食品安全情報blog過去記事

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亜硫酸塩の安全性を「十分確認」するにはさらなるデータが必要

More data on sulfites needed to “fully confirm” safety
14 April 2016
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/160414a
ワインやほかの食品に添加物として使用される7つの亜硫酸塩の現在の合計安全量は十分に消費者を保護している。しかし情報ギャップを埋め、不確実性を減らす新しい研究データが提供されれば、EFSAはこの結論を再検討し消費者の安全性を完全に確認するだろう。
この7つの食品添加物(二酸化硫黄と6つの亜硫酸塩)は、摂取後同じような反応を示すため一緒に検討される。それらはワインの製造時に天然に生じ、発酵を止めたり保存目的で多くのワインに添加される。白ワインとスィートワインに含まれる亜硫酸塩は一般的にロゼ、赤ワイン、ドライワインよりも高い。
これらはサイダー、フルーツと野菜ジュース(例えばブドウジュースが酢に変わるのを止める)、乾燥果物と野菜、特にラディッシュとジャガイモベースの製品にも使用される。
特定の懸念はないが、データが必要
亜硫酸塩についての科学的データや体内で起こることは限られている。食品を摂取すると、不耐反応を起こす恐れがあり消費者によっては過敏である。
既存の許容一日摂取量(ADI) 体重1kg当たり0.7mg/kgは全7物質をカバーしている。ほとんどの年代の消費者はしばしば、特に多量摂取者ではこれらの7物質への食事からの暴露推定は時々この数字を超える。
EFSAの食品添加物に関する専門家パネルは、不足しているデータを作り出すための新しい研究を行った後暫定グループADIを5年以内に再評価するべきだと助言している。パネルはまた過敏症/不耐症の消費者が摂取を管理しやすくするために個々の製品に亜硫酸塩/二酸化硫黄の実際の量をラベルに表示するべきだと示唆している。EU法では量を記載せずに食品表示に「亜硫酸塩を含む」(1kgあるいは1リットルにつき10ミリグラムを超える時)表示するよう求めている。
食品添加物再評価は危うい状況
EU規則は2009年1月以前に認可されたすべての食品添加物の安全性を2020年までに再評価することをEFSAに求めている。EFSAはほとんどすべての食品着色料の再評価を終え、2016年までにその他の食品添加物の評価を終える予定であるが、100以上の食品添加物がまだ残っている。
2006年以降食品添加物に関する一般的及び特定データのた要請が何回行われたにもかかわらず、食品添加物として使用される物質の毒性と食品中の量に関するデータはなお不足している。そのため食品添加物の生産者と使用者は適切に消費者を保護するために食品添加物の安全性評価用の入手可能なすべての情報を提供するようと良く求められる。 

  • 食品添加物としての二酸化硫黄(E 220)、亜硫酸ナトリウム(E 221)、亜硫酸水素ナトリウム(E 222)、ピロ亜硫酸ナトリウム(E 223)、ピロ亜硫酸カリウム(E 224)、亜硫酸カルシウム(E 226)、亜硫酸水素カルシウム(E 227)、亜硫酸水素カリウム(E 228)の再評価に関する科学的意見

Scientific Opinion on the re-evaluation of sulfur dioxide (E 220), sodium sulfite (E 221), sodium bisulfite (E 222), sodium metabisulfite (E 223), potassium metabisulfite (E 224), calcium sulfite (E 226), calcium bisulfite (E 227) and potassium bisulfite (E 228) as food additives
EFSA Journal 2016;14(4):4438 [151 pp.]. 14 April 2016
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4438
二酸化硫黄、亜硫酸水素、亜硫酸イオンは一連の平衡状態で存在し、それらは胃のpHでは主に亜硫酸水素イオン、生理的pHでは亜硫酸イオンとして存在する傾向がある。そのため、一旦摂取されると亜硫酸イオンを形成する性質に基づき、様々な亜硫酸塩源の間でリードアクロスが可能である;だが、様々な食品での亜硫酸の反応性や結果として生じる反応物については不確実性がある。全体的限定的データベースからは遺伝毒性の懸念は示されず、強制経口投与あるいは飲料水暴露による入手可能な慢性、発がん性、生殖毒性試験では何の影響も報告されていない。ラットの長期毒性試験から70 mg SO2当量/kg 体重(bw)/日の無毒性量(NOAEL)が確認された。しかしながらパネルはデータベースのいくつかの不確実性と限界から、現在のグループ許容一日摂取量(ADI)の0.7mg SO2相当/kg 体重(bw)/日(初期不確実係数を用いて導出)は適切なままとするが、データベースが改善されるまでの暫定的なものと考えるべきだとした。助言した試験は完了に5年かかるだろう。さらに二酸化硫黄と亜硫酸塩の暴露推定量は全ての人口集団でグループADIである0.7mg SO2相当/kg 体重(bw)/日よりも高いと結論した。