食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 待ち望んだ報告書が抗菌剤耐性とどう戦い、どう代価を払うかの概略を示す

Scienceニュース
Long-awaited report outlines how to fight antimicrobial resistance—and how to pay for it
By Kai KupferschmidtMay. 18, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/long-awaited-report-outlines-how-fight-antimicrobial-resistance-and-how-pay-it
食品業者は肉にそれを作るのにどれだけの量の抗生物質を使ったかを反映する表示をするべきである。製薬会社は特に危険な耐性病原菌に有効な医薬品を開発したら10億ドルの報奨金を受け取るべきである。そして抗菌剤耐性についての大規模世界的啓発キャンペーンを行うべきである。これらは本日発表された抗菌剤耐性拡大と取り組むための広く待望されていた報告書の結論のうちの3つである。2014年に英国首相David CameronとWellcome Trustが委託した報告書は、経済学者で現在英国財務省商務担当大臣Jim O’Neillが主導したものである。

  • スーパー作物作成競争

Natureニュース特集
The race to create super-crops
Natasha Gilbert 18 May 2016
http://www.nature.com/news/the-race-to-create-super-crops-1.19943
超高効率作物を開発するのに昔ながらの交配技術が遺伝子組換えより成功している
途上国の栄養の乏しい土壌で育つ作物の開発についての長い記事。
複雑な遺伝子が働いていてどの遺伝子が鍵なのかわからないような性質を獲得するのにGM技術はなかなか成果が出せない一方で従来の泥臭い交配で希望が見えた。一方研究者交配と各種ハイテクを組み合わせようとしている。

Gridlock over Italy’s olive tree deaths starts to ease
Alison Abbott 18 May 2016
http://www.nature.com/news/gridlock-over-italy-s-olive-tree-deaths-starts-to-ease-1.19939
裁判所の判断が病気の封じ込め対策の道を開く、しかし他の地域や国への拡散リスクは残る
Xylella fastidiosaについて。
約3年前にオリーブ急速衰退症候群olive quick decline syndrome (OQDS)の病原体である細菌Xylella fastidiosa paucaが、多分アメリカから輸入された観賞用の植物と一緒に、イタリアに到着した。しかしその病原体の封じ込めを政治的法的行き詰まりが停止させ、20万ヘクタール近くに侵入しほとんどのオリーブを殺した。その中には1000年以上も経った、愛されてきた木も含まれる。この行き詰まりが5月12日に欧州裁判所が、1年以上前に欧州委員会が合意した封じ込め対策が、うろたえた反対者によって阻止されたものだが、適切であると宣言したことで緩和の兆しを見せた。これらには病気の拡散を監視すること、周囲の見かけ上健康な木を抜くこと、細菌を運ぶ昆虫を殺すことなどが含まれる。Xylellaは現時点では治らず、根絶できない。
しかし課題は残る。感染範囲は過去1年の間に拡大し地中海周辺他国への拡散の可能性が増えている。
昨年2月にイタリア当局はEUの合意した封じ込め対策を行おうとしたが地元の政治的支援を受けた反対活動家がXylellaが原因だという根拠を無視し地方裁判所で戦っていた。不確実性のために麻痺した当局は監視することすら阻止した。さらに5人の科学者が病気を広めたという容疑で昨年12月捜査を始めて混乱は深まった。
(中略)
封じ込め対策が遅れて感染地域が拡大したため、海外へのOQDS拡散のリスクは高くなった。特に心配なのがシリアやリビアで、これらの国での戦争が適切な監視を不可能にしている。
(一地方の、科学に明るくない裁判官が、他国のオリーブを壊滅させてしまうかもしれない判断をしてしまうという制度は恐ろしい。どこででも起こりうる)

  • インド料理レストランのオーナーが顧客をカレーで殺したと非難される

Indian restaurant owner accused of killing customer with curry
By Martin Evans, 9 May 2016
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/05/09/indian-restaurant-accused-of-killing-customer-with-curry/
違法な労働者を雇って持ち帰りレストランを営業していたMohammed Zaman 53才はアーモンドパウダーをより安価な、ピーナッツを含むミックスナッツで代用して、そのカレーを食べた重症ピーナッツアレルギーのPaul Wilson 38才が自宅で死亡した。従業員もシェフも移民法違反の違法労働者であった。Zamanの別のレストランでは過去1ヶ月以内にもピーナッツアレルギーのRuby Scott 17才がアナフィラキシーを起こしていた。Zamanは顧客にピーナッツは入っていないと保証していた。

  • 顕微鏡下:バーガー製品の分子解析

Clear Labs
Under the Microscope: A Molecular Analysis of Burger Products
May 2016
https://www.clearlabs.com/reports/the-hamburger-report
ハンバーガーは古典的アメリカンフードである。起源ははっきりしないが初めてバーガーが提供されたのは1880年代後半、テキサスのFletcher Davis of Athensで、炒めた牛挽肉のパテとマスタードとタマネギをパンにはさんだものとして、と言われている。それ以降私達は毎日何万というバーガーを食べてきた。
この報告書は258のバーガーを分析してその中身を調べたものである。
成分について発見したことは:
ベジタリアン製品の2つに肉が入っている
・一つのブラックビーン(黒豆)バーガーにブラックビーンが入っていない
・4.3%に病原性DNAが含まれる
・3例にラットのDNA
・1例にヒトDNA
その他に
ベジタリアン製品の23.6%に問題があるが全検体中では13.6%
「問題」の中身は、成分が表示と違う、衛生上の問題がある、病原体、カロリー表示が違う、など。
(だいたい「国産」とか「こだわりの」とかいう食品の安全や品質にあまり真の意味のない宣伝で付加価値を謳っている製品の方が偽りが多い。基本的なことをきちんとやっていることを評価すべきなのにイメージだけのマーケティングに流されるから。)

  • 超音波クリニックがコンピュータの故障で全く同じ赤ちゃんの画像を渡したと非難される

Ultrasound clinic blames identical baby images on computer glitch
May 18, 2016
http://www.ctvnews.ca/health/ultrasound-clinic-blames-identical-baby-images-on-computer-glitch-1.2906974
オンタリオで出産前の赤ちゃんの超音波写真を撮るというクリニックが1ダース以上の女性に全く同じ画像を渡したとして非難されている。問題のクリニックはコンピュータウイルスのせいではないかと言う。女性がFacebookに画像を投稿して明らかになった。さらに同じ画像が会社のウェブサイトにもあった。
(クリニック側が気がつかないわけはないので)