食品安全情報blog過去記事

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DTU関係

デンマーク工科大学国立食品研究所

  • 食品中無機ヒ素含量を測定する新しい方法

New method to determine the content of inorganic arsenic in foodstuffs
Tuesday 12 Apr 16
http://www.food.dtu.dk/english/News/2016/04/New-method-to-determine-the-content-of-inorganic-arsenic-in-foodstuffs?id=bcde11ae-35c6-4393-a327-3431a3bf2a20
欧州標準法
Foodstuffs - Determination of elements and their chemical species - Determination of inorganic arsenic in foodstuffs of marine and plant origin by anion-exchange HPLC-ICP-MS
https://webshop.ds.dk/en-gb/search?q=16802

同時に無機ヒ素についてのファクトシートも発表
Facts about inorganic arsenic in food
Tuesday 12 Apr 16
http://www.food.dtu.dk/english/News/2016/04/Facts-about-inorganic-arsenic-in-food?id=ff50d8f2-f717-44c9-a986-12f3d4bc3862
デンマークでの摂取量を計算するとがんの発症リスクが僅かに上がる程度に高いので摂取量は減らすべきである。主な無機ヒ素摂取源はコメとコメ製品であるが、増加するリスクは小さいので、多様な食生活の一部である限りコメを食べることを避ける必要はない。
ヒ素対策として企業ができることは無機ヒ素の少ない原料や水を使うこと
消費者ができることは多様な食品を食べること。コメの無機ヒ素濃度は流水で洗うことで下げられる

Bisphenol A in low doses can affect the reproductive system and behavior
Tuesday 19 Apr 16
http://www.food.dtu.dk/english/News/Nyhed?id=EE009A3B-E421-4858-8BE1-6103080A9978
ラットが発達初期に低用量のビスフェノールAに暴露されると精子数が減り肥満と乳腺発達と行動の変化につながる可能性がある。これらはDTUの国立食品研究所の新しい研究値件の一部である。この結果は低用量のBPA生殖器系や神経系同様代謝の発達に影響する可能性があるというこれまでの動物実験を支持する。
影響は低用量で特異的
最も低い濃度で暴露された雌のラットが大人になった時に体重が重く、雄に似た方向に行動が変化した。このことは雌の脳が男性化したことを示唆する可能性がある
(研究結果の記述略、あとで論文のところで)
ビスフェノールAの規制値を下げることを推奨
国立食品研究所の計算ではTDIは0.7 microg/kg体重/日以下であるべきで2015年2月のEFSAのTDI 4 microg/kg体重/日は内分泌撹乱影響からの十分な保護にならない。

Andrology
どちらもWistarラットに妊娠7日から子どもが離乳する22日まで0, 25microg, 250microg,5mg, 50mg/kg/dのBPAを強制経口投与。その後子どもにいろいろ検査をしている。1群14-20匹くらい

Low-dose effect of developmental bisphenol A exposure on sperm count and behaviour in rats
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.12176/abstract
体重と生殖器の臓器重量(右と左は別に測定)、肝臓重量、春期発動、生理周期、高架式十字迷路での不安行動、モリス水迷路試験での泳ぐ距離や早さ、泳ぎ出すまでの時間、サッカリンを入れたあまい水を飲む量、などを測定している。精子の数は3ヶ月の雄の精巣上体尾部1gあたりの精子の数。
それぞればらつきはあるが一貫した用量反応は全く見られていない。ところどころでこぼこがありワンポイントだけ有意差がつくというものがあり、それがビスフェノールAの低用量影響の証拠だと主張。
(ところでサッカリン入りの甘い水を飲む量が雌の高用量群で有意に少なかったのは脳が雄化している兆候って書いてあるんだがそうなの?)

Low-dose effects of bisphenol A on mammary gland development in rats
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.12193/abstract
こちらは乳腺のホールマウント組織の画像解析(以前別の研究に対して乳腺を全部採ってないからダメだと文句言っていたので。ホールマウントにしたところで全ての組織が見られるわけではないのだが−連続切片で三次元像を構築とか、普通はしない)。22日と400日の雌雄の乳腺の大きさ(長さや面積)、リンパ節からの距離、管内過形成スコア、形態などを調べている。
こちらも用量反応相関は無く、ところどころでこぼこで有意差がついたものを低用量影響だと言っている。項目により25microgだったり250microgだったりする。
これらを根拠にEFSAが評価を変えることはなさそうなクオリティ。
(乳腺のサイズが大きいことは悪いこと、らしいのだがそれは一般的に共有されているのだろうか?豊胸サプリとか盛んに宣伝されているけれど。)

DTUはもともとBPA危険派でEFSAに反対していた
National Food Institute maintains its assessment of bisphenol A
Monday 23 Feb 15
http://www.food.dtu.dk/english/News/2015/02/National-Food-Institute-maintains-its-assessment-of-bisphenol-A?id=1c4245ae-b133-4d8b-9448-faac26ca4b9a
Ulla Hass
0.7 microg/kg体重/日以下の根拠は、EFSAが評価済みの文献の「統計学的再解析」で、雌の子どもが大きくなったときの乳腺過形成のうちの「軽度」と評価されたものについて、低用量領域のばらつくデータのうちの80 μg/kg bw/dayの群で「有意」になりそのp値が小さいから多重比較による偽陽性ではない、という主張。
それより高用量ではまた差がなくなるのでEFSAはLOAELを2700 μg/kg bw/dayとした。
(このへんの、連続的用量-反応曲線が想定できず、ある濃度で突然効果が出てまた無くなるという「低用量影響」支持派の前提だと、調べていない濃度のどこにでもそういう現象がある可能性を否定できないはずなんだが。しかも再現性の無さや他のデータ(例えば受容体との結合活性など)との整合性は気にしない)