食品安全情報blog過去記事

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その他

  • あなたの身体中の化合物をマップできる男

Natureニュース特集
The man who can map the chemicals all over your body
Paul Tullis 07 June 2016
http://www.nature.com/news/the-man-who-can-map-the-chemicals-all-over-your-body-1.20035
Pieter Dorresteinは質量分析を使って微生物と世界の対話を盗み聞きする
カリフォルニア大学サンディエゴ校のPieter Dorresteinのオフィスには丸いテーブルとそれを囲む椅子、本棚などがある。彼のコンピューターの画面にはその空間の3Dレンダリングがあり4人が座っている−そのうち一人はDorresteinで明るい色のペンキをかけられたように見える。この画像を作るために、研究者はこの部屋の全ての表面を、人間も含めて、何百回もぬぐい取って、そこに存在する化合物を質量分析で同定した。
この画像は空間とそこにいる人について多くのことを明らかにした。Dorresteinの同僚のうち2人はコーヒーをよく飲み、カフェインが彼らの手や顔中に点在していた(床にもこぼした跡がある)。Dorresteinはコーヒーを飲まないがあちこちに痕跡が残っていた。さらに少なくとも過去6ヶ月は使ったことのない昆虫忌避剤DEETが彼の触った多くの表面から検出されたことに驚いた。
それからオフィスの別の住人の痕跡もあった:ヒトの皮膚にいる微生物である。Dorresteinは質量分析でこれらの微生物が作り出す小分子や代謝物を調べてきて微生物のコミュニティーの相互作用についてより明確な知見を得ている。彼らの仕事はこれまでわからなかった微生物や有用化合物を同定できる可能性がある。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校Gladstone研究所の比較遺伝学者Katie Pollardはこの方法の応用範囲は広い、という。多くの微生物は培養できないので直接研究できない。このようなアプローチは状況を一変させる可能性がある。彼らは先月ホワイトハウスの科学技術政策オフィスが発表した5億2100万ドルの国家マイクバイオームイニシアチブで概要を示された主要目的のいくつかに直接取り組んでいる。
この急速に動く分野で、Dorresteinは有用なツールを作ることと生産的協力で群を抜く。
(以下Dorresteinの研究について紹介。この特集はnatureのマイクロバイオーム特集の一部。EMだの発酵食品を食べると善玉菌が増えるだのというレベルで宣伝ばかりしている人たちとの違いはますますひらく。インチキで金儲けができれば困難な研究に挑むインセンティブはない)

  • 髪の毛を増やすレーザー装置

Laser Devices for Hair Growth
by Berkeley Wellness | June 07, 2016
http://www.berkeleywellness.com/self-care/over-counter-products/article/laser-devices-hair-growth
髪の毛が薄くなってきたとき、自宅でできる増毛機器が魅力的に見えるかもしれない。ヘルメットのような装置iGrow やLaserCap、Theradome、 HairMax LaserBandなどが販売されている。これらは低出力レーザー光療法(LLLT)、コールドレーザーやソフトレーザー療法と呼ばれている。700ドルから3000ドルを出して買う前に知っておくべきことがある。
最初にLLLTの動物実験毛の増殖刺激が報告されたのは1960年代に遡る。2013年と2014年にはiGrowのヒトでの研究が発表されている。他に10あまりのLLLTの研究で髪の密度や濃さが増えると報告されているが一部は効果がなかった。また一部の製品では脱毛の苦情がある。いくつかの研究でポジティブであってもそのことが必ずしも意味のある見かけの違いにはならないことに注意する必要がある。ほんの少し髪が増えても気がつかない程度である可能性がある。例えば2013年の論文では髪の毛の太さに統計学的有意差があっても使用者の満足度には差がなかった。さらにほぼ全ての研究がメーカーによるものあるいは研究費を出したもので方法論に問題のあるものが多い。さらに研究毎に使った波長やエネルギー量が異なり比較できない。2014年の独立したレビューによると有効性についてはまだ不明なままである。一部の企業が「FDA認可」と宣伝しているが、それは単に既に市販されている同様の機器と「同等」であることを意味するだけで有効性や安全性を保証するものではない。
基本:質の高い研究が必要である。脱毛が心配なら皮膚科医に行って原因をつきとめて助言をもらうこと。脱毛にはミノキシジルとフィナステリドが使われるがこれらは有効ではあるが誰にでも効果があるわけではなく副作用もある。
(こういうやつか。素人は簡単に騙されるんだな
ttp://www.pnai.org/%E3%83%98%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E5%89%AF%E4%BD%9C%E7%94%A8%E5%BE%B9%E5%BA%95%E6%A4%9C%E8%A8%BC/)

  • CSIRO Total Wellbeing Diet (FSANZと協力して行っている健康的食生活推進活動)

何故人々はグルテンまたは小麦を避けるのか?
Why do people decide to go gluten- or wheat-free?
By Sinead Golley, Postdoctoral research fellow, CSIRO
https://www.totalwellbeingdiet.com/community/blog/why-do-people-decide-to-go-gluten-or-wheat-free/?utm_source=twdnewsletter&utm_medium=email&utm_campaign=160608-gluten-free
時により脂肪、ナトリウム、炭水化物、砂糖、タンパク質が「悪い」ものと名指しされてきた。今は小麦に含まれるタンパク質であるグルテンが話題のようだ。
セリアック病や小麦アレルギーの人にとっては小麦やグルテンを避けることは必須である。そのような人の割合は1-2%である。しかし「グルテンフリー」や「乳糖フリー」を謳った製品は増加し続けている。そして穀物や乳製品を避けるように主張する原始人ダイエットのような制限食も人気を集めている。このことはアレルギーと診断された人以外がグルテンや小麦を避けていることを示唆する。
CSIROは約1200人の全国調査を行ったところ、オーストラリア成人の10人中1人が小麦製品を避けたり制限したりしていることがわかった。男性より女性が多い。また小麦を避けている人の53%が乳製品も避けていた。何故これが問題なのか?現在の食事ガイドラインによると穀物と乳製品はバランスのとれた食生活の重要な構成要素である。
この決定の背景は複雑である。1.1%はセリアック病と診断された、あるいは家族がセリアック病なので小麦を避けている。他は体重管理のためあるいは味の好みという。
しかし小麦を避けている人の多くは−セリアック病ではないオーストラリア人の約7%−彼らが小麦を食べたせいだと考えている一連の有害症状を管理するために小麦含有製品を避けている。主な症状は消化器系(腹部膨満やガスや腹痛)であるが疲労なども含まれる。
セリアック病やアレルギーなどの公式な診断がなされているかを尋ねると84%はノーと答える。では何を根拠にそのような決定をしているのか?
特定の食品を食べることと有害事象を関連づける情報が無数にある。我々の知見とグルテンフリーダイエットの人気急増は、セリアック病とアレルギーとは別に、小麦を食べることに関連する他の症状が健康上の懸念として増加していることを示唆する。
現在この分野の研究活動の最大の駆動力は非セリアックグルテン過敏症(NCGS)という概念である。NCGSはグルテンを食べると生じるがグルテンフリーだと改善する有害反応(アレルギーを除く)と定義される。NCGSについては多くのことがわかっていない。これらの人々の症状が実際何によって引き起こされているのかを見つけるのは難しい、彼らは同時に複数の食品成分を避けていることが多いので。さらなる情報が入手できるまで、相当数のオーストラリア人が不必要な制限食をして栄養バランスが悪くなるリスクがある。
これらの症状のある人々の多くが普通の医学的助言を受けていないようであることも懸念材料である。このことはより重大な病気が検出されてないことを意味する。

Recall of Monsanto's Roundup likely as EU refuses limited use of glyphosate
Monday 6 June 2016
http://www.theguardian.com/environment/2016/jun/06/recall-of-monsantos-roundup-likely-as-eu-refuses-limited-use-of-glyphosate
月曜日の投票で賛成20反対1、棄権7で、EUの人口の65%をカバーする大多数に到達しなかった。

  • EUが再びグリホサートの更新を延期したため、食糧と農業貿易に支障のおそれ

Food and farming trade disruption looms as EU again postpones glyphosate renewal
Kelvin Heppner | June 7, 2016
https://www.geneticliteracyproject.org/2016/06/07/food-farming-trade-disruption-looms-eu-postpones-glyphosate-renewal/
6月6日に12-18ヶ月のグリホサートの登録更新が支持されなかった。現在の認可は6月30日に期限が切れる。もしそれまでに承認されなければ、EU加盟国はグリホサートを含む製品を6ヶ月以内に回収しなければならない。カナダや米国のような輸出国にとっては、EUに輸出する際の作物のグリホサートトレランスが実質的になくなるため、取引に支障が出る可能性がある。
(デフォルトの0.1 mg/kgにされる可能性がある。EUは古くてより毒性の高い除草剤を使うことになるだろう、とのこと)

  • あなたの食べる食品のしょっぱい驚き

Salty Surprises in the Food You Eat
By SABRINA TAVERNISE
http://www.nytimes.com/interactive/2016/06/07/health/salt-in-food.html?_r=0
連邦政府が食品企業に減塩目標を提示した。しかしあなたは減塩ガイドラインが発効するまで待つ必要はない。以下にあなたが知らずに食べている余分な塩についていくつか示そう
(写真とナトリウム量。ケチャップ、ハム、ベーコン、など)

British Columbia police find W-18, fentanyl in drug bust
Tuesday, Jun. 07, 2016
http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/bc-police-seize-drug-thought-to-be-100-times-stronger-than-fentanyl/article30329805/
ブリティッシュコロンビアの秘密ラボで押収した薬物を分析したところW-18であることがわかった。少なくとも80gあり、錠剤と粉末の両方で、オキシコドンやヘロインに似せた色や香りがつけられていた。彼らがやっていたことはフェンタニルやW-18を使ってニセのヘロインを作ることである。