食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 何故米国は研究用に大麻の供給を拡大することを決めたのか

Natureニュース
Why the US decision to expand marijuana supply for research matters
Ramin Skibba 12 August 2016
http://www.nature.com/news/why-the-us-decision-to-expand-marijuana-supply-for-research-matters-1.20410
政策の変更はこの薬物由来の治療法の開発を促進する可能性がある
米国の科学者や医学研究者は何十年も大麻の健康リスクと利益を研究してきたが、合法大麻がますます入手しやすくなっているにもかかわらず、研究用大麻の入手先は一ヶ所に限定されていた−国立薬物乱用研究所が委託しているミシシッピ大学のキャンパスの農場である。8月11日に麻薬取締局が研究用大麻の栽培認可申請をどの団体にも認めると発表したことでこの独占が終わる。Natureがこの変更が大麻研究をどう変えるかを説明する。
(きっちり研究して医薬品にしたほうがいいだろう)

Scienceニュース
Candidate cancer drug suspected after death of three patients at an alternative medicine clinic
By Hinnerk Feldwisch-DrentrupAug. 12, 2016 , 2:00 PM
http://www.sciencemag.org/news/2016/08/candidate-cancer-drug-suspected-after-death-three-patients-alternative-medicine-clinic
まだ臨床試験をしていない、Johns Hopkins大学で開発された新しいタイプの抗がん剤が、ドイツで医師免許のない人によるがんの代替医療を行っていた3人の患者の死亡の引き金を引いた可能性がある。ドイツには多くのその種のプラクティショナーがいて、その分野の規制は緩い。ドイツ検察がこの件を過失致死になるかどうか捜査している。
問題の薬物は3-ブロモピルビン酸(3BP)で、一部の研究者が画期的と称賛してきたが、これまでのところ有効性と安全性に関するヒトのデータは逸話レベルである。多くの科学者はこの薬物は十分に注意した実験的条件でなければ患者に投与すべきでないと言う。もし3人の死亡との関連が確認されれば3BPの市販の見込みは怪しくなるだろう。
ドイツ警察は8月4日、代替療法ラクティショナーKlaus Rossの経営するBiological Cancer Centreで治療後間もなくオランダから来た2人とベルギーから来た1人が死亡したことをうけて対応した。他に2人が重体である。ドイツ、オランダ、ベルギーの警察はこの施設で治療を受けた他の患者に、地元の保健当局に連絡するよう強く求めている。少なくとも26人が連絡した。メディアによるとがん患者はしばしば通常のがん治療法が無くなって、あるいは化学療法を避けてRossのところに来た。彼は9900ユーロで10週間のがん「基本治療」を売っていた。ウェブサイトでRossは3BPを「がん治療に最適な化合物」と宣伝していた。
3BPは10年以上前にJohns Hopkins大学で抗がん作用が研究され、解糖系を阻害することでがんを「飢えさせる」と信じられた。ラットやマウスでは腫瘍の増殖を抑制することが報告されたが、同時に明確な毒性も示された。2009年に開発者のYoung Hee KoとPeter Pedersenはドイツフランクフルト大学のThomas Voglと協力して患者一人で最初の実験をした。Fibrolamellar hepatocellular carcinomaという希な種類の肝細胞がんの16才の少年に点滴静注した。彼は18才で死亡したものの研究者らはこれを成功だったと2012年の論文で記述した。他に数例の報告があるが2014年の論文では28才の男性に使って効果はあまりなかったと記述されている。しかし3BPは公式な臨床試験を行っていない。米国の企業が第一相臨床試験の認可を2013年にうけているが、お金を出すところが見つかっていないためまだ始めていない。研究者も企業もこの薬物の不適切な使用には懸念している。3BPは化学会社から購入でき、世界中のプラクティショナーが患者に投与している。
ドイツの患者の権利団体のEugen Bryschは政府は代替医療ラクティショナーをもっと厳しく規制すべきだという。ドイツ連邦保健大臣は伝統的プラクティショナーの規制を見直す計画はない、という。この分野の規制は地方自治体の責任である。ただし苦情があれば対応する。

  • 水機関が有害化合物の濃度が高いことを発見して井戸を閉鎖

Water agencies shut down wells after discovering high levels of hazardous chemical
August 13 2016
http://www.scpr.org/news/2016/08/12/63545/water-agencies-shut-down-wells-after-discovering-h/
EPAがPFOAとPFOSについての新しい水質基準を設定したところ、南カリフォルニアの5つの水機関がすぐに水質問題を発見。
全国には66の公共水機関があるがそのうち5つのPico Rivera, Anaheim, Orange およびCorona と Eastern Municipal Water DistrictでPFOAとPFOSの濃度が高かった。
5月にEPAが飲料水中のPFASsの新しい基準をそれまでの400pptから70pptに引き下げた。現時点ではこの濃度は助言レベルで義務ではないが個々の水機関が判断する。

千葉日報オンライン 8月14日(日)7時34分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160814-00010000-chibatopi-l12
これが話題になっていたので

千葉大のプレスリリース
うつ病の病因に転写因子Keap1-Nrf2系が関与
〜野菜に含まれる化合物でうつ病を予防〜
http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2016/20160729.pdf
少なくともここではマウスの実験であることとカゴメが入っていることともと論文はわかる。でももと論文見るとこのプレスリリースが相当できが悪いこともわかる
Role of Keap1-Nrf2 signaling in depression and dietary intake of glucoraphanin confers stress resilience in mice
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4965765/
非常にたくさんの実験をしている
レフェリーが根負けした努力賞かなぁといった印象。
餌実験はC57BL/6マウスで餌の0.1%がglucoraphaninとのこと。マウスの食べる餌の量が1日に3gで体重30gだとすると3mg/30g、体重30kgなら3gといったところ(対象は子どもだと言っているので・・)
ブロッコリースプラウトのグルコラファニンは100gあたり数十mg程度か? 3g食べるには1kg以上のスプラウト
https://core.ac.uk/download/files/329/11008719.pdf
そもそもこの動物モデルがヒトの鬱病の何をどのくらい反映しているのかがいまいちわからない。脳の働きについては動物からヒトへの外挿は毒性影響よりはるかに難しいだろう。
そしてカゴメのサプリでも類似化合物のスルフォラファンは1日30mgとか言っていて30mgでも食事から摂るのは難しいと宣伝してサプリを薦めておいて、それより多い量が「薬頼らず摂れる」と?
http://shop.kagome.co.jp/lineup_supple/broccoli_supple/
こういう報道をする人たちに良心は??