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犬の生殖能力と環境汚染物質を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at dog fertility and environmental contaminants
August 9, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-dog-fertility-and-environmental-contaminants/
Scientific Reportsにある種の犬の生殖能力を評価して1988年以降精子の質が低下していてある種の化合物の存在を示唆する報告が発表された
エジンバラ大学男性生殖健康研究チームリーダーRichard Sharpe教授
この犬の研究への関心はヒト男性にあてはまる可能性についてだろう。1950年以前と比べて男性の精子が減ったかどうかについての議論はまだ決着していないし解決する見込みもない。今や北部欧州の若い男性の6人中1人は生殖能力に影響する可能性のあるほど少ない精子で、特に女性のパートナーが35才以上の場合は。この研究は「精子の数の低下」は精子の運動性の変化をみていないことの根拠を提供する。
精子の数の問題と関連してその可能性が人工化学物質のせいかどうかという議論もある。データは決定的ではない。人間の最良の友人である犬の調査は、環境要因を共有しているのでおもしろい。
研究は交配用の犬の精子が1990年から年々運動性能が落ちていることについてはしっかりした根拠を提供している。一方総精子数は変わっていない。ただしヒトと犬を比較することはできない、ヒトは精子を貯蔵しないが犬は蓄えるからだ、精子数はヒトの場合生産される数を示し犬は生産プラス貯蔵の反映である。またこの研究では時代とともに精子の運動性能の低下と一緒に犬の停留睾丸が増加していることを示している。
結論としてこの研究はヒトでの精子の数についての議論を解決するのに役にたたない
Sheffield大学男性病学教授Allan Pacey教授
これは興味深い研究であるがヒトの公衆衛生にあてはめるには注意が必要で、さらなる研究の指針とすべきだろう
Kent大学遺伝学教授Darren Griffin教授
現段階では環境化学物質との関連は因果関係ではないが監視対象に入れるべきだろう
英国獣医師会ジュニア副会長Gudrun Ravetz
この研究は興味深い。さらなる研究を支持する。
(ここで環境化学物質とされているのはPCB類とDEHP。環境を共有、と言われても最大の暴露源である餌は共有してないと思うのだが、同じもの食べてるのか??)