食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • マウスの腸内細菌と社会行動についての専門家の反応

expert reaction to gut bacteria and social behaviour in mice
June 16, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-gut-bacteria-and-social-behaviour-in-mice/
母親マウスに高脂肪食を与えると腸内細菌が変わって子どもの社会行動に悪影響があるという研究がCellに発表された
マンチェスター大学神経生物学上級講師Jaleel Miyan博士
これは腸内細菌を変えることの異常行動への影響を明確に示した素晴らしい研究である。
理解すべきことは脳の発達が悪いときには末梢神経系の発達も悪く、そのような発達の悪さの主要標的が腸である。腸の神経発達の異常は腸の機能だけでなく腸内細菌叢にも影響するだろうが、同時に情報は脳に還元される。別の言い方をすると悪い細菌叢は脳にも影響がなければASDの原因にはなりそうにない。いくつかの疑問は残る。マウスの腸内細菌の変化に感受性があるようにする脳の発達の問題もあるのか?この研究で使った無菌マウスではなく正常のマウスの腸内細菌の変化でも同様の行動変化があるのか?母親の肥満による腸内細菌の変化のメカニズムは?など
「自閉スペクトルを研究する」の共著者でOpen大学神経病理准教授Payam Rezaie博士
我々は現在「正常」な腸内細菌とは何か、そして微生物コミュニティーのバランス変化が個人にどう影響するのかについて理解し始めたところである。食事は明確に重要な役割を果たす。最近の実験データは腸内細菌の構成が免疫や神経や行動に影響することを示唆するが、新しいデータは答えより多くの疑問を生み出す。
この研究はプロバイオティクスで自閉症のある種の行動が治療できるのではないかという期待を抱かせるがヒトとの関連はわかっていない。さらなる研究の必要性を示唆するものである。

  • 食品の安全性と真正性:政府化学者ラボ会議

Food safety & authenticity: Laboratory of the Government Chemist conference
June 16, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/food-safety-authenticity-laboratory-of-the-government-chemist-conference/
食品の検査や分析を行っている企業、Laboratory of the Government Chemistの年次会合が6月21-22日に開催される。この会議には科学者、規制担当者、執行機関、企業、政策決定者などが集まって食品偽装、真正性、安全性について議論する。
会議を前に、専門家がSMCでこの分野の進歩などについてジャーナリストに情報提供する。
内容は、食品真正性ネットワークの設立と2013年以降何が達成できたか、食品の誤表示、食品偽装−どれだけよくあることでどうすれば予防できるか、二つのラボで検査結果が異なるときはどうなる?、今世紀最大の食品詐欺のいくつかを発見するのに果たした科学の役割。

  • 薬物の非犯罪化を要請する報告書への専門家の反応−薬物に新しい線を引く

expert reaction to report calling for decriminalisation of drugs – Taking a New Line on Drugs
June 16, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-report-calling-for-decriminalisation-of-drugs-taking-a-new-line-on-drugs/
王立公衆衛生学会と公衆衛生教員団が合法および違法薬物の現在の取り扱いと可能な戦略について議論し、非犯罪化を求める報告書を発表した。
王立精神科学会公衆精神保健准登録医Peter Byrne博士
この報告書は違法薬物とアルコールやタバコによる社会への有害影響を比較したタイムリーな報告である。根拠からは刑事司法システムは害を減らすのに失敗してきていて非犯罪化を支持する。これは有毒で命に関わる薬物を合法化しろと主張しているのではない。英国の薬物による死亡が増加していることを懸念し、それが政策の失敗を反映している。
Newcastle大学薬物使用・政策・実践教授Peter Anderson教授
これらの助言は5年前のEUが出資したALICE RAPプロジェクトの結論に沿ったものである。
Imperial College London神経心理学センター長 David Nutt教授
私はこの報告の助言を完全に支持する
(日本は刑事司法システムが有効なようだけど何が違うのか)