食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 母乳を与えることの根拠に疑問

Questioning the Evidence for Breastfeeding
Harriet Hall on April 19, 2016
https://www.sciencebasedmedicine.org/questioning-the-evidence-for-breastfeeding
6年前に私は母乳の根拠について書いた。もし米国の母親の90%が最低6ヶ月母乳を与えたら毎年900人の赤ちゃんの命が救われると主張する記事に疑問を提示した。私はそれが本当だとは思わなかったが母乳の方が赤ちゃんにとってより良いという主張には根拠があると考えていた。今はその根拠が信頼できるかどうかそれほど確信が持てない。
これまでの研究を再評価した研究で、それらの研究が意味のある交絡要因を適切に排除していないことがわかった。母乳を与えるかどうかには社会的、文化的、経済的要因が寄与し、これらの要因が結果を歪める。米国では母乳を与える率に社会的パターンがある
・人種:白人は75%、黒人は59%が一度は母乳を与えられる。6ヶ月まで続けるのはそれぞれ47%と30%
・家庭の収入:貧困レベルより185%収入が多い人たちの母乳を与える率は74%だが貧困レベル以下だと57%
・教育:大卒の母親に比べて、高校に通った、高校を卒業した、大学に通った人の母乳を与える率は64%、60%、39%低い。
きょうだいで母乳を与えた場合とそうでない場合を比較した研究では統計学的な有意差はなかった。
最近のテレビ番組で助産師が新米ママに対して、子どもを健康に育てたかったら絶対母乳を与えなければならないと信じ込ませている話が放送された。母乳で育てることに失敗して赤ちゃんは死にそうになった。この話はフィクションであるがこの問題の周辺に関する信念を反映する
結論として、母乳は(ベストではなく)ほんの少しよい

  • ブラジルでは、ラットの蔓延がより都市化した世界で何がおこるかの予兆となる

Scienceニュース
In Brazil, a plague of rats signals what may come in a more urban world
By Warren CornwallMay. 19, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/plague-rats
Pau da Limaのスラムにはラットがよく出没する。住人の血液にも痕跡を残し、多くの人がレプトスピラ抗体を持つ。レプトスピラで妻を亡くしたCarlos Bautistaは息子と祖父を田舎に送った。ラットは世界中どこにでもいるがこれまであまり注目されてこなかった。しかし都市部に住む人が増えるにつれラットへの関心が高まっている。
(長い記事。殺虫剤より殺鼠剤の方がヒトへの毒性は高いので要注意)

  • 米国が農場からの温室効果ガス排出削減に動き、新しい研究は大きな世界的課題を発見

As U.S. moves to cut greenhouse emissions from farms, new study finds big global challenge
By Virginia Gewin, Patrick MonahanMay. 19, 2016 ,
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/us-moves-cut-greenhouse-emissions-farms-new-study-finds-big-global-challenge
牛のげっぷから廃棄食品の分解まで、農業は温室効果ガスの主要排出源である。研究者らは世界の総排出量の約13%が農業由来と推定していて、エネルギー産生に次いで二番目の大きな排出源である。そして各国は地球温暖化抑制のために気候変動への農業の寄与を減らすための具体的な方法を探している。
最近この研究に情報を与える二つの進展があった。先週米国が「気候スマート」農業の進行状況報告書を出し、今週国際研究チームが農業とヒトの行動に大きな変化が必要であることを強調する研究を発表した。
(広範な分野での食品廃棄の削減の他、大きな変革が必要な分野として畜産と水田がある。これは日本にとって非常に「不都合な真実」)

  • プロバイオティクスは役にたたず、GMOは安全で、グルテンは必要

Probiotics Are Useless, GMOs Are Fine, and Gluten Is Necessary
Written by Kaleigh Rogers
May 19, 2016
http://motherboard.vice.com/read/probiotics-are-useless-gmos-are-fine-and-gluten-is-necessary-nutrition-science-fads-debunked
過去数年の最大の栄養に関する気まぐれな流行が先週全て大打撃をくらった。でも誰が耳を傾けるだろう?
先週一週間の間に、プロバイオティクスは必要がなく、GMOは害がなく、グルテンフリーダイエットはあなたがそれを必要とする病気でないなら悪い考えであることを示す、神話を打ち砕く研究が次々と発表された。今週生き延びたたった一つの流行はケールがスーパーフードであるという考えだけだった。
栄養と食事についてのブログを書いているオタワの医師で教授のYoni Freedhoff博士は「魔法の栄養についての研究は疑ってみるのがいつだって正解」という。「しかし人々の行動を変えるかどうかはわからない。残念ながら魔法の食品があるという人々の意見を打ち破るのはおそろしく大変だろう」。
一週間前にGenome Medicineに発表された研究がプロバイオティクスに、次にThe Journal of Pediatricsに発表された論文がグルテンフリーダイエットに、そして米国科学アカデミーの膨大な報告書がGMOについての、セレブやブログの教祖によって広められている一般人の信念を打ち砕いた。しかし質の高い科学であっても、栄養に関する熱狂的流行を無くすことはできないだろう−人々は常に秘密の解決法を求めているので。しかしこのような特定の食品への執着は一部の人だけのものである。ほとんどの人はGMOが入っているかどうか気にしていない。家族を食べさせられるかどうか、子どもが幸福で健康であるかどうかを気にしている。ほとんどの人にとってリアルな問題はそちらのほうだ、とFreedhoffは言う。