食品安全情報blog過去記事

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ブロッコリー化合物は慢性疾患対策に役立つかもしれない

Behind the headlines
Broccoli compounds may help combat chronic diseases
Friday June 24 2016
http://www.nhs.uk/news/2016/06June/Pages/Broccoli-compounds-may-help-combat-chronic-diseases.aspx
「新しい研究によると、ブロッコリーを食べることは冠動脈心疾患、2型糖尿病、いくつかのがんになるリスクを下げるかもしれない」Daily Mailが報道した。しかしこの主張の根拠はしっかりしたものだとは言えない−この研究はヒトではなく植物での研究だから。
ブロッコリーや他のアブラナ科の野菜にはフェノール類が含まれ、それらは心疾患やある種のがんや2型糖尿病や喘息との関連が言われてきた。それらは細胞を分子レベルで傷つける酸化的ストレスや炎症に関与すると考えられている−そのメカニズムは不明だが。そのような健康上のメリットがある可能性があるため、植物学者達はフェノールの多い野菜や果物を作りたがる。この研究はフェノール含量の多いブロッコリーを調べてフェノール産生に関わる遺伝子や遺伝子配列を決めようとしたものである。しかしながらこの研究ではフェノール含量は年や生産条件で大きく異なることも示した。このことはフェノール含量を変えるのは遺伝子をかえるだけというような単純なものではないことを示唆する。そしてMailの見出しとは違って、「遺伝子を操作した」ブロッコリーがヒトや動物で調べられたわけではない。
ブロッコリーやその他の野菜は健康的な食生活の一部として薦められている。しかしこの研究は根拠とはならない。