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EFSA科学会議N°22「エピジェネティクスとリスク評価:我々はどこに立っているのか?」

EFSA Scientific Colloquium N°22 ‘Epigenetics and Risk Assessment: Where do we stand?’
14 June 2016
http://www.efsa.europa.eu/en/events/event/160614
エピジェネティクスとリスク評価:EFSAの科学会議は今後の道筋を描く
EFSA科学会議の結論としてカロリンスカ研究所のSandra Ceccatelli教授は「我々は知っていることと知らないことを同定した。これは素晴らしい成果である」と述べた。6月14-15日に20ヶ国約100人が参加した科学会議。
エピジェネティクスとは何?
エピジェネティクスは比較的新しい科学分野で実際何を引き起こすのかについてはまだ議論が続いている。我々が知っているのはエピジェネティクスは細胞のDNA周辺の変化によりDNAの配列を変えることなく遺伝子がどう読まれるのかを変える。バーミンガム大学のKevin Chipman教授は「エピジェネティクスは正常な生理機能の重要な側面で、環境に適応し反応する方法である。」という。個人のライフスタイルや食事や環境ストレッサーなどの外部要因がエピジェネティックプロセスに影響するという根拠が増えている。その結果身体の見た目、寿命、健康、病気になりやすさなどが良い方にも悪い方にも変わる可能性がある。
リスク評価におけるエピジェネティクス
この議論の目的は食品安全リスク分析におけるエピジェネティクスの役割について同定することである。USDAのDiane Wray-Cahen博士は「エピジェネティクスは食品中の特定のハザードについての現在の我々のリスク分析の方法に何かを加えるか?我々はまだ答えを知らない」という。
ディスカッショングループ
専門ディスカッショングループでは各種課題について議論した:リスク評価の際にエピジェネティクスを考慮すべきか否か;分子メカニズムを考慮する必要性やエピジェネティクス影響を調査する方法とバイオマーカーの使用;既存データの不足している部分の同定と今後の研究課題、など。
可逆性や世代を超えた影響、適応的変化と有害影響の区別の必要性など、繰り返されるテーマもあった。またエピジェネティック変化が有害影響を引き起こしたり化学物質暴露による有害影響の結果としてエピジェネティクス変化があった場合、原因なのか結果なのかという問題についても議論した。
宿題
主な宿題は、エピジェネティクスへの理解を進めるための質問に答えを探すことである。エピジェネティクス修飾は何を意味するのか?我々はそれをどうやって研究するか?そのような修飾についてどのくらい心配すればいいのか?フランス国立科学研究センターのRobert Feil博士は「我々は良い議論をし、これが正確な質問をするのと今後の方向性を形成するのに役立った」という。
我々はどこに立っているのか?
会議の科学的結果を参照してCeccatelli教授は言う:「我々は将来やるべきことを知っている。我々は進む方向を同定した」という。閉会に際して彼女は、科学的リスク評価を向上させるためには各科学専門分野と疫学の臨床分野との協力が必要であることを強調した。
プレゼン資料掲載
・オランダの人はヒ素アフラトキシンとシクロスポリンAのトキシコゲノミクス
・NTPの人が食品中フランの話をしている
フランのバイオアッセイでの発がん性は明確で遺伝毒性もあるが肝発がんは再生性の過形成の二次的なものであると考えられる。フランのラットやマウスでのがんがDNAメチル化などのエピジェネティクス変化を介するのではないか?
・Chipmanのスライドにはラマルクとダーウィンとキリンの首の話が