール濃度が高いことが「良い」ことだと何十年もみなされてきた。
LDLコレステロールについては低下させる薬が実際に心疾患に効果があり理論が支持されているがHDLコレステロールについては濃度を上げる薬が失敗している

Drug overdoses in PA increased 14-fold in past 4 decades
10-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/uops-doi030816.php
PLOS ONEに発表されたピッツバーグ公衆衛生大学院の研究によると、ペンシルベニアの薬物過剰使用による死亡が過去35年で14倍になった。特に増加が早いのは若い白人女性。
1979年から2014年のペンシルベニアの薬物過剰使用による死亡を検討した結果。

  • 中毒になったミツバチからは57の異なる農薬が発見される

57 different pesticides found in poisoned honeybees
10-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/e-5dp031016.php
Journal of Chromatography Aに発表された新しい研究によると欧州のミツバチは最大57の農薬で毒されている。ポーランド国立獣医学研究所が200農薬の同時分析方法を開発し70のミツバチ事故をこの方法を用いて調べた。ミツバチには57の異なる農薬が検出された。
(欧州は農業否定しそうな勢い)

  • 福島の惨事のニュース報道は欠けている

News coverage of Fukushima disaster found lacking
10-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/au-nco031016.php
アメリカン大学の社会学者の新しい研究は一般人への健康リスク報道が少ないことを発見
国際社会学会の学会誌Current Sociologyに発表された社会学教授Celine-Marie Pascaleによると米国の福島事故のメディア報道は一般人へのリスクが少ないとしている。
「私は福島第一原子力発電所の由来の放射線宇宙線や岩石由来のものより少ないと主張する有名ニュース配信会社の報道を見た」
アメリカの一般人にとっての単なる事実の報道が「ショックを受けた」だって。社会学ってそういう学問なのかぁ。)

  • 農業がメタン増加の容疑者−ニュース

NZ SMC
Agriculture culprit behind methane rise – In the News
March 11th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/03/11/agriculture-culprit-behind-methane-rise-in-the-news/
過去10年の世界のメタン排出増加は農業が原因であろう、というニュージーランドの研究が本日Scienceに発表された
大気中のメタンガスの濃度は前世紀は増加を続け1990年代にフラットになった。それから2006年に突然再び増加し始めた。NIWAの科学者がその原因を農業由来であると発見した。
主著者のHinrich Schaefer博士によると、排出される3種類のメタンを区別することができ、ひとつは森林火災などのような有機物の燃焼、もうひとつは化石燃料の燃焼、三つ目が湿地や田んぼや家畜での微生物によるもの。前世紀末の増加の抑制はソ連の崩壊により化石燃料の燃焼が抑制されたため。2006年以降の増加は生物由来で田んぼや畜産による。もしメタンの排出を抑制したいなら農業に大きな見直しのための研究が必要である。