食品安全情報blog過去記事

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新興リスク情報交換連絡会2015年の年次報告書

Annual report of the Emerging Risks Exchange Network 2015
EFSA-Q-2015-00639  21 July 2016
http://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1067e
新興問題の可能性がある全13件が提示され評価された。新興リスク情報交換連絡会(EREN)はそのうち11件が新興問題だと考えられると結論し、推奨されるフォローアップ行動が提示された。
提示された13件は
1.生のビートの根摂取に関連するアウトブレイク
2.北部水系でのVibrio spp の増殖と欧州の二枚貝からのTTXの検出
3.牛や豚の家畜からの新型インフルエンザウイルスと推定されるウイルスの同定
4.ビターアプリコットカーネルを食べることによるリスク
5.イタリアでの2014年のデオキシニバレノールとゼアラレノン濃度の増加
6.生または調理不十分なシイタケ摂取による皮膚炎
7.クロアチア産ブロイラーの肉のSalmonella Infantis頻度の増加
8.CPE/CPA(カルバペナマーゼ産生細菌)の動物を介した拡大
9.人工プラスチックライス
10.未殺菌ミルクのYersinia pseudotuberculosisアウトブレイク
11.食品あるいは食品添加物としての干し草
12.グリーンスムージーのシュウ酸
13.マスタードに天然に存在するビスフェノールF(BPF)
このうちビターアプリコットカーネルについては新しい問題ではない、BPFは新興なのかどうか評価が困難ということで除かれて11になった。
カビ毒やバイオトキシンは気候変動との関連、シイタケ皮膚炎は食習慣の変化(でもシイタケ皮膚炎で検索してくる人コンスタントにいるんだよね)。
人工プラスチックライスは2011年から東南アジアで中国産のプラスチックライスが出回っているとメディアで報道されはじめた。報道によるとジャガイモとサツマイモでコメの形を作ってプラスチック樹脂で固めるという。しかし実物がみつかっていない。(段ボール肉まんみたいな?)
消費者のナチュラル志向で乾燥した草(ハーブや花や芝生など各種)を食品にする事例が増加している。たとえば干し草入りチョコレート、干し草いりチーズ、干し草ビネガー、干し草抽出物入り飲料等。適切な定義がないとリスク評価が難しい。一部の業者が干し草で育てた乳牛のミルクから作ったチーズを「干し草チーズ“haycheese”」と呼んでいることなどもある。
グリーンスムージーは要するに青汁。1日に180mg以上のシュウ酸を摂取することは腎結石の可能性があがるが、出回っているレシピではほとんどがそれ以上。2005年から2013年の間にドイツで尿路結石が2倍になり、その原因のひとつである可能性がある