食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 社会経済的地位と脳腫瘍についての研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study on socioeconomic status and brain tumours
June 20, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-on-socioeconomic-status-and-brain-tumours/
Journal of Epidemiology and Community Healthに社会経済的地位と脳腫瘍リスクについての研究が発表された。
オックスフォード大学臨床疫学Jane Green博士
著者が述べているように、社会経済的地位の高さと脳腫瘍の関連は新しいものではない。この研究は参加者の数が多くフォローアップが良好で指標が一つ以上−この場合は教育、収入、職業−あり、良いことである。結果は概して社会経済的地位の高いことが脳腫瘍リスクの高いことと関連することを確認するものだった。しかし男女の見かけ上の差と異なる腫瘍のタイプであることから解釈には注意が必要だと考える。
これは大規模研究であっても各群に分けたあとの腫瘍の数は少なく、リスク推定は正確ではない可能性がある。
この研究では何故社会経済的地位でリスクが違うのかはわからない。誰も収入が直接脳腫瘍リスクに影響するとは考えないだろう。この研究は疾患登録データを用いているので個人の特徴やライフスタイル要因はわからない。この文脈で考慮すべき項目としては喫煙と身長と、女性のホルモン補充療法がある。脳腫瘍はほかのほとんどのがん同様に、身長が高いと多い。そして身長が高い人は教育レベルが高く金持ちである傾向がある。ホルモン補充療法は脳腫瘍リスクを上げるがその使用率は社会経済的グループにより差がある
ケンブリッジ大学公衆のリスク理解に関するWinton教授David Spiegelhalter卿
私は学位を持っているがこの結果を見て安心した。例えば最も教育レベルの低い男性3000人のうち5人が18年間で神経膠腫と診断される。最も教育レベルの高い3000人だとそれが6人になる。
これは「ビッグデータ」があれば現実的には意味のない統計学的有意差を見つけることができるという古典的な例である。著者らはこの知見が検出のバイアスによる可能性について断っている。タイトルやプレスリリースの強い主張とは違って、これは大学教育との因果関係を提供せず、職業との関連も弱い。

  • 湖の鼻水を止めるために何ができる?−Marc Schallenberg博士

SMC NZ
What can be done to stop lake snot? – Dr Marc Schallenberg
June 20th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/06/20/what-can-be-done-to-stop-lake-snot-dr-marc-schallenberg/
南部の湖を詰まらせている藻類についてさらなる研究が必要だとオタゴ大学のMarc Schallenberg博士はいう
それはまるで悪夢のようだ。あなたは深い湖の透明な水の中を魚のように泳いでいる。突然透明な青い水に透明な粘液が漂っているのに気がつく。泳いでいるとその粘液はあなたにまとわりつき薄いスライムの膜を作る。あなたはパニックに陥り夢から覚めて冷や汗をかいている。
残念ながらこれが南島の湖のいくつかを泳いだら実際におこることだ。2004年頃から、Wanaka湖で釣りをしていた人たちが釣り竿やルアーに、これまで見たことのない異常なスライムがくっつくことに気がついていた。2008年にオタゴ大学の湖研究チームがこの新しく観察された、ほぼ透明な、粘液状の物体を“lake snow”と名付け、新種の藻類Cyclotella bodanica(最近Lindavia intermediaと変わった)の存在と関連づけた。
(取水すると目詰まりをおこすらしい)

Ask the Experts
Are Brewer’s Yeast Supplements Worth Taking?
by Berkeley Wellness | June 20, 2016
http://www.berkeleywellness.com/supplements/other-supplements/article/are-brewer%E2%80%99s-yeast-supplements-worth-taking
Q: 醸造酵母とは何で、そのサプリメントは摂る価値がある?
A:パン酵母同様、醸造酵母は出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの一系統である。名前の通り、ビールの醸造に使われる。不活性化してサプリメントとして販売され(フレークや粉末として)、タンパク質、ビタミンB類、クロムやマンガンなどの微量栄養素の供給源となる。「栄養酵母」と言われるものも出芽酵母の一種である。栄養酵母サプリメントも不活性化してある。これらはいずれも膣の酵母感染を引き起こすCandida albicansとは関連がない。
酵母サプリメントの栄養は培養に使った培地や加工工程、強化されているかどうかによって異なる。一部にクロムやセレンの多いものや葉酸の多いものがある。多くの場合ビタミンB12はほとんど含まない。
しばしば宣伝されているような、酵母サプリメントがエネルギーを強化し、運動能力を改善し、あるいはその他の健康上のメリットがあるという根拠はない。クロムの多い酵母がしばしば血中コレステロール管理や糖尿病にと宣伝されているがクロムのそのような影響についての根拠は一貫性がない。
好きなら酵母サプリメントを使えばいい。栄養酵母はナッツやチーズの風味があり、醸造酵母はもっと苦い。ラベルの栄養成分を比較しよう。栄養は健康的な食事から摂るのが常にベストである。例えば出産年齢の女性でもっと葉酸を摂ろうと思うなら、もっと信頼できる方法は基本的なマルチビタミンやミネラルの錠剤を摂ることである。

  • 素晴らしい事実の探求者

Natureニュース
Q&A: Fabulous fact fisher
Daniel Cressey
Nature 534, 325
http://www.nature.com/nature/journal/v534/n7607/full/534325a.html
ワシントン大学Friday Harbor研究室の生物力学研究者Adam Summersは魚がどう動くのかについて研究してきた。しかしもう一つの仕事はPixarの「素晴らしい魚担当者」として、ファインディング・ニモファインディング・ドリーの魚類学に助言を提供している。Summersにインタビューした。
Pixarが科学に可能な限り忠実であろうとする姿勢が語られている
(ドリーの健忘症は記憶喪失性貝毒のせい、という設定ではないらしい。ナンヨウハギの餌は藻類なのでしばしばそれを食べてシガテラにはなるらしいけど。)

  • インチキバスターのリーダー、William Jarvisが80才で死亡

Quack Busters’ Leader William Jarvis Dies at Eighty
William M.London
March 22, 2016
http://www.csicop.org/specialarticles/show/quack_busters_leader_william_jarvis_dies_at_eighty
懐疑主義者は最も影響のあった一人を亡くした。William Tyler Jarvisが80才で死亡した。
彼は二つのインチキバスター団体の前任で今はない反健康詐欺全国評議会National Council Against Health Fraudの共同創設者で、1977年から2000年まで会長を務めた。NCAHFは彼の元で米国の健康に関する詐欺やインチキの主要情報センターとなった。
彼はインチキは単に虚偽の、証明されていない医療を使うことではないと強調していた。詐欺的「代替」あるいは「補完」医療の宣伝は公衆衛生を損なう。インチキは人類にとって普遍的なものでそれを排除しようとするは無理で、現実的な目標として社会に与える有害影響を最小化しようとした。
(長い追悼文の一部のみ)

  • 内分泌医療における調剤された生物学的同等ホルモン剤について:内分泌学会の科学的声明

Compounded bioidentical hormones in endocrinology practice: An Endocrine Society scientific statement.
Santoro N and others.
Journal of Endocrinology and Metabolism 101:1318-1343, 2016
http://www.pharmacy.ca.gov/meetings/agendas/2016/16_apr_bd_mat_xix.pdf
(リンクは出版社ではなくカリフォルニアの薬事委員会)
米国で調剤薬局が天然ホルモンはFDAの認可した医薬品より安全などといった虚偽の宣伝をしてホルモン剤を販売していることに対する懸念を表明したもの。
そもそもあるあゆる症状が何らかの「ホルモン異常」のせいだからホルモン剤で補充すれば治るという主張に根拠がない