食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 最も致死的なタイプの脳卒中が減っている−喫煙率の減少のおかげ?

Incidence of most fatal type of stroke decreasing -- thanks to a decrease in smoking?
12-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/uoh-iom081016.php
Neurologyに発表された、フィンランドのタバコ政策がくも膜下出血(SAH)を劇的に減らしたように見えるという研究。1998年から2012年のSAHの発症率変化と喫煙率を比べた。この15年間に50才未満でのSAHは女性45%男性38%減少、50才以上では女性16%男性26%減少した。同時期の15-64才の喫煙率は30%減った。これだけ短期間にこれだけ急速に減るのは途方もないことである、とヘルシンキ大学のJaakko Kaprio教授は言う。
フィンランドでは病院以外で死亡したヒトのほとんどで解剖が行われるため他の国よりSAHの頻度が高い。多くの場合間違って心不全とされている可能性がある。

  • 欧州の12の国で主な死因としてがんが心疾患を抜いた

Cancer overtakes heart disease as the main cause of death in 12 European countries
14-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/esoc-coh081116.php
European Heart Journal に発表された2016年欧州心血管系疾患負担の新しいデータ。
主にCVDの予防や治療の改善による。最も早くがんが上位になったのはフランス、次いでスペイン。英国でも2013年にはがんのほうが多くなっている。東欧はCVDが多い。

  • 科学は必ずしも常に「自己修正」しない 事実と価値の合体と知能の研究

Science Is Not Always “Self-Correcting”
Fact–Value Conflation and the Study of Intelligence
Cofnas, N. Found Sci (2016) 21: 477.
一部の高名な科学者や哲学者は、科学理論を受け入れるあるいは広めるかどうかに倫理や政治的考察で影響すべきだと公言している。この広く受け入れられている見解は知能の研究の発展や一般の認識に相当な影響を与えている。知能が集団により異なることに関連する理論はしばしば明確な倫理を基準にアプリオリに却下される。科学は「自己修正」能力があるという科学者がしばしば言うことはこの文脈では正しくない可能性がある。この論文では1970年代初期から現在までの文書を集め、知能の研究に科学者の倫理や政治的配慮の影響を明らかにする。望ましい社会的目標を達成するために科学の知見を間違って提示することは、最終的には科学と社会の両方に有害であろうことが示唆された。