食品安全情報blog過去記事

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食品の残留農薬?

Pesticide residues in food?
Online Q&A Reviewed May 2016
http://www.who.int/features/qa/87/en/
食品の残留農薬に関する健康リスクとは?
農薬は昆虫、菌類、雑草、他の病害虫から穀物を守るために農業で使用される化学物質である。農業での使用に加えて、農薬は、蚊などの熱帯病の媒介生物を抑制し公衆衛生を守るためにも使用される。
だが、農薬はヒトにも毒性がある可能性がある。それらはがん、生殖毒性、免疫系や神経系の影響を含む有害健康影響を引き起こす可能性がある。使用が認可される前に農薬はすべての健康影響の可能性を検査しなければならず、ヒトへのあらゆるリスクを評価するために専門家の分析を受けなければならない。

「ハザード」と「リスク」:その違いは?
農薬のような危険な化学物質の健康影響への可能性についての科学的研究は、それらを発がん性(がんの原因となりうる)、神経毒性(脳の損傷の原因となりうる)、催奇性(胎児に傷害を与える原因となりうる)、などに分類することを可能にする。「ハザード同定」と呼ばれるこの分類作業は、「リスク評価」の第一段階である。ハザード同定の例は、WHOの専門的がん機関である国際がん研究機関(IARC)が実施したヒトへの発がん性による物質の分類である。
一人の人間がどのくらいの量の化学物質に暴露されるかにより、同じ化学物質が様々な影響を持つ可能性がある。それは例えば飲み込む、吸入、注射など、その暴露経路にもよる。

WHOが「ハザード同定」と「リスク評価」の2つを区別する理由は?
「ハザード同定」―特に発がん性に関するIARC分類は−「リスク評価」の最初の段階である。ある物質を発がん性ハザードがあると分類することは、例えば職業、環境、食品などからの、ある濃度での暴露はがんのリスクを増やす結果となりうることを示す。
国連食糧農業機関世界保健機関合同残留農薬会議(JMPR)が行う食品の残留農薬リスク評価は、リスクの程度を評価して安全な摂取量を設定する。許容一日摂取量(ADIs)は、食品の農薬の最大残留基準(MRLs)を設定するために、政府やFAO/WHO合同食品規格委員会などの国際リスク管理者によって使用される。消費者が生涯にわたり食品を食べることで暴露する残留農薬の量で有害な健康影響がないことを確認するために国家当局はMRLsを履行している。
IARCのハザード同定はJMPRのリスク評価に情報を提供することができ、そのためこの2つのプロセスは相補的でありうる。例えば、IARCは化学物質の発がん性に関する科学的研究から新しい証拠を同定することがあり、必要があればJMPRは農業で使用され、食品に残留する化学物質の安全性の評価や再評価を行う。

(FAQと重複)