食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

expert reaction to unpublished work on pyrethroids and autism in New York state – conference poster from the American Association of Pediatrics
April 30, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-unpublished-work-on-pyrethroids-and-autism-in-new-york-state-conference-poster-from-the-american-association-of-pediatrics/
MRC-PHE環境健康センター環境疫学准教授Anna Hansell博士
自閉症の環境要因の役割については活発な議論が行われているがまだASD発症要因としての農薬の研究は少なく検討中の仮説のままである。発表された研究は関連を示すもので原因だと結論するにはさらなる根拠が必要である。さらに学会発表で詳細は不明である。さらに著者も言うように蚊の媒介する疾患の影響が交絡している可能性がある−殺虫剤を多く使う地域は蚊が多い地域で、蚊の媒介する疾患も多く、それがASDリスクに影響する可能性がある
UCL小児科教授Alastair Sutcliffe,教授
私にとってはもっとらしくない仮説である。単なる観察研究は因果関係を示すものではない
Bristol大学小児科周産期疫学名誉教授Jean Golding FMedSci教授
このポスターを根拠にこの研究を信頼するのは不可能である。空中散布を行った地域とその他の地域の比較は多くのことが違う。著者はそれらを考慮していない。この研究は極めて初期のものとみなすべきである
Dundee大学医学部神経生物学准教授Christopher Connolly博士ピアレビューを受けて出版されるべきで現時点でこの研究について議論するのは不適切である
King’s College London精神病研究所心理学神経科学Rosa Hoekstra博士
提供された情報からはこの研究がしっかりしたものだとは思えない
(多数の指摘略)
Royal College of Paediatrics and Child Health (RCPCH)精神保健指導者 Max Davie博士
このペーパーについては影響は小さく通常の変動の範囲内のようだ
Liverpool大学小児臨床薬理学上級講師Daniel Hawcutt博士
ASDの発症に関する現在の根拠は遺伝と環境の複雑な相互作用でまだ完全には理解されていない、というのが私の理解である。このアブストラクトだけからは情報が少なく注意が必要である。興味深いが証明にはならない
(学会ポスターが何故そんなに注目されるのか?)

new study on neonics and impact on bumblebees
April 28, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/new-study-on-neonics-and-impact-on-bumblebees/
Scientific Reportsに発表された新しい研究で、個々の脳細胞への影響からスコットランドの5ヶ所のマルハナバチのコロニーへの影響までのレベルで、研究者らが3つのネオニコチノイドの影響を関連づけた。結論は、これら3つのネオニコチノイドはミツバチへのリスクについては別々に検討すべきであることを示した。最も重要なのは野外実験で全てがマルハナバチに有害かどうかを問うている。ジャーナリストがSMCに来てこの問題について議論した。話者はChristopher Connolly博士とStephen Buckland,教授

異なるネオニコチノイドマルハナバチへの影響についての専門家の反応
expert reaction to the effects of different neonicotinoids on bumblebees
April 28, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-the-effects-of-different-neonicotinoids-on-bumblebees/
チアメトキサムの製造販売企業であるシンジェンタの上級環境リスク評価専門家Peter Campbell博士
この論文は受容体レベルので変化と短期急性暴露による死亡率や農薬処理シロップへの長期暴露による長期のコロニーの健康への影響を関連づけようとしている。多数の矛盾、データの過剰解釈、薄弱な関連(ヒトでのニコチンの長期影響をマルハナバチへの短期影響に当てはめるなど)が用いられている。矛盾点は、クロチアニジンはチアメトキサムの主要代謝物なのにコロニーへの影響はチアメトキサムでしか見られずクロチアニジンでは見られないことやこれまでの報告と違うことなどがある。またコロニーでの研究は農薬を入れたシロップを直接与えることで行われており、通常の野外研究とは違う。評価が一回のみであるためと考えられる。マルハナバチのコロニーのこの研究で用いられた指標は時間経過とともに大きく変わることがわかっている。例えば女王蜂や雄蜂の数はコロニー間でもコロニー内でも年数で大きく変わり雌雄の比や巣の大きさなどもコロニーの成長で変わる。結論としてこの研究はいろいろな結果の矛盾を説明できないでいる
Rothamsted研究所生化学と作物保護部長Lin Field博士
この論文は異なるネオニコチノイドの異なる影響について興味深いデータセットを提供している。特に興味深いのはクロチアニジンがコロニーレベルでは全く悪影響がないことである。異なるネオニコチノイドは毒性が異なることはわかっているのでそれについては驚くこべきではない。著者は個別の殺虫剤/昆虫の組み合わせでの検討が必要と、正しく結論している。ある化合物のある昆虫への影響は多くの要因に依存する
Reading大学農業環境センター生態学者Mike Garratt博士
この研究は重要でタイムリーなもので、ネオニコチノイドの影響は全て同じではない。この研究はマルハナバチ1種への影響のみを検討しているがミツバチの種類によっても違うだろう。そして英国だけで200種以上のミツバチ類がいる。この研究は我々の食糧供給と環境に大きな影響を与える可能性のある重大な政策決定は最良の科学的根拠に基づくべきで、さらなる研究が必要であることを強調する。