食品安全情報blog過去記事

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論文

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 94, Number 7, July 2016, 481-556
http://www.who.int/bulletin/volumes/94/7/en/
国民皆保険を目指して、健康推定報告を改善する、非伝染性疾患予防に若い人の参加を、インドの大気汚染、クリーンエネルギー(原子力含む)の健康上のメリット(2070年までに脱炭素decarbonizationを目標)、など

  • ウェブでのイタドリの助言に注意、研究者が警告

Be wary of knotweed advice on the web, researchers warn
3-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/uoe-bwo063016.php
イタドリJapanese knotweedについての助言をインターネットで探すと多数の、しばしば矛盾した、誤解を招く助言をみつける可能性があることをExeter大学の研究者が発見した。Applied Ecologyに発表された研究ではこの外来植物についての正確で包括的な情報は一部の地方自治体のウェブサイト以外では得難いことを報告。

  • 脂肪吸引」を検索?研究はオンライン情報の質の低さを示す

Googling 'liposuction'? Study shows low quality of online information
1-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/wkh-gs070116.php
アメリカ形成外科学会の公式オープンアクセス雑誌であるPlastic and Reconstructive Surgery--Global Open®に発表された研究によると脂肪吸引についてインターネットで検索する患者は全体として「極めて質の悪いvery poor」情報しか得られない。特に問題なのはリスクについての情報がないことである。

  • 科学者、医師、活動家が環境毒素が脳の発達を傷つけることに合意

Scientists, physicians and advocates agree: Environmental toxins hurt brain development
1-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/uoc--spa070116.php
Environmental Health Perspectivesに発表されたプロジェクトTENDR(環境神経発達リスクを標的にする)コンセンサス声明は、現在のおよび今後の世代の脳の発育を守るために有害化合物への暴露を減らすために直ちに対応することを呼びかける。
子どもの学習や知能や行動不全に寄与するとされた化合物や汚染物質は、有機リン農薬、難燃剤PBDE、多環芳香族炭化水素や二酸化窒素や粒子状物質などの燃焼関連汚染物質、鉛、水銀、PCB類。
Project TENDR: Targeting Environmental Neuro-Developmental Risks. The TENDR Consensus Statement
http://ehp.niehs.nih.gov/EHP358/
(微妙。内分泌学会以外ではわりと主流ではない人たち。プレスリリースの画像が「米国の妊娠女性の90%には検出可能な濃度の化学物質が!」と恐怖を煽っていて、声明文本文ではリスクを全く考慮せず、どんな研究であっても(妥当性を考慮せず)リスクの兆候があれば禁止等の根拠になると主張している。そして何かが禁止された場合その代用品がデータが無く危険だとも言っているので結局どうすればいいのかについては何も言わない。EHPらしいといえばそうだが。)

Star fruit as a cause of acute kidney injury: a case report
Miguel Moysés Neto
J. Bras. Nefrol. vol.36 no.2 São Paulo Apr./June 2014
http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0101-28002014000200118&lng=en&nrm=iso&tlng=en
ブラジルの雑誌のエディトリアル
1993年以降、スターフルーツによる症状が報告され始めた。なかなかとまらないしゃっくりから始まる各種神経症状と、特に腎疾患のある人での腎機能障害が特徴。神経毒カランボキシンが最近同定されたがシュウ酸の量も寄与している可能性がある
今回の症例報告は大量のスターフルーツを食べたことによる急性腎障害で、カタバミ科やナガバノゴレンシAverrhoa bilimbiのようなシュウ酸の多いフルーツを(たくさん)食べることについては注意が必要

Freshwater clam extract supplement-induced acute cholestasis.
Yokomori H, Yamazaki H, Oda M.
Hepatology. 2016 Feb;63(2):665-6.
北里大学

  • 亜麻仁摂取による全身性接触性皮膚炎

Systemic Contact Dermatitis due to Flaxseed Ingestion.
Meyer MD, Watsky KL.
Dermatitis. 2015 Sep-Oct;26(5):241

Levels and potential health risks of mercury in prescription, non-prescription medicines and dietary supplements in Poland.
Kowalski A, Frankowski M.
Regul Toxicol Pharmacol. 2015 Oct;73(1):396-400
ポーランドで市販されている119製品の水銀濃度を調べた。1gあたり0.9-476.1 ngと多様な濃度だった。

A kwashiorkor case due to the use of an exclusive rice milk diet to treat atopic dermatitis.
Mori F, Serranti D, Barni S, Pucci N, Rossi ME, de Martino M, Novembre E.
Nutr J. 2015 Aug 21;14:83.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4545991/
イタリア。母乳のみで育てていて4ヶ月でアトピー性皮膚炎を発症し、はじめのうちは抗生物質ステロイドで治療していたが母親が小児科に不満を抱きナチュロパスのところに行って制限食を始めた。6ヶ月時点でライスミルク、フルーツ、コメ、鳥肉のみを食べていた。子どもの食欲がなく、咽頭浮腫により発声困難と嚥下障害があったためライスミルクのみを与えられていた。やがて手足に浮腫が生じ尿が出なくなった。貧血と低アルブミン血症。治療後の皮膚検査ではミルクや卵への抗体はなかった。カルシウム濃度が低かったため歯の脱ミネラル化がおこっていてフォローアップした2才まで継続していた。
類似の症例は2001年2003年に(イタリアで)報告されているが10年以上経っても同じ間違いが繰り返されている。